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マルガリータのつぶやき

フォトジェニックな「趣味の記録」:マルガリータの庭、国内海外の旅、グルメ、美術・音楽・映画、自分勝手流読書、etc

『望郷の鐘 』満蒙開拓団の真実;現代プロダクション

2015-01-17 22:35:18 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
なかのZEROの視聴覚ホールの上映会;
   

「中国残留孤児の父」といわれる山本慈昭について、
残留孤児の身元調査がNHKで報道されていたが、その陰に国を動かし、中国をうごかした山本慈昭の奔走があったとは初めて知った。
監督の山田火砂子は、「和田登」の原作で敗戦3か月前に満州入植…ひどすぎるとただただびっくりして
女性監督ならでは、奇跡的に自力で帰国した男性がいう「あれは死出の旅にでかけたようなもの」の情景をこまやかに表現していく。

   

上映後のあいさつでは、「子どもたちにもみせるためにあえて残酷な場面、強姦場面はカットした。R指定などされたらかなわない。こんなきれいごとではないというのは承知の上」と、
一つでも多くあの戦争の事実を残しておくことが、戦争を経験した私たちの務めと俳優陣、ボランティア、一丸となり、良い作品になった。
借金まみれともいい、慈昭の長女冬子役で出演した孫にカンパ箱を持たせて…

  

「現代プロダクション」は、草創期の山田典吾;「村八分」「蟹工船」「夜の鼓」「太陽の唄」「はだしのゲン」「裸の大将放浪記 山下清物語」から、山田火砂子になって福祉問題に力を入れているという。

  



『女王の教室』 ノンストップ一挙視聴

2015-01-05 12:40:57 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
お正月ならでは、テレビ放送でノンストップ版天海祐希『女王の教室』全編1~11見てしまった。女王の教室・ウイキペディア



2005年、10年前放映時には賛否両論のすごい反響で大変だったらしいが、はじめて見たマルガリータ の受けた衝撃も半端でなかった。
「時代を超えた教育問題にふみこんでいる」「10年たってなぜ今?」、最後の落としどころみたさに見続けた。
子どもたちの「気づき」と女王の「微笑み」という結末にはいまだ急展開すぎの感はあるが、

最終話で同僚男性教師が言う「こどもの成長には(になる存在)が必要」のくだりには我が意を得たり
脚本家はここにすべてを収斂させたようとしたのでは、と勝手に考えている。
になるとはどういうことかを全編かけてこれでもかこれでもかとゴリゴリしたものだから、自らもなき視聴者世代の理解を得るのが大変だったのだろう。

昨年2014年9月、9年前のこのドラマが現状のていたらくをみごとに言い当てていると話題になったらしい。だれがどういう契機で、などぜんぜん知らないが、よくも再発見してくれたと思う。

 

『フローズングラウンド』’13米

2014-12-18 21:21:31 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
『フローズングラウンド』

  

N・ケイジが正義の刑事、J・キューザックが冷酷な殺人鬼、
配役がいつものイメージと逆転されているところがミソ。この両者の攻防を描くサスペンスだが、

J・キューザックの、疑念の余地ない普通ぽさには誰もだまされる。それゆえ、内実が殺人鬼というのには衝撃が増幅する。

殺人鬼とまではいかなくとも、「相当な普通っぽい悪者」はわれわれの身近にもいるかもしれない。
残念ながら、気がついたときには相当程度被害をこうむっているはず。マルガリータなどは失われた時間と金の胸算用をしだしたらきりがないくらいだ。
ドキドキはしたけれど見終わってみるとこれだけ、「普通っぽい人」に気をつけなさい、という警鐘映画ということ。

Starチャンネルガイドの今月巻頭特集JOUNEY with the MOVIE(映画を旅して)は、アラスカ~「フローズン・グラウンド」、

 

久しぶりに辺境への旅ごころを刺激された。
ドラマ性があまりない作品で、アラスカである必然性も特段あるとは思えなかったが、おもわず「映画を旅する」気持ちが再燃してきた。
こういう見方もあるんですよね、本当に「映画っていいですね~」

 

