浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

洋琴弾き アルトゥール・グリュミオーによるブラームス

2008年10月04日 | もう一つの顔
フランコベルギー派の提琴奏者として気品のある演奏を残したグリュミオーが洋琴を弾く珍しいレコヲドがある。掟破りの多重録音を駆使してモーツァルトやブラームスの提琴と洋琴の為の奏鳴曲を録音してゐる。

今日は久しぶり(30年ぶり)に多重録音によるブラームスの奏鳴曲第2番を聴いてゐる。提琴家グリュミオーを聴く機会は殆ど無い僕だが、ハスキルとのデュオでの気品ある音色は記憶にある。このブラームスでも、激しさより憂いが前面に出たおとなしい表現だ。

提琴はまだ伸び伸びとした表現があるが洋琴はかなり控え目に感じる。ブラームスの提琴奏鳴曲では、洋琴も立派な独奏楽器として作曲されてゐるので洋琴弾きも伴奏者ではなく独奏者としての力量と存在感が求められると思ってゐるが、そのやうな意味ではグリュミオーの洋琴は物足りない。

しかし、グリュミオーの洋琴は提琴と同様、一つひとつの音は粒が揃ってとても音色が美しい。そこで疑問が湧いてきた。いったい、洋琴と提琴のどちらを先に録音したのだらうか。普通に考えれば洋琴伴奏からなのだが、先ほど書いたやうに、この奏鳴曲の洋琴は伴奏ではない。しかも、洋琴に勢いがなさ過ぎるやうに思ふのだ。勢いのある提琴が先なのだらうか。どうでもいいことだが気になって眠れなくなる。

盤は、国内PhilipsのモノラルLP盤 FL0531。


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