温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

 ファラオの密室 白川尚史 著 読了 〜ミステリーというよりも歴史小説のよう!〜

2024-06-24 16:12:50 | 
この本は、『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作!というので図書館で予約。
第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作!

紀元前1300年代後半、古代エジプト。
死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。
欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。
ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。
棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。
この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか?
タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!
浪漫に満ちた、空前絶後の本格ミステリー。
内容だが、ミステリーというよりも歴史小説のようだった。それはエジプトの古代ピラミッドを作っていた時代の様子がわかるのだ。それも小難しい歴史書ではなく、ミステリーを楽しみながら、古代のエジプト人の生活を垣間見ながら知ることができる。また、当時のエジプト人独特の考え方を他の国の人から見ると当たり前の疑問が生まれるという視点も描かれている。

『このミステリーがすごい!』大賞選考委員も絶賛のようです。
【選考委員 大絶賛!】
死者が甦る世界でなければ書けない魅惑的な謎に正面から挑んでいる。
これだけ野心的な設定を用意して、壮大な物語をきちんと着地させた点を高く評価。
このミステリーはたしかにすごい。
――大森 望(翻飲家、書評家)

現世に蘇ったミイラが何の違和感もなく受け入れられるあたり、
落語にも似たとぼけた味わいがあり、思わず吹き出しそうになった。
奇想天外な謎作りといい友情溢れる人間関係劇といい大賞の価値あり。
――香山二三郎(コラムニスト)

探偵役がミイラ、タイムリミット有り、不可能犯罪のほか謎がちりばめられ、
読ませるポイントが随所に用意されている。
古代エジプトに興味をもてない方々もぜひ読んでほしい。
――瀧井朝世(ライター)
下の著者白川尚史さんのインタビュー記事でも紹介されているが、著者は若いし、取締役(マネックス、AIベンチャー関係のよう)もしている。それも非常に意外で興味深い。
ピラミッドの構造、どのように遺体が移動したかなどの記述を読んだ際に、これは文系でなくて理系の人かなと思った。
ブルー・オーシャン戦略で古代エジプトに挑む
 宝島社主催の第二十二回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞した『ファラオの密室』は古代エジプトを舞台にした作品。著者の白川尚史は34歳の若さでマネックスグループの取締役を務めるビジネスマンだ。なぜ小説を書こうと思ったのか、なぜミステリーなのか、なぜ古代エジプトなのか。受賞作とその背景について話を聞いた。
取材・文=瀧井朝世 撮影=浅野剛
大賞受賞作は古代エジプトが舞台

 探偵役はなんと、ミイラである。自分の欠けた心臓を探すために三日間だけ現世に蘇った死者が、自身の死の謎と、ピラミッドから王の遺体が消失した謎を追いかける──そんな意表を突く設定で第二十二回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を射止めた白川尚史さんの『ファラオの密室』。歴史ものと聞くと構えてしまいそうな読者にも分かりやすい描写で、本格的な謎解きと人間ドラマを堪能させるエンターテインメント作品だ。
非常にユニークで面白い本に会いました。
下にAmazonの読者コメントもいくつか紹介しておきます。
ALFA
作品の世界観に気付くと引き込まれていました
なんでしょう、読み始めて気が付いたら、設定や人物、展開に違和感なく思考が溶け込んでいる私がいました。
不思議ですが、極端な登場人物などでてこず、フックになるようなエピソードを出してくるようなものでもないのに。
しかしながら、終わった後に爽やかなのは本当に不思議です。
たぶん読後、読んでいる途中の方には理解してもらえるのかな、と。 とりあえず手に取って読んでみましょう。
長々とした設定紹介、人間関係紹介、この作品はこういう作品なんだよ、という私にとっては疲れる出だしではありませんでした。

ソース

古代エジプトの独特な世界観に引き込まれた
ミステリーはそこまで読まず、エジプトの様式なども全然知らないで読んだのですが、とても楽しく読めました。読後感も良いです。
他にもあるんでしょうが、自分はミステリーで、ここまで宗教というか神を前提とした物語が展開されているものを初めて読みました。雑に言えばファンタジー色が強いとも言えるのかもしれませんが、世界観がうまく描写されており、引き込まれました。ストーリー的にもとても良かったと思います。
以下面白いと思った部分です。
主人公が冥界から現世に戻り、周りが普通に受け入れるという状況にまず面白みを感じましたね。現代からするとつっこみたくなる設定ですが、エジプトの死生観などが分かりやすく描かれているおかげで、すんなり受け入れることができたと思います。
死後の世界から戻る際、死ぬと心臓が秤に乗せられて、羽より重かったら魂が消されるという、そんなん絶対無理やん!って設定もガチで描写されており、大多数の人間にとっては怖い世界だなぁと思いました。
次に、短い本ながらキャラが魅力的だと思いました。奴隷が普通にピラミッド建設に使われている厳しい世界では、優しさがより際立ちますね。
誰がとは書きませんが、ヒーローみたいなカッコいい奴(そこまで描写は多くないですが)がいます。そういうキャラがいる小説はお気に入りになりやすく、この本もそうなりました。

