(37)秋葉神社の歌碑(岩手県葛巻町) 昭和31年6月建立(『書簡』高野桃村宛て)
秋葉神社の碑
何越可もおもひ天寝流や白雲登
葛葉の山能星降る宵盤
啄木
碑の中央に「象鼻山」、両側に桃村の歌と啄木の歌「何をかもおもひて寝るや白雲と葛葉の山の星降る宵は」が刻まれています。この歌は、『小天地』創刊に参画し短歌も載せている友人高野桃村に宛てた書簡(明治38年10月12日)の中の2首の内の1首で、もう1首は、次の歌です。
「こほろぎや、葛葉隠(くづはがく)りのうたびとの 詩幸おもひ、きく夜頃かな。」
書簡には上の歌2首に続き、次のように書かれています。 「先日もおハガキを拝しまゐらせ候ひしが、短かき文にかきつくすべき事にもあらずと、いそがわしさに遂また御無沙汰いたし居候所、たゞ今また御出盛の御知らせに接し、うれしさ添けなさ、お申訳なさ、一日も早くお目にかゝらむことお祈り上候」 10月12 夕
高野桃村様 盛岡市小天神社 石川啄木
この歌碑は、昭和31年に葛巻町の象鼻山に遊園地をつくり、その記念に、象鼻山の名付け親である高村桃村と啄木の歌を刻んだ碑を建立しました。その後、歌碑は昭和47年に秋葉神社に移転されました 。 なお、この歌碑にある桃村の歌は次の歌です。
「 山乃精以満ひ路古里能夕霧や劫初忍者ゆ葛巻の夏桃村」
(山の精いまひろごろりの夕霧や 劫初忍ばゆ葛巻の夏)
秋葉神社入口
秋葉神社鳥居
象鼻山
散歩している方にお聞ききしましたら、前方の山全体が像のかたちに似ているので「象鼻山」と名づけられた、ということでした。
なお、 高野桃村は『小天地』に、「おもひの籠」と題し、次に歌を含め12首詠んでいます。
「なき風に月落葉する江の秋や冥想(おもひ)の籠に詩は拾はむ。」