フジテレビの「とくダネ!」で中野剛志京都大学准教授日本のTPP参加を痛烈に批判していたので、中野先生の発言部分を中心に書き起こしてみます。
(笠井アナのTPP説明に続いて)
中野准教授
(TPPというのは)それは環太平洋というか実質的には環太平洋という話ではなくて、アメリカがメインなんですよ。
TPP交渉参加国が9ヶ国あって、それに日本を加えて経済規模、つまりGDPでみると、7割がアメリカで、2割が日本なんですね。
だから環太平洋なんていうのはうそっぱちで、アジアの成長を取り込むなんていわれてますけども、アジアなんてないんですよ。
それがTPPの本質を示してますね。
さっき第一次産業が1.5%で、残りが犠牲になっていいのかと(前原氏の去年の発言で、「日本のGDPにおける第一次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になってるのではないか」)、そういう発言があったわけですけど、東北の被災地の第一次産業は多分0.5%くらいですよね。
残りの99.5%は犠牲にするんですね。東北の被災地の第一次産業は犠牲にするんだ、すげーな、最低だよ、日本人って。
そういうことですよ。
笠井アナ
ただこれを前原大臣が発言したのは外務大臣当時ですので、あの震災の前・・・。
中野准教授
震災のあとは。
笠井アナ
(震災の)前だと思うんですが・・・。
中野准教授
震災のあとは撤回したんですか。
笠井アナ
撤回はしてない・・・。
中野准教授
じゃないか。
それから、さっきあなたの解説であった関税ですけど、アメリカの自動車の関税って何%だかご存知ですか。2.5%ですよ。テレビは5%ですよ。しかも今は円高だからっていわれて、海外に工場移転するっていわれてるんですよ。すでに工場あるんですよ、6割から8割がもうアメリカに工場がある。つまり関税の向こう側に工場があるんで、関税の撤廃の効果なんてないんです。
すでに自由貿易なんですよ。
フジテレビアベ解説員
日本はかなり関税が低くて開かれてるんですよ。
中野先生おっしゃるとおり、2.7兆円(内閣府が試算したTPP参加の経済効果。10/25発表)押し上げる数字がありましたけれども、えっと思われるかもしれないですけど、GDPベースでみると日本のGDPは530兆円くらいなので0.54%でしかないんです。
それはとりもなおさず、政府がTPPに入ったからといって輸出がバーンと増えるわけじゃないよっていうことを認めてるわけではないんです。
中野准教授
ついでにさっきの2.7兆円のGDPの効果っていうのは、去年も同じような数字をいわれてましたけど、これ確認したほうがいいですよ。
これ10年間の累積ですからね。
フジテレビ アベ解説員
そうです、そうです。
中野准教授
そうでしょう、どこにも10年間って書いてないじゃないか(かなりキレ気味になる)。
フジテレビ アベ解説員
単年度でみるともっとそれはずっと少なくなるってことですよ。
要諦はさっきぼくもいいましたが、この交渉に乗ることによって国際的な貿易の枠組みに日本が入らなきゃいけないんじゃないかってことなんですが、その点どうなんですか。
中野准教授
それは根本的な間違いですよ。国際的っていったってアメリカしかないんだ。
笠井アナ
このアメリカに関税撤廃によって物が売れていくという想定はできないんですか。
中野准教授
できません。どうしてかというと、アメリカは輸出倍増戦略を国是として掲げて、輸入を増やさない、輸出を増やすっていってるんですよ。だから今、円高なんじゃないんですか。円高だったら輸出できませんよ。
しかも、アメリカは輸出倍増戦略でアメリカの輸出先はこのグラフでどこですか、日本しかないんですよ。日本の市場を取るって話なんですよ。
で、どうやって取るのか。日本の制度、ルールを改革と称してアメリカに有利なように(日本に)変えさせるためですよ。
時間があれば申し上げますけども、実際そういう事例はあるんです。
米韓FTA、米韓が自由貿易協定を合意したといわれてますよね。その結果、みんな日本のTPP推進論者は米韓FTAをうらやましがって、日本もだっていってるけれども、韓国がどういうひどいめにあったのか、それを知ってほしいんですね。
韓国はたしかにアメリカの関税を撤廃してもらいましたが、日本と同じで現地生産やってるから意味がないんですよ。
その代わりになにを失ったか。米の自由化以外全部、米の自由化は阻止したけど、あとは全部自由化ですよ。
米の自由化についてもアメリカはこれから要求していくといってます。
それだけじゃないんですね。農協、漁協の共済、郵便局の保険サービス、これは3年以内に解体。アメリカの保険会社が入れるようになったんですよ。
