梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

No.32 <『音の会』初日でした>

2007年08月11日 | 芝居
本日『第9回 音の会』初日。
お陰様で全席完売、満員御礼となりました! これは過去にもなかった嬉しい事態。だんだんとこの会が浸透してきた証しと、関係者一同喜んでおります。
普段はなかなかない『歌舞伎音楽演奏家』による<素演奏>という演し物も、歌舞伎で使われる<音>の素晴らしさ、曲の美しさを改めて再確認して頂く大切な演目でございます。今回は『蜘蛛の拍子舞』『鷺娘』という、内容的にもドラマチックな曲ですので、聴いていても十分楽しんで頂けたのではないでしょうか。
また、歌舞伎『忠臣蔵 九段目』では、若手の竹本の太夫さん、三味線さんが大役に挑まれるのが眼目で、私たち俳優は、むろん自分たちの勉強なのはいうまでもございませんが、普段以上に<地方(じかた)>さんと力を合わせることで、双方ともに修練していくという目的は、今回もかわりません。

その『九段目』、まずは無事に幕を閉めることができました。仲居、太鼓持ちたちも、昨日よりかはテンポよく芝居はこびができたと思います。明日はもっとこなれるよう努力いたします。
それにしても、このお芝居に登場する<戸無瀬><お石><小浪>の女形3役にのしかかる体力的な負担、必要とされる集中力の程は、他の芝居を見渡しても、並ぶものがなかなか見つけられないくらいの<重さ>がございますね。それぞれの思いを肚にためての台詞の応酬、イトにのった演技、出たら出っぱなし、休む間のない芝居(お石は一度引っ込みますが)…。
たんに時間的な長さで<大曲>といわれているわけではないこの芝居を、名題、名題下俳優で勉強させて頂けたことは、本当にすごいことだと思います。
こののち、いつこの芝居に携わらせて頂けるかは全くわからないのですから、今、このときの機会を十分に活かして、明日、2回目にして最後の舞台を勤めたいと思います。


下の写真は今回の《着到板》です。『音の会』は歌舞伎音楽演奏家の方々の勉強会。普段の歌舞伎興行のおりのものとはちがい、ちゃんとお囃子さん、義太夫さんのお名前をお一人お一人書くのですよ。皆様が主役の会ですもの!

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2 コメント

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素晴らしかったです! (まる)
2007-08-11 23:45:58
「音の会」、実は今日が初めての鑑賞でした。今まで存在は知っていたけれど、拝見(拝聴)したことがなかったのです。
でも、梅之さんのブログを通じて初めて「行ってみたい」と熱烈に思うようになり・・・。本日初めて伺って、何という素晴らしい催しだろうと感激しました。今まで何で行かなかったのだろうとめちゃめちゃ後悔しています。普段、客席の私語でなかなか聴き取れない演奏が、今日はしっかり聴き取れたことも大満足でしたし、九段目も役者さん方の熱演に感動しました。全身で歌舞伎を堪能させて頂いた感じです。
素晴らしいひとときを本当にありがとうございました。暑いですが、明日も頑張って下さいね。皆様にもよろしくお伝え下さい!
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夏、一区切り (まりく)
2007-08-12 01:44:01
音の会に伺うと、↑というくらい、私の中には浸透している行事ですが、

今回は梅之さんのこのブログで、役者さんや監修の旦那方の思いや備える段階からのことがわかり、音楽ばかり重視の例年と違った形で堪能できました♪

明日も暑いでしょうががんばってくださいo(^^)o



そして、この後はいよいよ合同公演ですね!私はまるさんとは逆に、合同公演が今まできっかけなく、今回は梅之さんのブログに後押しされて初めてなのです。
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