ノーベル文学賞・モディアノは映画ファンなら…

2014-10-10 23:01:38 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
今年のノーベル文学賞のパトリック・モディアノについては”初耳”と思っていたら、「ルシアンの青春」(73年、ルイ・マル監督)の脚本を共同で、「イヴォンヌの香り」(94年、パトリス・ルコント監督)の原作者、と知って俄然興味がわいてきた。
ルイ・マル作品のほとんどは見ているし、パトリス・ルコントの「イヴォンヌの香り」にも覚えが…つまらなかった記憶なのだが。
占領下のパリの街並みにニース等、ノーベル賞作家の眼を通して追体験したいとアマゾンで翻訳本とDVDを検索したら、時すでに遅しで売り切れ続出に高価なものばかり。
「もう少ししてから再度検索してほしい」とあるから、しばらく待つしかない、と観念して、ネット情報をメモッて一夜が過ぎた



授賞理由は「「記憶の芸術」で、最もつかみ難い人間の運命を想起させ、占領時の生活世界を明らかにした」
     「把握し難い人間の運命を再現し、占領下の生活を描いた「記憶の芸術」を創造した点。」

ミステリーの要素を盛り込んだ物語を通じて自己アイデンティティーを探求する作品が多い。
フランスでは「モディアノ中毒者」続出? その、ミステリー要素を含む物語に叙情的な文の運びに、ハマってしまう人が多数。

ユダヤ系の父親がドイツ占領下のパリで送った生活が作品に投影される「暗いブティック通り」は韓国ドラマ「冬のソナタ」にも影響を与えた。
ドイツ占領下や60年代初頭を舞台に、記憶とアイデンティティーをテーマに描き、平易な文体と繊細な時間感覚で神秘的世界を築く。
「失われた時のカフェで」(2007年)など邦訳も多数、
「ルシアンの青春」(73年、ルイ・マル監督)の脚本を共同で手掛け、「イヴォンヌの香り」(94年、パトリス・ルコント監督)の原作も担当。映画ファンにも知られる。
パリ近郊ブローニュ・ビヤンクール出身

・1968年、「エトワール広場」で小説家としてデビュー
・1972年に「パリ環状通り」で仏アカデミー・フランセーズ賞、
・1978年に「暗いブティック通り」で仏ゴンクール賞
・1975年の「イヴォンヌの香り」は1994年、パトリス・ルコント監督の同名仏映画の原作となった。
・1996年にフランス文学大賞
・2011年に「失われた時のカフェで」でフランス国立図書館賞を受賞。
       現代フランスで最も人気のある作家の一人。ついたあだ名が「生きている最も偉大なフランス作家」

<パトリック・モディアノの代表作>;(作品紹介ブログから)
①失われた時の中で
【なにがほしいのか、わからない。なぜ生きるのか、わからない。孤独でこわがりの、19才のテレーズ―。
ある日、死んだはずのママンとそっくりの女性を見かける。気まぐれで、うわべを飾りたて、神経質だったママン…。
テレーズは、ママンのほんとうの人生を探すことで、自分を見つけようとする。でも、ママンが話していた経歴は、みんな嘘だった。探すほどにわからなくなる真実、深くなる謎。たったひとつの手がかりは、ママンが残していったビスケット缶の中のセピア色の写真と手帳…。】

②イヴォンヌの香り
【ジュネーブに近い湖畔の避暑地、パリからやってきた青年ヴィクトールは美しい女性イヴォンヌと知り合い恋に落ちる。素性の曖昧な人々が闇夜に光る蛍のように現れては消えてゆく、官能的でエレガントな物語。】

③廃墟に咲く花
【11月のその日曜の晩、ぼくはラベ・ド・レペ通りにいた。60年代のパリ。蘇える事件の記憶。過去と現在が錯綜する時間の狭間で、パリの街を彷徨う…。】

④パリの尋ね人
【「尋ね人。名前ドラ・ブリュデール、女子、十五歳、目の色マロングレー、うりざね顔…」。1941年12月31日、占領下のパリの新聞に載った「尋ね人広告」。これを偶然発見した時から、作家モディアノの10年にわたる少女ドラの行方を探す旅がはじまった…。歴史の忘却に抗し、名もなきユダヤ人少女のかすかな足跡を追い求め、フランスを感動の渦に巻き込んだ名作。】

