梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之名古屋日記・5

2008年04月04日 | 芝居
まさか自分が携わるとは思わなかった播磨屋(吉右衛門)さん構成・脚本の松羽目舞踊劇『閻魔と政頼』について少々。
1昨年6月歌舞伎座が初演となったこの作品。当然ながら名古屋初お目見えでございますが、おおどかでウィットにとんだ狂言種のお芝居ということもあり、連日お客様の笑いさそっています。

今回の上演にあたりましては、脚本や振付に手が加えられております。前回は二畳台の上に鎮座ましましたままの閻魔様が、このたびは鷹狩りの音頭とりとて自ら陽気に踊るようになり、それにあわせて勢子役たる小鬼たちの振りも変わりました。またこの小鬼さん、名題下が演じていますから、後半でトンボも返るようになり、政頼の鷹狩りのくだりが大変派手に、にぎやかになったように見受けられます。

私はおもに加賀屋(松江)さんと萬屋(種太郎)さんが演じていらっしゃる赤鬼・青鬼の用事をさせていただいておりますが、幕切れ近くに、鷹が閻魔様の冠を奪うくだりで、鷹の<差し金>に冠を取り付ける仕事もしております。これが一番気を使う仕事でして、手早くやらなくてはお芝居の進行をもたつかせてしまいますし、その冠を今度は播磨屋さんがキャッチするまで、しっかり繋がっていなくてはいけません。
だいぶ落ち着いて作業できるようにはなりましたが、手慣れる、という段階まで進むには、まだ時間がかかりそうです。

ちょっと前の『演劇界』で紹介されておりましたが、政頼の着ている<肩衣>の柄は、播磨屋さん御自身がデザインされたのだそうですね。鷹、といえば…の模様です。これからご覧になる方は御注目を。