最後に、物語の終わり方がいいと思いました。詳しくは書きませんが、すっきりできて、いろいろ希望が持てるエンドで良いと思いました。
以上、あまりミステリーを読まない自分ですが大変面白く感じ、本来移動中のみ読もうと思っていたものを、そのまま家で読んでしまいました。それくらい面白いと思った今作、興味ある方はエジプトだからと尻込みせずぜひ読んでみていただきたいです。

イーロン・マスク 下 ウォルター・アイザックソン  井口耕二著 読了 〜イーロン・マスクの意外な一面を知った〜

2024-06-03 11:37:12 | 
イーロン・マスク下 を読了した。
下にあるように4月に読んだ上巻の続きだ。
まず、この本は上下2巻あるが、この上巻を読んでる途中に下巻を予約したので、下巻の順番が来るまでまだ数週間(所蔵5冊で12番)あるので、まず上巻を読んだところで投稿することとした。
この本の作者と訳者は、下にリンクを書いたけど、以前読んだ「スティーブ・ジョブズ」(下にリンクを書いた、上の写真でわかるように、この頃は本買っていたんですね。
あるいは何回か読み返すつもりで買ったのかな?)と同じ人だ。この「スティーブ・ジョブズ」は以前読んだとき面白かったので、今回も460ページだけど1日50ページくらい楽しくスムーズに読めた。
それぞれの章が5~6ページくらいで細かく分かれているので、読みやすかった。
目次は上と同じように以下の通り
第52章 スターリンク スペースX
第53章 スターシップ スペースX
第54章 オートノミー・デイ テスラ
第55章 ギガテキサス テスラ
第56章 家族
第57章 フルスロットル スペースX
第58章 ベゾス対マスク(第2ラウンド) スペースX
第59章 スターシップのシュラバ スペースX
第60章 ソーラーのシュラバ
第61章 夜遊び
第62章 インスピレーション4 スペースX
第63章 ラプターの大改造 スペースX
第64章 オプティマス誕生 テスラ
第65章 ニューラリンク
第66章 ビジョンのみ テスラ
第67章 お金
第68章 今年の父
第69章 政治
第70章 ウクライナ
第71章 ビル・ゲイツ
第72章 積極的な投資家 ツイッター
第73章 「申し入れをした」 ツイッター
第74章 熱と冷 ツイッター
第75章 父の日
第76章 スターベースのオーバーホール スペースX
第77章 オプティマスプライム テスラ
第78章 波乱含み ツイッター
第79章 オプティマス発表 テスラ
第80章 ロボタクシー テスラ
第81章 「洗いざらい」 ツイッター
第82章 買収 ツイッター
第83章 三銃士 ツイッター
第84章 コンテンツモデレーション ツイッター
第85章 ハロウィーン ツイッター
第86章 青いチェックマーク ツイッター
第87章 オールイン ツイッター
第88章 本気 ツイッター
第89章 奇跡 ニューラリンク
第90章 ツイッターファイル ツイッター
第91章 迷い道 ツイッター
第92章 クリスマスの大騒ぎ
第93章 軍用AI テスラ
第94章 人間用AI X・AI
第95章 スターシップの打ち上げ スペースX
私は、この本を読む前は、イーロン・マスクはスティーブ・ジョブズ以上に資本主義の成功者で頭に金儲けしかない男かと思っていたが、この本を読むことによって、そんな彼の違った面を知った。悪い所だらけかと思ったが、結構良い所もあるし、感心する言動もある。人類を救うために、火星に人類を移住させるのが目標のようだが、その他にも、子供はたくさん産まなければいけないなどの思いがあるようだ。技術的には、以下の「5つの戒律」が共感できる。
  1. 要件はすべて疑え。国の要件もせいぜい「勧告」として扱え。
  2. 部品や工程はできる限り減らせ。減らしすぎて後で増やすくらいが良い。
  3. その上で、シンプルに最適にしろ。
  4. さらにその上で、サイクルタイムを短く、スピードアップしろ。
  5. そして最終的に自動化しろ。
この目次からわかるように、マスクは、テスラ、スペースX/スターリンク部門、ツイッター、ザ・ボーリングカンパニー、ニューラリンク、X・AIという6社を経営している。

