たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

ただならぬ関係

2020-03-20 09:51:51 | 一年の展望

 

***** 子年の展望 No.57 *****

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「思えば伊勢と三輪の神、一体分身の御事、今更何と磐座や……」

訳:伊勢の神と三輪の神は同神だ。今更あえて言うまでもない

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これは、大神神社ゆかりの能「三輪」の一節で、

三輪明神(大物主神)が最後に語る文言です。

このお能の演目は、「大神祭」でも演じられるそうですし、

「三輪の神」と「伊勢の神」とのただならぬ関係は、

歴史の合間合間に人々の間で

話題に上っていたのかもしれません。

 

ちなみに、この文言を元に、

伊勢で祀られているのは「三輪の神」だ、

という説も取り沙汰されておりますが、

これには「長物」の概念が深く関与しているようで、

三輪山の蛇伝説と内宮の蛇伝説とが、

長い時代の中で混合している部分もあるのでしょう。

 

一概に「蛇神」といっても、縄文時代から

多種多様の蛇信仰が日本に入り込んでいましたし、

この一節だけで「三輪」と「伊勢」を

同神として結びつけるのは、

少々無理があるかなと個人的には感じております。

いずれにせよ、「三輪の神(大物主神)」と

「伊勢の神(天照太御神)」との間に横たわる「因縁」が、

古くから人々の記憶に残されていたことは確かなようです。