⑤八月の日曜日
【私とシルヴィア。そしてこの町で再会した「あの男」ヴィルクール。静まり返る現在、ざわめく過去…。南仏の避暑地ニースを舞台に繰り広げられる、どこにもいない男女の物語。】

⑥暗いブティック通り
【パリの私立探偵事務所で、〈私〉は、ユットと一緒に働いていた。そこに勤める前の記憶は、ない。〈私〉は、過去の思い出を取り戻すためにパリの街をさまよううち、せつない事実に次々と……。】




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「花子とアン」終了

2014-09-27 19:58:13 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
人気の朝ドラ『花子とアン』が完了、ほっとしたような、さびしいような、
マルガリータ もめずらしく、6月末くらいから毎日楽しみに見たクチだ。

林真理子の『白蓮れんれん』を読んで、白蓮の恋の行方が気になって見だしたのが、
”二組の恋を同時進行させて描くのは、視聴者をハラハラさせてひきつける。冬ソナと同じ常套的テクニック”らしくて、
花子と英治の展開にも目が離せなくなり、
美輪さんの『ごきげんよう』の微妙に含んだ言い回しも愉快だった。

最終章「曲がり角の先に」はしっとりと。
☆「曲がり角」って、曲がった後でなくてはそれとわからないあたりが「人生の妙」なんですよね~

もう3年前になるか、プリンスエドワード島に行った時のマルガリータの心象風景
2011.8.9 ハリファクス~P.エドワード島
2011.8.10 赤毛のアン ツァー
   

≪追≫6月の初めぐらいだったか、新宿サザンテラスの紀伊国屋で、ずらりと並んだ「白蓮」関連本、
  「何事か?」と思いつつ、永畑 道子版に未練を残しつつ、林真理子『白蓮れんれん』購入。
  林真理子の「小説」は初めてだったが、これが「林真理子」らしからぬ?正統的おもしろさで感心してしまったのだ。



『欲望という名の電車』のニューオーリンズ

2014-08-23 14:07:51 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
帰国したその晩、ヴィヴィアン・リー、E・カザン監督の『欲望という名の電車』を再見、
時差で冴えた頭で(笑)、せりふの一字一句、注意深く、

        

『欲望という名の電車に乗って、それから墓地というのに乗り換えて、…』という印象的な出だしがあるからこそ、
ニューオーリンズといえば『欲望の…』というくらいに有名だが、

今回、現地を踏んで見直してみると、この作品はニューオーリンズを知るには、ごく一端を示しているにすぎない。
没落農園貴族の主人公が、対照的に、卑猥で雑多なニューオーリンズ下町に寄寓するという設定、
出てくる地名は;
中央駅~ 欲望Desire行き市電(ロイヤル通り)~ 墓場Cemetery行き市電(キャナル通り)~ 極楽通り(Elysian Fields Ave.)
フレンチマーケットで買った葡萄、 大聖堂の鐘の音
フレンチクオーターのすぐ西方、外側の一画のみで、主要人物はみな白人、原作脚本にあるブルー・ピアノ(安ピアノ)の背景音もなかなか聞こえない。

ならば、ニューオーリンズを知る文学は、と開いた本はまた、わずか9ページに、「未知の作家、作品の行進」でついていけないくらいだ。
 
   

「フレンチ・クオーターを探訪する場合の最良の文学的伴侶」というジョージ・ワシントン・ケーブルの作品群
なかでも『クレオール回顧』1879 『グランディシム家』1880 くらいは、いずれあたってみたい。
 ≪参考≫ 岡崎玲子・集英社文庫が網羅的で詳しい。


で、たまたま読んでいた町山智浩;『知っていても偉くないUSA語録』の一章、Gentrificationで、
このT.ウィリアムズの戯曲をベースにしたという映画『ブルージャスミン』(ウッディ・アレン)、やっとすっきりした。
 
  

