正月休みに読んでいたジャック・アタリの21世紀の歴史を本日読了した。
訳本、原著がフランス語ということで、結構読みにくく、何回もパラグラフを読み直して読んだので少し時間がかかった。
結構難しかったけど、興味深いので投げ出さずに読めた。
Amazon.co.jp: 21世紀の歴史――未来の人類から見た世界: ジャック・アタリ, 林 昌宏: 本
内容紹介
ヨーロッパ最高の知性が、21世紀政治・経済の見通しを大胆に予測した、“未来の歴史書”。欧州で大ベストセラー! フランスの国家戦略に影響を与えた書。
内容(「BOOK」データベースより)
2050年、そして2100年、世界の“中心都市”はどこか?国家、資本主義、宗教、民主主義は、どうなっているのか?「ヨーロッパ復興開発銀行」初代総裁にして経済学者・思想家・作家であり、“ヨーロッパ最高の知性”と称されるジャック・アタリ。これまでも、ソ連崩壊、金融バブル、新たなテロの脅威、インターネットによる世界変化を予測し、見事に的中させてきた。本書は、アタリが、長年の政界・経済界での実績、研究と思索の集大成として「21世紀の歴史」を大胆に見通し、ヨーロッパで大ベストセラーとなったものである。サルコジ仏大統領は、本書に感銘を受け、“21世紀フランス”変革のための仏大統領諮問委員会「アタリ政策委員会」を設置した。
内容は、以下のリンクでも詳しく書かれているが、サブタイトルにあるように未来の人類から見た世界という視点のようだ。
過去の歴史を振り返りそれが2050年の未来につながるという論調。
そこに描かれた未来は、かなり凄まじいネガティブな世界。
その後の章で、そのような歴史をたどり最後は明るい未来という形で書いてある。
この明るい未来というのは、理想世界のようで、そんなことなのと結構肩透かしを食らったようだが、このような世の中になる可能性は0%ではないかもしれない。
10%以上の可能性があるかな??
今おきている、インターネットやクラウドやフリーのビジネスなどの延長線上から2050年の社会あるいは世界をイメージさせてくれる。
今起きていることは断片的につかめるし、それらについて書かれた本は多いが、過去から現代、未来とそれらを俯瞰して2050年の社会あるいは世界のイメージを描いている本は少ない、あるいはないだろう。
その点が一番感銘した。
今、私は企画や事業戦略、技術戦略関係の業務をしているが、いろいろな本を読んだが、50年、100年後の世界のイメージが貧困だったので、この本のおかげでかなり整理され、あるイメージを持てた。
久しぶりに読後感をまとめておきたいと思った。
21世紀の歴史――未来の人類から見た世界 - 情報考学 Passion For The Future
かなり過激で奇抜な部分もあるのだが、全般的に深い洞察と刺激に満ちた予言の書である。これまでソ連崩壊や金融バブル、インターネット普及などを言い当ててきたアタリの予測では、2050年頃までの世界や日本の未来は明るくはない。せめてアタリのようなビジョナリが日本にもいてくれるとよいのだが。
38歳にしてミッテラン政権の大統領特別補佐官になり、ヨーロッパ復興開発銀行初代総裁にもなったフランスの知識人ジャック・アタリ。本書はヨーロッパで大ベストセラーとなり、感銘を受けたサルコジ大統領は諮問機関「アタリ政策委員会」を設置した、そうである。
下に引用したが、過去の歴史をたどる際に、政治的な中心都市をたどるのではなく、市場的(経済的)な視点で以下の9つの都市を時間的に分析している。
政治ではなく経済的な視点でみるというのは、ユニークではないだろうか。私には見えないものが見えてきた。
ノマドの時代という視点も、いろいろな事象が説明できる面白い視点だ。
私も納得した。
歴史上、市場の秩序は9つの都市における9つの形式(ブルージュ、ヴェネチア、ジェノヴァ、ロンドン、ボストン、ニューヨーク、ロスアンジェルス)をたどってきたと総括する。そして、その行き着く先は徹底した個人主義であり、金が全ての市場観である。
21世紀はノマド(遊牧民)の時代である。エリートビジネスマン、学者、芸術家、芸能人、スポーツマンなどの超ノマド、貧困者達が生き延びるために移動を強いられる下層ノマド、定住民だが下層ノマドになるのを恐れてバーチャル世界に浸るバーチャルノマド。国家は彼らを誘致し一時的にとどめておく囲い程度に過ぎなくなる。
以下がリンクから引用した概要かな?。
アタリによると21世紀には大きな波が3つやってくる。
第一の波 マネーが全てという究極の市場主義が支配する「超帝国」の世界
第二の波 多極化構造における様々な暴力衝突の起きる「超紛争」の世界
第三の波 市場民主主義と利他愛に満ちた「超民主主義」の世界
かなり過激で奇抜な部分もあるのだが、全般的に深い洞察と刺激に満ちた予言の書である。これまでソ連崩壊や金融バブル、インターネット普及などを言い当ててきたアタリの予測では、2050年頃までの世界や日本の未来は明るくはない。せめてアタリのようなビジョナリが日本にもいてくれるとよいのだが。
どこに未来の市場があるかというビジネスマンの視点で読んでも、かなり面白い本である。
最後の章でフランスについて、これからしばらく凋落すると言及している。その人物を閣内?に取り入れたサルコジもなかなかすごい人だな。
アマゾンのコメントも引用しておく。
ジャック・アタリによれば、アメリカ帝国の終焉(第三章)の後には、現在の国家は溶解してしまって国家や民族の固有の歴史というものは消滅してしまうという事になるようである。
常に単純化した21世紀のシナリオはジャックアタリによれば3段階である。帝国を超える「超帝国」の出現であり、第二段階は従来の戦争紛争を超える「超紛争」の発生であり、第三段階は民主主義を超える「超民主主義」の出現による新秩序の形成である。
つまり国家を中心とするところの、国家間の安定に基づく世界の旧秩序は破壊され、大紛争が発生し、これを最終的に収束させるものとして超民主主義が到来するというシナリオである。一言で言えば「旧秩序→混乱→新秩序」という単純なシナリオである。