浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

モリーニ&ミュンシュによるベートーヴェン協奏曲

2010年06月27日 | 提琴弾き
ミュンシュ指揮ボストン交響楽團の演奏会は身近な存在だったが、残念なことに僕は未だ6歳にもなってゐなかった。1962年1月12日は僕はロチェスターといふ街に住んでゐた。もし、今僕がそのやうな状況にゐたなら、フォレストガンプのやうに何日も走ってでもボストンまで聴きに行ったであらう。

当日、僕はロチェスターの幼稚園にたどり着くと、いつものやうに国歌を聴きながら手を胸に当てて國への忠誠を誓ってゐたはずである。このやうにする事は此の國の掟であり、父親の留学に付き添って来た家族であらうがイエロージャップであらうが、そんなことはお構いなしにそうすることが当たり前の社会であった。

戦後20年、日本國は未だ世界に認められた文化国家ではなかったが、そんな時代にミュンシュは何度も来朝して、古都に遊び日本文化を堪能して帰っていったのだ。此れがベルリンだったらどんなにセンセーショナルだったことだらう。

此のベートーヴェンの演奏はといふと、緩徐楽章の速度はいかがなものかとは思ふが、第3楽章でのモリーニの独奏をファゴットが反復する部分など息が合ってゐて深く感じるものが或る。

しかし、ミュンシュとモリーニといふ歴史的な顔合わせも、即興的な流れに身を任せた何か思いつきの演奏のやうな雰囲気がぬぐいきれないまま終わってしまふ。これもライブ録音の面白さなのだらう。

盤は、米國VibratoによるリマスタリングCD VHL149。

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