「南部の裕福な家の娘ブランチ・デュボワは、家が破産して妹夫婦の世話・傲慢な態度を改めず、現実を認めずに人格が崩壊していく。」というテーマは、どうもあちこちで普遍的なようだ。
 もっとも、この章で言いたいことは、ブルージャスミンが落ちぶれていくサンフランシス・ベイエリアはもう庶民の町ではない、
「Gentrification」で高級住宅地化して、それ以前からの住民がはじきだされるアメリカ各地の格差社会の一例だということ。

それで、Googleで「ブルージャスミン」と検索したら、町山のそのものずばりの映画評論に出くわした。
いつもながらの切れ味良い舌鋒で、こちらの時差ぼけにも特効薬となるか。
町山智浩 ウディ・アレン養女セクハラ問題と『ブルージャスミン』を語る

すこし<抜粋>すると、
(町山智浩)で、もうひとつ、この映画がもとにしている話っていうのがありまして。テネシー・ウィリアムズっていう人がですね、1950年代に書いた話でですね、戯曲なんですけども『欲望という名の電車』という戯曲があるんですよ。お芝居ですね。

(町山智浩)それがその、南部のお金持ちの娘が、自分の家が崩壊して。それで自分の妹との家に転がりこんでくるっていう話なんですよ。おんなじなんですよ。で、だんだんおかしくなってくるんですけど。その話は要するに南部の大金持ちで、農園をやっていたっていう設定なんで。実は奴隷で稼いでいた家なんですね。

(町山智浩)奴隷を使って農園をやって、搾取しまくって大金持ちになったんだけど結局崩壊するんですよ。南部っていうのは。でも、その自分の貴族みたいな生活にしがみついているバカな女っていう話が、その欲望という名の電車っていうお芝居だったんですけど。全く、現代の2008年に起きたバブル崩壊と同じなんですよね。

(町山智浩)結局、アメリカの犯罪ですよ。っていうものに、『私は知らないわ』って言いながら優雅な生活をしていた人の罪を問うみたいな話でもあるわけですよ。両方とも。っていうので、これはゴールデングローブの主演女優賞もとりましたし。ケイト・ブランシェットは。で、アカデミー賞にいくと思ったら、いま足を引っ張ってるんですよね。


『イントゥ・ザ・ストーム』

2014-08-22 22:19:59 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
パニックものを、それも封切り初日に映画館まで行ったことは、過去には0、
映画評論を見て迫力がすごそう、アメリカ帰りの余韻いまだ冷めやらずに、近年の異常気象がどこまで行くか、等々で出かけた。
入りはイマイチだったが、大型スクリーンの大音響で目を白黒させられて、消夏にもなって大満足だった。

 オフィシャルHP ⇔ ぜひクリックしてみて☆




『隠された記憶』 M・ハネケ

2014-06-09 11:34:38 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
昨夜は太陽が照りつける34℃の暑い京都から羽田についたら21℃。その足で鳥越祭りに、お化け神輿の足元での乱闘騒ぎ。
その興奮がいまださめやらぬ今朝、7時のニュースのつもりがWOWWOWの『隠された記憶』M・ハネケにつかまった。
「こんな頭も体もぼーっとした時に、またなんだってこんなわけのわからない…」とボヤキが出ながら、しかし、じっくり2時間~
  
『隠された記憶』(かくされたきおく、仏: Caché、英: Hidden) 2005年フランスの不条理・深層心理サスペンス映画。 監督・脚本ミヒャエル・ハネケ。
カンヌ国際映画祭で、監督賞など3部門受賞

はっきり言って、フランス映画のこういうわけのわからなさ、「勝手に解釈して」というスタンスが好き。
「勝手に解釈」して…
人種差別問題、無意識下における偏見、
「隠された記憶」;「人間が意図せずして日頃から行っている原罪」「無意識下における偏見」
謎のビデオテープによって、主人公は自分の差別意識に向き合わざるをえなくなる。

