迷走していた「たんなさん」のつぶやき

※個人の感想です・・・

入管法改正案についてやりとり

2006年04月08日 | 社会
ある弁護士さんのブログに興味深いやり取りがあります。
以下、主要な部分を転記します。

読者
衆議院法務委員会において、テロ対策等のための入管法改正案が審議されている。前回、外国人の指紋や顔写真を採取することの問題点を指摘したが、この法案審議の中で、法案には書いていないが、日本人についても指紋の採取が予定されていることが明らかとなっている。
これに対して、善良な市民が指紋を採取されるにあたって、「気分がよろしくない」以上の具体的な不利益がなにかありますか?


弁護士
そもそも、国家が個人の指紋を採取する権限があるとは考えられません。「気分がよろしくない」以上の不利益がなければ指紋をとられても良いというものではないと思います。
指紋をとるのは捜査に使用するためであり、何か犯罪が発生するたびに、自分の指紋も、その都度、照合されることになります。少ない確率ですが、似た指紋もあると言われており、冤罪に疑われる可能性もあります。犯罪者予備軍のように、毎度毎度、自分の指紋が、犯行現場で採取された指紋と照合されるということは私には堪えられません。


読者
一般には、しかるべき理由があるのなら個人情報を収集する権利が国家にはあると考えられています。だからこそパスポートや免許証には顔写真が記載され当然控えは警察なりなんなりに存在するわけでしょう?
顔写真がよくて指紋がよくない理由は何ですか?


弁護士
顔写真と指紋とでは質的に異なると思います。指紋は、犯罪捜査以外で使用することはありえません。つまり、指紋をとるのは「犯罪者予備軍」からだからです。
かつて、日本に在留している外国人から指紋を採っていた際にも、「犯罪予備軍」とみなすのはおかしいと言って反対され、指紋押捺制度は廃止されました。
ところが、今回は、「テロ対策」を理由に、日本の国民の指紋も含めて、国がそれを集めようとしているのです。それは、国民も含めて、「テロリスト予備軍」と見ていることを意味することになると思います。それが許されるかどうかだと思います。


読者
>指紋は、犯罪捜査以外で使用することはありえません。
>入管で本人確認に使うと言う話はどこへいったのでしょうか?
>公的機関による本人確認が犯罪捜査とイコールだとは思えません。

そしてパスポートや免許証の写真もまた本人確認が第一義として用意されたもののはずです。
顔写真と指紋とでは質的に異なるというのは勘違いでは?


弁護士
>指紋をとるのは捜査に使用するためであり、何か犯罪が発生するたびに、自分の指紋も、その都度、照合されることになります。少ない確率ですが、似た指紋もあると言われており、冤罪に疑われる可能性もあります。犯罪者予備軍のように、毎度毎度、自分の指紋が、犯行現場で採取された指紋と照合されるということは私には堪えられません。


読者
指1本なら冤罪に疑われる可能性もないとは言えないと思いますが、2本以上が一致する可能性はほぼゼロだと思うので、そんな心配はしたことがありません。
それよりも「善良な市民が指紋を採取されるにあたって、「気分がよろしくない」以上の具体的な不利益がなにかありますか?」
についての、具体的な不利益を教えてください。


弁護士
ご質問についてですが、そもそも、「不利益がないなら指紋を国に渡してもよいのではないか」というのは議論の立て方が逆転していると思います。
現在、指紋の情報を国に渡していないのですから、それを国に渡すようにするためには、「指紋を渡すことが国民にとって何ら不利益にならない」ことを、国が証明すべきでしょう。
不利益がないなら国に渡しても良いという前提であれば、私とは根本的に立場が異なっているので、これ以上、説明する必要はないと考えます。

>そもそも、「不利益がないなら指紋を国に渡してもよいのではないか」というのは議論の立て方が逆転していると思います。
現在、指紋の情報を国に渡していないのですから、それを国に渡すようにするためには、「指紋を渡すことが国民にとって何ら不利益にならない」ことを、国が証明すべきでしょう。


読者
30年前のように、カギをかけずに外出できるような治安のよさが今も続いているのであれば、「不利益がないなら指紋を国に渡してもよいのではないか」とは思わなかったでしょう。
しかし、現在は犯罪が多発しています。
不利益がないなら指紋を国に渡しても良いということを前提にしているのではなくて、国に指紋を渡すことによって犯罪の抑止や犯罪検挙率のアップが図れるというメリットと、「気分がよろしくない」という不利益を天秤にかけてみて、どうなのかということをお聞きしているのです。


やり取りはここまでで、弁護士さんからの回答はありません。