この本は、以下の朝日新聞を記事を見て『なぜ私たちは過去へ行けないのか』という命題や時間の概念について、以前から興味を持っていたので予約。4日ほどで読了しました。でも、飛ばし読みです。
科学的内容かと思ったのですが、哲学入門という感じの本です。
哲学的論理説明のあたりは半分以上理解できなくて読み飛ばしました。
「なぜ鏡は左右だけ反転させるのか」 [著]加地大介
加地さん、ごぶさたしています。2003年に『なぜ私たちは過去へ行けないのか』という著書をいただいたのですが、そのとき私は、だって過去なんだもの行けるわけないじゃんと、読まないままにしていました。
すいません。愚かでした。今回、かつて後半にあった鏡の謎を前半にもってきて、過去の謎を後半へと入れ替え、増補・改訂版として出されたので、ようやく読ませてもらいました。
まず、なぜ鏡は左右だけ反転させるのかという問題に、マーティン・ガードナーの説明が紹介され、私は加地さんとともになるほどーと思い、
でも、と加地さんが考え直してまだこれじゃだめでしょと論じるところでそうだよなーと思い、続いてネッド・ブロックの議論が紹介され、
私は加地さんとともになるほどーと思い、でも、と加地さんが考え直してまだだめでしょと論じるところでそうだよなーと思い直すという、
いわば脳みそがマッサージされているような感じになりました。
以下がAmazonの一つの書評。この方は「著者なりの回答」に対して理解した上で納得云々と言及していますが、残念ながら、私は一部理解できたところもあるという程度の理解でした。
無気力
2003年に刊行された『なぜ私たちは過去へ行けないのか』に加筆修正を行ったものである。
第1章は新たにタイトルに採用された鏡に左右反転を扱う。第2章は旧版のタイトルにあったタイムトラベルを扱う。
この二つの章のみによって構成されているが、この章の順が旧版から入れ替わっていることが大きな変更点である。
その他、エピローグが追加されるなどの手が加えられているので、旧版を読んでいる人であっても、あらためて読み直す意味があるものとなっている。
いずれの問いについても著者なりの解答が与えられている。その解答に至る思考の過程が丁寧に記述されているのが本書の特徴である。何より、哲学者の手の内を見るようで興味深い。
ただ、いずれの問いに対しての著者なりの回答については、それが納得出来るものかどうか判断が分かれるところだと思う。
教科書用として書かれたものであり、著者の講義では、そのあたりの理解しにくい点は解説がなされているのだと思うが、本書だけではどうしても理解が難しいところが残る
わからないなりにも、一部興味を引いたキーワードがありましたのでいつものように以下に紹介します。
ーリンクに紹介したサイトで述べているように鏡像反転のプラカードで縦読みの「山本」は「山本」のままなのに、横読みの「山本」は「本山」に変わっています。そう左右は反転しているのに、上下は反転していません。よく考えると不思議ですね。
プラカードの図は下のリンクで確認してください。
鏡像反転という現象をしっかり理解するために、たとえば図1のようなプラカードについて考えてみましょう。
このプラカードは、縦の方向にも横の方向にも「山本」と読めるようになっています。では、これを鏡に映してみましょう。すると図2のようになります。
図1 プラカード
図2 プラカードの鏡像1
そう、縦読みの「山本」は「山本」のままなのに、横読みの「山本」は「本山」に変わっていますね。つまり、上下は反転しないで左右だけが反転しています。
ーウエシタトヒダリミギ。ここでは上と似たような事象を図で説明している。曰く、両者の前を重ね合わせるために、ウエとウエ、シタとシタを一致させて回転させる見方と、両者のヒダリとヒダリ、ミギとミギを一致させて回転させる見方である。これは本の図を見て確認しないとわからないかもしれません。
ー鏡像反転という現象には2つの見方がある
(a)回転軸を基準とした反転関係にあるものとして、物体とその鏡像を捉える見方
(b)平面を基準とした面対象の関係にあるものとして、物体とその鏡像を捉える見方
ー左右に関するカントの洞察は、「知性」や「概念」のみによる理解に抗して何らかの意味での「感性的な」理解を必要とする空間的性質の存在を合意しているように思われます。
ー私たちが重力の中で生きているという、あまりにも当たり前すぎて意識もしない事実が、鏡を見るというごく些細な日常的認識までも強く支配していることを示すことによって、むしろ意識されないものの中にこそ大きな力があることを、鏡は教えてくれたとも言えるでしょう。
ーしかし、タイムトラベルは理論的に可能であると主張する物理学者や数学者がたくさんいます。回転宇宙、ワームホール、タキオシ、陽電子などという現代宇宙論や量子論の道具立てを用いてタイムトラバルが可能であることを主張する論文が、権威のある科学雑誌に掲載されたりしているのです。
ー「過去と未来の最も根本的な相違は何か?」
ーさもなければ、おそらく過去への旅の出発時点に存在する個体と到着時点に存在する個体とが何の関係も持っていないような過去への旅のみが可能だということになるでしょう。
すいません、今回のキーワードは、私自身も、ここで書いた意味が100%わかっていると言えないものが多いので、皆さんもさぞかしわかりにくいと思います。
哲学に興味のある方、あるいはこのブログを見て少しでも興味を持たれた方は、ぜひこの本を一読されることをお勧めします。
以下のサイトにこの本の内容の一部が紹介されているので、リンクを貼っておきます。
本記事では、本書の第一章の前半部分を公開します。
ぜひ、ご一読ください!
1.鏡像反転の謎
私には、鏡を見ると独り言を言ってしまう妙な癖があります。目の前に映っている自分の像に対して知らずと「馬鹿だねえ」とか「情けないなあ」などと語りかけてしまうのです。
鏡に映った自分を攻撃する鳥や昆虫の類と頭の作りが大して変わらないのでしょう。
妻は、そんな私を見ては「ああ、またやってる」という感じの冷たい視線を浴びせるのですが、ほとんど条件反射のようなものなので、どうしようもありません。