ビデオをとったのはだれか、という問題は、頭のモヤがもう少し取れてからでも遅くはないし

    ハネケ;「白いリボン」「ピアニスト」「ファニーゲーム」「愛、アムール」

海の上のバルコニー・唇を閉ざせ・アーティスト

2014-02-13 10:02:28 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
DVDでフランス映画三昧…  愉快で、考えさせられる鑑賞日が続いた。

☆未公開作品『海の上のバルコニー』2010年
  

初恋の女性をいまだに思う男・マルクと彼女に成りすます・マリ・ジャンヌ
マルク              ;ジャン・デュジャルダン
マリ=ジャンヌ/キャティ ;マリ=ジョゼ・クローズ

南仏・プロヴァンスを舞台にアルジェリア独立戦争もからめて、美しい風景にフランス政治問題に、二人の恋の行方もミステリータッチ。
N・ガルシア監督の女流ならではの、きめ細かい官能の世界。
良くも悪くもフランス映画らしい、地味目だがしっかりといいたいことをすべて盛り込んで、
このあたりが未公開のゆえんか。

マリ=ジョゼ・クローズが「それほどの女でもなく、とてもファム・ファタール足りえない」というレヴューをみて、そんなことはないと、思い出したのが、
『唇を閉ざせ』2006年 セザール賞(監督賞ギヨーム・カネ、主演男優賞、作曲賞、編集賞)
  

こちらも幼馴染で結婚したアレックスと8年前に惨殺されたはずの妻マルゴ、
アレックス;フランソワ・クリュゼ、
マルゴ  ;マリー=ジョセ・クローズ
マルゴをかたるメールを夫が追いかけるサスペンス風味。
パリのまち中を追いつ追われつ、ついにマルゴの指定場所がモンソー公園の売店、子供たちでにぎわう公園をカメラが長回しで。
パリの街に映えてスタイル抜群のマリ=ジョゼ・クローズのどこが「それほどの女でもない」のか、


女優の納得がいったところで、もう一点、『海の上のバルコニー』でのジャン・デュジャルダンを「ほんらいコメディー俳優…」とあったのがひっかかっていて、公開時にみそこなった
『アーティスト』2011年 を勢いで(笑)
  

サイレントの芸術家(アーティスト)であることに固持して、トーキーへの変化において行かれて凋落するスター、
たしかに、シンプルでロマンティックなコメディー・タッチかも、と納得する。
フランス映画がささげる、ハリウッド・サイレント映画へのオマージュ、
発表の時と場所が少し狂えば、あれほどの映画賞総なめとはいかなかったはずで、時代、大衆に迎合しないしっかりとしたフランス映画作法の勝利だった。









『エディット・ピアフ 愛の讃歌』

2014-02-06 22:47:45 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
雪と雨、北風に閉じ込められるような極寒の日々、バラ庭の冬仕事休みにはシャンソン『バラ色の~』

『エディット・ピアフ 愛の讃歌』2007年フランス
 

パリ・ベルヴィルの幼年から十代の見出されるまでと、晩年の栄光と最後の恋、病にたおれる姿を、交互に交錯させる構成、忠実な時代再現セットで息つく暇もなく魅せられた。
短く、壮絶な生き様に、力強く伸びやかな歌声がかぶさる。
その歌声は彼女の魂そのもの、
観終わった後には、“生き急ぐかのよう”という感想で、しばし感慨にふけった。
(1915・12・19生~1963・10・11没 )

 

≪MEMO≫
第57回ベルリン国際映画祭出品作品。主演のマリオン・コティヤールは第33回セザール賞主演女優賞と第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞。
監督: オリヴィエ・ダアン
マリオン・コティヤール ジェラール・ドパルデュー シルヴィー・テステュー

≪ヒット曲の数々≫
神よ、憐れみを
なんにも、なんにも
群衆
心の叫び
バラ色の人生
パダン・パダン
私の神様
愛の讃歌
私の回転木馬
水に流して (私は後悔しない)
めざめ
私の兵隊さん (ピアノ・ソロ)
リジュー
ルプレの死 (私の兵隊さん)
あらわれ
アベセ劇場
パート1:私の兵隊さん|パート2:逮捕
牧歌
最後の夜
私の男
情婦たちの歌
ふくろう
魅惑のワルツ
はだかを見られた
人形
バラ色の人生 (アコーディオン)