また、スターリンクやスターシップによって、宇宙での通信衛星も何個も打ち上げており、スターシップによってロケットは20回以上?宇宙に飛ばしておりNASA以上だし、かつブースター?は回収して使える用にしている。つまり以下のエピソードでわかるが、戦争でも絶対の力を使おうと思えば使える状態なのだ。その気になれば戦争を支配できる。
ーエピソードー
「第70章 ウクライナ」でマスクは、ウクライナのロシアの妨害で使えなくなった衛星通信をスターリンクで復活させて無人潜水艦でロシアを攻撃したいという要求を断っている。”マスクは無人潜水艦の設計は素晴らしいと思うが、接続の回復はできない。ウクライナは「やりすぎて、戦略的敗北の道を進んできる”と言って断ったとのことである。

その他の印象に残ったエピソードを以下に紹介する。

ーマスクはツイッターで「最近はメディアがどんどん集団的浅慮に走って同調圧力が高まっており、みんなと足並みをそろえなければ排斥されたり黙らされたりすることになります。」 ”確かに!、私も同じように思う”

ーマスクは自律運転にオールインする。自動運転でなく自律運転すなわち車を持つ必要がなくなるものを目指している。鍵を握るのはロボタクシー。「運転手なしで、呼べば来て目的地まで乗せていってくれ、そこから次の乗客の元へ走り去る。」これが自由に手軽に利用できたら、車を持つ必要はない。 
”まさにその通り、自動運転でなく自律運転にしなくちゃ!、でも、自動車要らなくなる?!”

”自動運転でLiDAR などのセンサーより、画像による情報を大事にすること、なぜならテスラによって、多くの画像データがテスラにはすでに蓄積されている。”

ーニューラルネットワークプランナーが解析したテスラの自動運転映像は、2023年の頭、1000万フレームほどに達した。でもこの方法では、平均的なドライバー並みの運転しかできるようにならないのではないだろうか。
「それは違います。状況に上手に対応した例だけを使っているからです」とショフ(担当者)は言う。
そんなある日、ショフが最新の成果を見せてくれた。すごいなと感心しつつ、マスクは、そもそもこういうことをする必要が本当にあるのかという疑問を感じた。大がかりすぎるのではないか?ハエを殺すならハエたたきにすべきで、巡航ミサイルを使うのは愚の骨頂だ。(私も同感。このようにマスクはまともだ。)ニューラルネットワークというややこしいことは、ほとんど遭遇しない特殊ケースに対応する以外には不要なのではないか?
”これが上で述べた自律運転に関連するエピソードだ。色々なシチュエーションで、人間がどのように行動をしているかが動画として蓄積されているのは、他の会社ができていないことだろう。私は自動運転に疑問を持っているが、このような事例を動画として持っていて、それがAIの学習データとして何年も築先され適切に使われるのであれば、人間を超えるかもしれないと思う”

ーさ、出発だ。駐車場に止めた車の中で、マスクが行き先を地図で指定し、完全自動運転をクリックする。そして、ハンドルから手を離す。表の道路に出たところで、さっそく、ひやりとする状況に直面した。自転車がやってきたのだ。
「我々はみんな息を飲みました。自転車はおかしな動きをすることがありますから。とショフは言う。
だがマスクは気にした様子もなく、ホイールを握ろうという動きも見せなかった。車は自動的に道を譲る。
「人間ならそうするだろうなと思う動きをした。」
”自転車厄介ですよね、人間は、何年も運転してきたドライバーであれば、この自転車は、こんな特徴的な動きをしているから、こんなシチュエーションでは、こんな動きをしそうとか予測できる、そして、たぶん現状のセンサーだらけの自動運転車より上手に対応できるはず。”

著者のウォルター・アイザックソンは本当にマスクに信頼されているのだなあと思わせる記述がたくさんある。それは、マスクの各企業の重要な決定がどのような経緯を経てなされているかが書かれているからだ。マスクが何を悩み、迷っているかが記述されている。そのような場に著者が同席しているし、メールなどが送られているのだ。

ジョブズの本は、私はアップル勢品を愛用しているので、面白そうと思ったし、面白く読めた。しかし、イーロン・マスクについては、あまり好印象を持っていなかったので、期待していなかったが、この本で彼の違う面を知って、むしろジョブズより、好印象を持てる部分があることを知った。面白い本でした。

なお、この本意はマスクが自分の赤ちゃんの世話をする写真がいっぱい載っている、それも違うマスクを知るのに良い資料だ。