***** 子年の展望 No.68 *****
一説に、「卯」は開門を「酉」は
閉門を表しているという話があります。
「卯」は東の方角・朝の6時前後、
「酉」は西の方角・夜の6時前後を示す
干支ですから、「卯」と「酉」とはちょうど
「朝」と「夜」の切り替えの時間帯に当たり、
あの世とこの世との境目が
曖昧になるひとときなのでしょう。
「卯」は開門「酉」は閉門であるとすれば、
「卯」の時間帯にこの世の門が開かれ、
「酉」の時間帯にはこの世の門が閉まる
という意味でもあり、この二つの干支の
時刻を目安に「神事」を行うのは、
自然の理に叶ったものなのかもしれません。
そして、「卯の日」に始まり、
「酉の日」に完了する習わしを持つ酒造りも、
古くは「神事」としての機能を
有していたと想像されるのですね。
そこでもう一度、崇神天皇が詠んだ
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味酒(うまざけ) 三輪の殿(との)の
朝門(あさと)にも 押し開かね
三輪の殿門(とのど)を
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という歌を解釈してみますと、
ただの「宴の歌会」とは思えない
様相が見えてくるのでした。