『セラフィーヌの庭 』

2014-01-30 07:45:44 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
さすが、セザール賞総なめの作品。
〝女ゴッホ”とまでいわれる天才性、悲劇性を余すところなく。
綺麗な映像、深みのある題材、主演女優、男優の演技、時代背景もきっちりと織り込んで、
すぐにもう一回みたくなり、原作 (『セラフィーヌ』 フランソワーズ・クロアレク )にもあたりたい。
  

 

・年代推移(あっという間に十何年)・セルフィーヌの内面描写 が大ざっぱだが、大幅カットのせいかもしれない。
画商;ウルリッヒ・トゥクルはここでもうまい☆ 『善き人のためのソナタ』を思い出した。
セラフィーヌ;ヨランド・モローとあわせて、フィルモグラフィーを追いかけてみようか。

≪MEMO≫
 フランスに実在した素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた。2009年のセザール賞で、作品賞をはじめ最多7部門を受賞。家政婦として貧しく孤独に暮らす傍ら、敬虔にして無垢な心のままに色鮮やかで幻想的な絵を次々と生み出したセラフィーヌと、彼女の才能を見出したドイツ人画商との心の交流を、激動の20世紀初頭を背景に描き出す。主演のヨランド・モローはその入魂の演技が絶賛され、セザール賞主演女優賞をはじめ数々の賞に輝いた。
 1912年、フランスのパリ郊外サンリス。家政婦として生計を立てている貧しく孤独なセラフィーヌ。彼女は草木や花々に話しかけ、植物など自然のもので自ら絵の具を作り、部屋に籠もって黙々と絵を描く日々を送っていた。そんなある日、彼女の働く家にアンリ・ルソーを見出したドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデが妹と共に引っ越してくる。そして、その家に置かれていたセラフィーヌの絵に心奪われたウーデは、彼女に援助を申し出るのだった。こうして画材を自由に手に入れられるようになり、絵を描くことにますます情熱を注ぐセラフィーヌ。だが1914年、第一次世界大戦が開戦、敵国の人となったウーデは止むなくフランスを離れることに。1927年、これまでと変わらず家政婦をしながら絵を描き続けていたセラフィーヌは、フランスに戻ってきたウーデと再会を果たす。やがて、再びウーデの援助を受けることになったセラフィーヌは、次第にその名が知られるようになり金銭的にも豊かになっていくのだが…。

ヨランド・モロー(Yolande Moreau, 1953年2月27日 - )主な出演作品[編集]
ザ・パック 餌になる女 2013年公開 監督:フランク・リチャード
ゲンスブールと女たち2011年公開
ミックマック 2010年公開 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
セラフィーヌの庭 2010年公開 監督:マルタン・プロボスト
ベティの小さな秘密 2008年公開 監督:ジャン=ピエール・アメリス
パリ、ジュテーム  2007年公開 監督:ブリュノ・ポダリデス、
アメリ       2001年公開 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
 冬の旅       1991年公開 監督:アニエス・バルダ

ウルリッヒ・トゥクル(Ulrich Tukur, 1957年7月29日‐)主な出演作品[編集]
Die weiße Rose(1982年)
Stammheim(1986年)
Nikolaikirche(1995年。フランク・バイヤー監督)
Bonhoeffer(2000年。ディートリッヒ・ボンヘッファー役)
テイキング・サイド(2001年。サボー・イシュトヴァーン監督)
ホロコースト -アドルフ・ヒトラーの洗礼-(2002年。コスタ=ガヴラス監督。クルト・ゲルシュタイン役)
惑星ソラリス(2002年、スティーブン・ソダーバーグ監督)
オペレーション・ワルキューレ(2004年。テレビドラマ。ヘニング・フォン・トレスコウ役)
善き人のためのソナタ(2005年。フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)
アイガー北壁(2008年。フィリップ・シュテルツル監督)
セラフィーヌの庭(2008年。マルタン・プロヴォスト監督)
John Rabe(2009年、ジョン・ラーベ役、日本未公開)
白いリボン(2009年。ミヒャエル・ハネケ監督)
ラルゴ・ウィンチ -裏切りと陰謀-(2011年)
ロンメル(2012年。テレビドラマ。エルヴィン・ロンメル役)