それから自動車の排ガス規制、安全基準、これはアメリカに有利になるように変更させられることになった。
知的財産権制度もアメリカの要求を丸呑み。
医療については韓国政府が決定した薬の価格について、アメリカの製薬会社が安すぎると不服をいった場合には韓国政府に見直しをすることができる。
ついでにテレビについても申し上げておきますが、放送法の外資規制は緩和になりました。
すなわち韓国は自分たちの健康や環境や安全を自分たちで決められなくなったんですね。
アメリカの大統領は一般教書演説で、米韓FTAによってアメリカの雇用が7万人増えたと凱歌をあげたのだけれども、それは韓国の雇用が7万人奪われたってことなんですね。
ついでにいうと、韓国に対してアメリカがやったことと同じ要求をすでにアメリカは日本に対していってるんですよ。
(笠井アナの説明が入る)
オバマ大統領は昨年11月横浜でのAPECでの演説で「国家輸出戦略について」『この地域への輸出を増やすことにアメリカは大きな機会を見い出している。今後はどの国もアメリカへの輸出が反映の道だと思うべきでない』という発言を紹介。
それに続いて、
環太平洋の多国間の間でアメリカが突出した、アメリカだけが有利になることが決まっていくのかなという印象があるのですが・・・。
中野准教授
決まっていきますね。どうしてかというと、この諸国の中で日本のように工業製品を輸出して農業とかが弱い国はあるんですか。ほかの国はみんな工業製品じゃなくて農産品か一次産品、つまりエネルギー資源とかの輸出国なんですよ。日本と同じような条件の国なんかないんですよ。しかもアメリカが圧倒的にでかいじゃないですか。
そんなものどう考えたってアメリカの有利に進むのに決まってるじゃないですか。
(笠井アナの説明、TPPは農産物以外の分野も含まれている)
食品の検疫分野では輸入牛肉の安全基準が引き下げられる可能性、製品の安全規格分野では遺伝子組み換え食品の製品の表示に影響、金融サービス分野では郵便貯金・簡易保険などで優勢関連法案に影響も、などが交渉対象になるかどうかもわからないんですか。
フジテレビ アベ解説員
それは日本は交渉のテーブルについてませんから。
特に郵貯・簡保のお金をアメリカが狙ってるんじゃないかって議論については、政府側の説明はそういうものは議題に上りませんから、とか、混合診療の話なんかも議題に上りません。
中野准教授
それは日本が(TPPに)入ってねえから議題に上ってないんですよ。
(笠井アナの説明)
TPP交渉の参加について、賛成派は「交渉に入ろう」、反対派は「交渉に入るべきではない」
福田コメンテーター
交渉しようとしてるかって政府の姿勢が見えないんですよ。さっきの保険なんかは狙い目ですから、我々は世界最高の医療制度がどうなっていくかって大きな問題でしょ。こういう問題が出てきたら我々は、こういうふうに交渉しますって政府がはっきりいえばいいんだけど、どうもそういうのは交渉のテーブルに乗らなさそうだといわれても、乗ったらどうするんだってことをみんな心配しているんで。そこの姿勢をはっきりしない限りは交渉に乗るべきではないですよって意見が強くなるのは仕方のないことですよ。
中野准教授
先生、そのとおりでしかも交渉参加っていうのは国際常識では婚約なんですよ。参加が結婚で交渉参加っていうのは参加を前提としたお付き合いなんですね。
それで婚約を破棄するとどうなるかっていうと、日米関係はぐちゃぐちゃになりますよ。世界中から信頼を失う。したがって、一旦交渉に参加したら形式的には出れるんだけれども、実質上、国際政治上、出れなくなるんです。
そんなことは国際常識で、玄葉外相はだからそうおっしゃったんですよね。
それは簡単に抜けられるもんではありませんよ。それなのになんの情報もないのに入るんですか。
福田コメンテーター
農業問題ばっかりに矮小化しちゃってるんですよね。
フジテレビ アベ解説員
それ以外の方がでかいんですよね。
ただ、TPP加入を仮に決めたとき、関税撤廃協定なんかは国会の批准が必要ですよね。
だから最終的には国会が同意しなければいいという人もいるんですよね。
中野准教授
だからそれをやると日米関係がぐちゃぐちゃになるんですけどいいんですか、って話ですよ。
(以下、略)
これまでのTPPの説明の中で、もっともよく理解できた内容なので、紹介することにしました。
最初に中野准教授をみた印象は、なんかちょっとへんな人だったのですが、感情を直接表現してしまうというみたままの人で、TPP参加を議論すること自体に苛立ちを持っていることが、行動としてあらわれてしまうのではないのでしょうか。
中野准教授のキレている様子はネットでも話題になっているようなので、これがきっかけとなってTPPの問題点がたくさんの人に理解されればいいと思っています。
