浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

カール・ベーム&ケルン放送響のブラームス第1交響曲

2007年04月26日 | 指揮者
「これが本当にコロンのオーケストラか、いつごろの録音かは知らないが南米のオケも実力をつけたものだ」と早合点していたが、実はケルン放送響の間違いだったことに気がついた。

維納フィルとの東京公演の名演とはテンポ運びなどがかなり違う。第1楽章は重々しく実に堂々たるブラームスだ。一流といはれるオケでももっと軽薄な演奏はいくらでもある。

めったとない巨匠ベームとの協演を心待ちにした団員が真剣勝負で臨んだ演奏会本番の様子が手に取るやうに伝わってくる。手抜きのない真剣な演奏はたとえそれが二流団体であろうとも人の心を捉える力を持ってゐる。フルトヴェングラーは「下手なオーケストラといふものは存在しない。あるのは下手な指揮者だけだ」といふ言葉を残してゐるが、一定水準以上ならこの言葉は真実だと思ふ。ここに熱狂する聴衆と素晴らしい音響の会場が加われば言ふことはない。

盤は、米国MeteorによるCD MCD-067。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。