『ハンナ・アーレント』

2014-01-20 22:39:19 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
中高年を中心に人気を呼び、静かなブームが続いている映画「ハンナ・アーレント」を見てきた。
        

亡命ユダヤ人政治哲学者・ハンナ・アーレントがアイヒマン裁判を傍聴し、ニューヨーカー誌に乗せた記事が猛反発を食らう。
“600万人のユダヤ人を絶滅収容所に移送した責任者アイヒマンは、命令を遵法した官僚にしか過ぎなかった”
“一部のユダヤ人組織のリーダーが、少数のユダヤ人を救うためにナチ協力した”

世論への反論として、ハントが学生たちを前に、「悪の凡庸さ、陳腐さ」について講義する緊張の8分間。
“「悪の凡庸さ、陳腐さ」、考えることを放棄した人間が犯す悪、ごく普通の人間が犯す悪”

人種問題でなく、人間の本質を説き、世界に真実を伝え、繰り返す戦争、人種問題、憎悪の連鎖の阻止を主張した。
「考えることで、強くなれる」、人間は考えることによって存在する、は、ハイデガー、フッサール、ヤスパースの系譜を思い起こされる。
学問としての哲学ではなく、普通の生活者として哲学する人間(自分の頭で考える人間)にあたえられる希望を思い出させてくれた。
21世紀の今、山積する諸問題を憂うる中高年にとって、希望の星ともなる指標ととらえられたが故の「大人気」と納得した。


<‎114分‎‎ - G 指定‎‎ - 人間ドラマ‎
- 出演者: ニコラス・ウッドソン, ミーガン・ゲイ, サーシャ・レイ, ヴィクトリア・トラウトマンスドルフ, ハーヴェイ・フリードマン, クラウス・ポール, バルバラ・スコヴァ, ジャネット・マクティア, ユリア・イェンチ, フレデリック・ベヒト, ウルリヒ・ノエテン, ミヒャエル・デゲン, トム・レイク, アクセル・ミルベルグ
『ローザ・ルクセンブルク』等で知られるドイツのベテラン女流監督マルガレーテ・フォン・トロッタが手がけた重厚なドラマ。ナチス戦犯の裁判を見つめる実在のユダヤ人の女性哲学者ハンナ・アーレントの胸中を描きながら、善悪や人間の本質に切り込んでいく。『ローザ…』のヒロイン、バルバラ・スコヴァが再び主演を務め信念の強さを体現する。>

≪参考≫13年12月09日(月) 週刊現代映画『ハンナ・アーレント』どこがどう面白いのか 中高年が殺到!!
<平日の昼間にもかかわらず、映画館に行列ができている。1960年代、あることがきっかけで世界中から批判を浴びたユダヤ人の女性哲学者の物語。日本人にいま受けているのには、理由があった。>

ガリレオ;聖者の救済

2014-01-10 22:05:21 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
正月にBSフジで、二日連続でⅠ・Ⅱシリーズ全放送(CMなし)された。
たまたま初日Iの第一話でチャンネルがあって、ついに終日見続けてしまった。
CMがないし、ヒマだし、で集中してしまったが、最後は目の奥が重く、”目に来ている”と自覚しながら、
翌日Ⅱも断続的に頑張った、が、最終話「聖者の救済」前篇で目の痛みでどうにもならなくなってダウン、
今日になってレンタルで見た。
  

感想は、”一年、子供ができなかったら離婚する”という夫も変!、対する”ヒ素殺害の仕掛け、ただし一年の猶予で、”という妻の発想も突飛!、
「お話」だからここまで極端なのだ、とも、
妻の「好きだったから、一年の猶予を与えた~」のことばに深い共感をおぼえるが、
夫のどこがそこまで好きだったのか、と考え込んだり、

