浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

プーランクならクリュイタンスで 「ティレシアスの乳房」

2007年06月24日 | 歌もの
サティの影響を受け、より洗練された音楽性で冗談交じりの仏蘭西のエスプリを後世に残した作家、プーランクの人気は僕の学生時代に比べ、随分と高まってゐる。コミカルな内容を独自の和声法とピアノや小太鼓、バケツ等の多様な楽器で歌劇に仕立て上げた名作「ティレシアスの乳房」といふ作品がある。

「ティレシアスのおっぱい」は当時のモダニズムの雰囲気を持ちつつも、フランスの上品なエスプリを心地よく伝えてゐる。気軽に聴ける楽しいオペラではあるが、合唱音楽の素晴らしさは他に類を見ない。ちょっとしたブリッジパッセージにもプーランクのセンスの良い木管の扱いが聴ける。

アンドレ・クリュイタンスが巴里オペラコミック管絃團と録音したLP盤を大切に置いてゐた(正直に言ふと一度は手放そうとしたのだが売れなかった)。このレコヲドは心斎橋の大丸で購入したものだが、英國Angelの重量盤だ。音質も生々しくて古さを全く感じない。オーケストラの水準も高く、歌手陣の表現力もさすがお国ものだけあって、雰囲気が最高だ。

親しみやすい旋律も多数登場し、初めての方にもお勧めできるオペラだ。最近、我が国のマエストロ、小沢征爾がレコヲドを出したとかいふことだが、できれば作曲当時の空気が感じ取れるクリュイタンス盤を聴いていただきたいと思ふ。

盤は、英國プレスのAngel盤 ANG.35090。


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