たかしの啄木歌碑礼賛(続)

啄木歌碑およびぶらぶら旅

釧路米町の啄木歌碑

2017年07月27日 | 啄木歌碑

釧路発祥の地ともいわれる釧路市米町、釧路市は「ふるさとふれあい街並み事業」として、米町周辺の史跡等を整備すると共に平成2年から4年にかけて啄木歌碑を10基を建立しました。

 1.米町1丁目の啄木歌碑


米町1丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)

 

                                   出しぬけの

                         女の笑ひ

                         身に沁みき

                           厨に酒の

                         凍る真夜中

                              啄 木

2.米町2丁目の啄木歌碑

 

 

 米町2丁目の啄木歌碑(『釧路詩壇』より)

 

                           春の雨

                      夜の窓ぬらし

                       そばふれば

                      君が来るらむ

                       鳥屋に鳩なく

                          啄 木


3.米町3丁目の啄木歌碑

米町3丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)

 

                                  顔とこゑ

                      それのみ昔に変らざる

                       友にも会ひき

                        國の果にて 

                              啄 木

 


米町3丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)

 

                            酒のめば

                       悲しみ一時に

                         湧き来るを

                       寝て夢みぬを

                       うれしとは

                       せし

                               啄 木 


4.米町4丁目の啄木歌碑


米町4丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)

 

                                  さらさらと

                        氷の屑が波に鳴る

                        磯の月夜のゆきかへりかな 

                                           啄木



米町4丁目の啄木歌碑 (『釧路詩壇』より)

 

                       花の下

                    たもとほる子は行きずりの

                    袖の香りに物言はせけり

                               啄木

5.浦見8丁目の啄木歌碑

 

浦見8丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)


                          よりそひて

                     深夜の雪の中に立つ

                       女の右手のあたゝかさかな

                                啄木 

 


浦見8丁目の啄木歌碑(『一握の砂』より)

 

                               葡萄色(えびいろ)

                      古き手帳にのこりたる

                      かの會合の時と處かな

                                啄 木


浦見8丁目の啄木歌(『一握の砂』より)

 

 

                                  波もなき二月の湾に

                        白塗の

                        外国船が低く浮かべり

                                   啄木

6.南大通7丁目の啄木歌碑

 

 南大通7丁目の啄木歌碑(『釧路詩壇』より)

 

 西の空

 雲間を染めて

   赤々と

 氷れる海に

日は落ちに

   けり

   啄木

以上釧路市が「ふるさとふれあい街並み事業」として建立した啄木歌碑は10基あります。


 

 

 

 

 

 


 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 


釧路「石川啄木文学コース」の歌碑

2017年07月11日 | 啄木歌碑

啄木は明治41年1月21日釧路に着き、関さんのお宅に下宿することにしました。釧路市は昭和58年、啄木が釧路にしるした76日間の足跡をたどる「石川啄木文学コース」を設置し、啄木ゆかりの地に啄木歌碑を6基を建立しました。

1.啄木下宿の地の歌碑

 午前6時半、釧路行き1番の旭川発に乗った。程なくして枯林の中から旭日が赤々と上った。空知川の岸辺の添うて上がる。此辺が所謂最も北海道的な所だ。9時半頃釧路に着。停車場から10町許り、迎えに来た佐藤国司氏らと共に歩いて、舞橋といふを渡った。浦見町の佐藤氏宅について、行李を下す。秋元町長、木下成太郎(道会議員)の諸氏が見えて12時過ぐる迄小宴。[啄木日記(明治41年1月21日)]

 今夜佐藤氏の宅から此洲埼町1丁目なる関下宿屋に移った。2階の8畳間、よい部屋ではあるが、火鉢一つを抱いての寒さ、何とも云へぬ。[啄木日記(明治41年1月23日) ]

 

啄木下宿の地(釧路市大町五丁目)の歌碑 

          

                            こほりたるインクの罎を     啄木

                    火に翳し

                    涙ながれぬともしびの下


2.釧路停車場跡の歌碑

 啄木当時の停車場(釧路駅)は現在の釧路駅から500mほど離れたところにあり、停車場跡地には「交流館さいわい」が建っており、その一角に啄木歌碑が建立されています。

 

釧路停車場跡(釧路市幸町)の歌碑

 

                      浪淘沙                    啄木

                  ながくも聲をふるはせて

                  うたふがごとき旅なりしかな


3.釧路新聞社跡の歌碑

釧路新聞社跡地には、現在ガソリンスタンドが建っています。

 

 

釧路新聞社跡(釧路市大町一丁目)の歌碑

      

                       十年まへに作りしといふ漢詩を

                    酔へば唱へき

                    旅に老いし友                 啄木


4.喜望楼の跡の歌碑 

社長の招待で篇輯4人と佐藤国司と町で一・二の料理店喜望楼へ行った。芸者二人、小新に小玉、・・・・ 。[啄木日記(明治41年1月24日)]

 

喜望楼の跡(釧路市南大通八丁目)の歌碑

 

                               あはれかの国のはてにて    啄木

                      酒のみき

                      かなしみの滓を啜るごとくに


5. しゃも寅跡の歌碑 

9時頃、寅(しゃもとら)亭に飲みに行く。小奴が来た。散々飲んだ末、衣川子と二人で小奴の家へ遊びに行った。小奴はぽんたと二人で、老婆を雇って居る。話は随分なまめしかった。二時半帰る。小奴と云ふのは、今迄見たうちで一番活発な気持ちのよい女だ。[啄木日記(明治41年2月24日)]

 


 

しゃも寅の跡(釧路市浦見町八丁目)の歌碑

             

                               火をしたふのごとくに

                      ともしびの明るき家に

                      かよひ慣れにき    啄木


釧路へ来て玆に40日。本を手にした事は一度もない。生れて初めて、酒に親しむ事だけは覚えた。盃二つで赤くなった自分が、僅か40日の間に一人前飲める程になった。芸者といふ者に近づいて見たのも生まれ以来此釧路が初めてだ。之を思ふと、何といふ事なく心に淋しい影がさす。[啄木日記(明治41年2月29日)]



 しゃも寅の井戸

 

 6. 歌留多寺・本行寺の歌碑

本行寺の歌留多会へ衣川と二人で行って見たが、目がチラチラして居て、駄目であった。帰りに小奴に逢った。[啄木日記(明治41年3月2日)]

 

歌留多寺・本行寺(弥生町二丁目)の歌碑

 

                                一輪の赤き薔薇の花を見て

                       火の息すなる

                       唇をこそ思へ      啄木