ここで突然、『恋愛脳』~男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか~(黒川伊保子)にリンク、
この著者も物理学者;理系、
・男の気持ち“女が考えるような「気持ち」は、男脳には存在しないのだ。
       男が結婚を決心する理由は、自分の収入が結婚に足るかどうかと、女が機能的に妻に足るかどうかであって…”
・女の気持ち“女脳;女が男に見切りをつけたら、ただ淡々と別れ話を切り出すだけだ”

…と、男女脳の違い例が連綿と続く。
ドラマの夫婦の極端すぎる行き違いがスッキリと理解できるではないか。

それにしても、今回の物理学者;ガリレオの理系ぶりはものたりない。
その代わり、湯川;福山雅治の表情は、日ごろの理系一辺倒らしからぬ女脳と恋愛脳を知り尽くした雰囲気、
このあたりが、福山人気の源なのではと、あらためて考えてみたり、
もしや、福山雅治は(黒川本にあるような)女性脳比率が高いのかも? と、今年最初のわが意を得たりだったりして(笑)
  
(女性脳比率;脳は、無意識のうちに、組織の中の脳の男女比を半々に保とうとする。
…異性脳が発達する人は…実は、家族や学校、職場など、その脳が存在する系での男性脳:女性脳比率に大きく影響される。) 

 


『永遠の0』

2014-01-09 23:02:55 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
話題の『永遠の0』、六本木で見てきた。
水曜、レディスデイ、一時過ぎにもかかわらず、カップルも女性どうしも思った以上の入りで、岡田准一人気もある?
 

分厚い原作はボソボソした文体が気に入らず、始めと最後と中パッパッ(笑)で、全体の半分くらいで中断したものが、
映画は原作の味を損なわずに、戦闘場面などでより理解が深まる出来だった。
この戦争を若い世代に語り継ぐ、という作者の意図は成功していている。

戦争世代でもなく若い世代でもない、多少の聞きかじりと戦後窮乏期の体験世代から見ても、
今、これ以上の作品を期待することは無理、良い映画と思った。
戦闘場面は、米軍実写フィルムとかイギリス映画を見てきた経験からはアニメティックに見えなくもないが、作品の質を落とすものではない。

ただ、作品のベストセラーぶり、映画の大ヒットぶりが少々気にはなっている。
極限時の主人公の反転する意志、夫婦愛、死を目前に語る証言者等、見どころ多々だが、70年前の『お話』と無意識にでも考えてほしくないのだ。





『モネゲーム』

2013-11-24 14:13:36 | 映画note 庭園、山岳、ミステリー
先月、10月30,31日に泊まったロンドン・SAVOY が舞台になっていると聞いて、その時のマルガリータ・ブログ

『モネ・ゲーム』   Y・Tubeはこちらから

 1966年の映画『泥棒貴族』のリメイク 脚本・コーエン兄弟監督: マイケル・ホフマン  89分
  原作: 泥棒貴族   音楽: ロルフ・ケント

<英国演劇 meets ハリウッド>の図式からして意表を突かれ、
  『英国王のスピーチ』(2010)のコリン・ファース、『ハリー・ポッター』(2011)シリーズのアラン・リックマン、
  『チャーリーズ・エンジェル』(2000)のキャメロン・ディアス

巨額な(彼にとっては)仕込みやら、まじめに真剣なのは十分に伝わるが、やることなすことコメディ
ゲラゲラ・くすくすと、笑いっぱなし、
『モネゲーム』とは日本公開時の題名らしい。ひとひねりありで座布団をあげたい感じ。
  原題は『Gambit』;辞典では「(交渉・会話などで,先まで計算したうえでの)手初め,切り出し」、
           チェス用語で「捨て駒の指し始め」の意、
           映画でも「戦略がある時の切り出し方」という意味で使われている。

☆久しぶりの日本題名もいいし、短い89分も歓迎、まだ見てない向きにはおすすめです。☆

{ 泥棒貴族 Gambit  監督 ロナルド・ニーム 脚本 ジャック・デイヴィス アルヴィン・サージェント
      原案 シドニー・キャロル 出演者 シャーリー・マクレーン マイケル・ケイン 音楽 モーリス・ジャール}