この本を昨日読み終えた。
全670ページ、引用文献100ページくらいで、本文は570ページくらいなので、読みでがあった。
台湾にも持って行って飛行機などで読んだ。
内容は、ほんとうの環境問題 - 温故知新~温新知故?でも少しふれたが、以下のコメントが参考になるかな。
Amazon.co.jp: 環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態: ビョルン・ロンボルグ, 山形 浩生: 本
特に、私は以下の点でこの本には好感を持ちました。
・データ(ちゃんと元文献をたどれる←これ超重要)に基づいた主張をしている
・推論の際の論理を明示している
・リスクトレードオフ・費用対効果を念頭に措いている
書いてあることは、すべて引用資料が参照できるようになっている。
その資料をじっくり参照しないと、彼の主張がほんとうかは結局はわからない。
しかし、上の人がコメントで述べているように、あるいは後書きに訳者が書いているように、このデータをどのようにみるべきかが書いてあることが、参考になる。
ゴアの不都合な真実はそのあたりが曖昧で、溶ける氷河やシミュレーションで海面が上がるとこれだけ海岸線が後退するなどのおはなしは、読み物としては刺激的だが、ロジックは何も示していなかったのが不満だった。
しかし、作者ロンボルグについてのウィキペディアをみてみると批判も多い。
ビョルン・ロンボルグ - Wikipedia
この本の出版は、デンマークや他の国々の科学コミュニティから科学的欺瞞として批判された。この疑惑はデンマークの政府機関により調査され、結局いかなる公的な告発も退けられた。しかし、現在もロンボルグの著作に批判的な科学者が存在する。
客観的に言って、問題の著作は科学的不誠実に該当するとみなされる。 ...しかし、故意あるいは重大な過失によってなされた主観的判断という観点では、ビョルン・ロンボルグの著作はこの範疇に含まれない。逆に、この著作は適切な科学的慣習の規準に明らかに反するものとみなされる。
DCSDは「環境危機をあおってはいけない』に関し以下の点を断じた:
1. データ捏造;
2. データの恣意的取捨選択;
3. 意図的な統計的手法の誤解を招く使用;
4. 結論の解釈の歪曲;
5. 剽窃;
6. 意図的な他人のデータの歪曲した解釈.
こうして、不都合な真実とこの本を読んでみるといったいどれが真実なんだろうと思ってしまう。
ロンボルグ自身も述べているが、やはり自分自身が実際の資料を見て、判断するしかないわけだ。
費用対効果の点は、ロンボルグだけが展開しているユニークな視点で非常に大事だと思う。
環境に関する記述で、いろいろ読んでも心底納得できなかったのは、これが抜けていたからだったのかなと思った。
ロンボルグという人は、よくもまあこのような論理を展開したと感心する。敵が多すぎるよ。
その点は、文句なくすばらしい。彼のサイトBjørn Lomborg。
そんなことをおもっているそばから、またこんなニュースが舞い込んできた。
asahi.com(朝日新聞社):温暖化で「腎臓結石の患者増」 米テキサス大が予測 - サイエンス
それを示す具体的なデータはどこに???