連・断・続の部屋  

捨てる過去など何もなく、日々の社会との繫がり、自己の活性化、整理のためにつぶやく。

白質脳症

2016-12-08 12:48:29 | 日記・エッセイ・コラム
他院から、紹介された患者につけられた病名の一つが”白質脳症”。

初発症状は転倒。原因検索の過程で、脳の悪性リンパ腫に起因する転倒と診断され、治療。
治療終了後、症状、腫瘤は消失したが、
発症から10か月後、治療終了後半年後に、歩行障害に始まり、症状は進行性で、1年後には歩行困難。
薬剤性の、脳白質の進行性の変性によるものである。

30年以上前に経験した、急性リンパ性白血病患者は、髄膜白血病へと進展し、
髄腔内へのメソトレキセート注入、放射線照射を施行した。
激烈な頭痛、吐き気は消失したが、
1年ほど経過したころに、知的レベルの低下をみとめ、2人の子持ちの彼女は、童女のような清らかな天使に戻り始めた。
治そうと必死に行った治療が、人格を喪失させ、多くの人体機能を奪う変化をもたらした衝撃は、忘れたことがない。

今回、脳の病変に対する治療は、遅々として進んでいない現実に、
30数年前の、幼子を残して、世を去っていた患者の当時と重なる。

医原性疾患
治療をせねばならない、発症する次の病変のジレンマ。

コメント
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