啄木は渋民小学校の代用教員だった時代に、卒業する6年生の送別会の際「別れの歌」を作詞しております。先日、渋民図書館に行った時この歌が、額に入れて二階の壁にかざっていました。撮影禁止なので、石川啄木全集を参考にしました。
「別れ」
渋民小学校卒業式に歌へる。
譜「荒城の月」に同じ。 とあります。
一 心は高し岩手山
思ひは長し北上や
ここ渋民の学舎
むつびし年の重りて
ニ 梅こそ咲かね、風かほる
弥生二十日の春の昼
若き心の歌ごゑに
わかれのむしろ興たけぬ
三 ああわが友よ、いざさらば
希望の海に帆をあげよ、
思ひはつきぬ今日の日の
つどひを永久の思出に
なお、渋民小学校の校歌も啄木の作詞です。玄関脇に校歌の碑が建っています。
渋民小学校の校歌
一 春まだ浅く 月若き
生命の森 夜の香に
あくがれ出でて 我が魂の
夢むともなく 夢むれば
さ霧の彼方 そのかみの
希望は遠く たゆたいぬ
ニ そびゆる山は 英傑の
跡を弔ふ 墓標
音なき河は 千歳に
香る名をこそ 流すらむ
此処は何処と 我問えば
汝が故郷と 月答ふ
三 雪をいただく 岩手山
名さえやさしき 姫神の
山の間を 流れゆく
千古の水の 北上に
心を洗い 身を清め
学の道に 進めかし