それにしても、ブックマークしているぼやきくっくりさんを見習って起こしてみましたが、たったの16分だと思っていたら、予想以上に大変でした。
(笠井アナのTPP説明に続いて)
中野准教授
(TPPというのは)それは環太平洋というか実質的には環太平洋という話ではなくて、アメリカがメインなんですよ。
TPP交渉参加国が9ヶ国あって、それに日本を加えて経済規模、つまりGDPでみると、7割がアメリカで、2割が日本なんですね。
だから環太平洋なんていうのはうそっぱちで、アジアの成長を取り込むなんていわれてますけども、アジアなんてないんですよ。
それがTPPの本質を示してますね。
さっき第一次産業が1.5%で、残りが犠牲になっていいのかと(前原氏の去年の発言で、「日本のGDPにおける第一次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になってるのではないか」)、そういう発言があったわけですけど、東北の被災地の第一次産業は多分0.5%くらいですよね。
残りの99.5%は犠牲にするんですね。東北の被災地の第一次産業は犠牲にするんだ、すげーな、最低だよ、日本人って。
そういうことですよ。
笠井アナ
ただこれを前原大臣が発言したのは外務大臣当時ですので、あの震災の前・・・。
中野准教授
震災のあとは。
笠井アナ
(震災の)前だと思うんですが・・・。
中野准教授
震災のあとは撤回したんですか。
笠井アナ
撤回はしてない・・・。
中野准教授
じゃないか。
それから、さっきあなたの解説であった関税ですけど、アメリカの自動車の関税って何%だかご存知ですか。2.5%ですよ。テレビは5%ですよ。しかも今は円高だからっていわれて、海外に工場移転するっていわれてるんですよ。すでに工場あるんですよ、6割から8割がもうアメリカに工場がある。つまり関税の向こう側に工場があるんで、関税の撤廃の効果なんてないんです。
すでに自由貿易なんですよ。
フジテレビアベ解説員
日本はかなり関税が低くて開かれてるんですよ。
中野先生おっしゃるとおり、2.7兆円(内閣府が試算したTPP参加の経済効果。10/25発表)押し上げる数字がありましたけれども、えっと思われるかもしれないですけど、GDPベースでみると日本のGDPは530兆円くらいなので0.54%でしかないんです。
それはとりもなおさず、政府がTPPに入ったからといって輸出がバーンと増えるわけじゃないよっていうことを認めてるわけではないんです。
中野准教授
ついでにさっきの2.7兆円のGDPの効果っていうのは、去年も同じような数字をいわれてましたけど、これ確認したほうがいいですよ。
これ10年間の累積ですからね。
フジテレビ アベ解説員
そうです、そうです。
中野准教授
そうでしょう、どこにも10年間って書いてないじゃないか(かなりキレ気味になる)。
フジテレビ アベ解説員
単年度でみるともっとそれはずっと少なくなるってことですよ。
要諦はさっきぼくもいいましたが、この交渉に乗ることによって国際的な貿易の枠組みに日本が入らなきゃいけないんじゃないかってことなんですが、その点どうなんですか。
中野准教授
それは根本的な間違いですよ。国際的っていったってアメリカしかないんだ。
笠井アナ
このアメリカに関税撤廃によって物が売れていくという想定はできないんですか。
中野准教授
できません。どうしてかというと、アメリカは輸出倍増戦略を国是として掲げて、輸入を増やさない、輸出を増やすっていってるんですよ。だから今、円高なんじゃないんですか。円高だったら輸出できませんよ。
しかも、アメリカは輸出倍増戦略でアメリカの輸出先はこのグラフでどこですか、日本しかないんですよ。日本の市場を取るって話なんですよ。
で、どうやって取るのか。日本の制度、ルールを改革と称してアメリカに有利なように(日本に)変えさせるためですよ。
時間があれば申し上げますけども、実際そういう事例はあるんです。
米韓FTA、米韓が自由貿易協定を合意したといわれてますよね。その結果、みんな日本のTPP推進論者は米韓FTAをうらやましがって、日本もだっていってるけれども、韓国がどういうひどいめにあったのか、それを知ってほしいんですね。
韓国はたしかにアメリカの関税を撤廃してもらいましたが、日本と同じで現地生産やってるから意味がないんですよ。
その代わりになにを失ったか。米の自由化以外全部、米の自由化は阻止したけど、あとは全部自由化ですよ。
米の自由化についてもアメリカはこれから要求していくといってます。
それだけじゃないんですね。農協、漁協の共済、郵便局の保険サービス、これは3年以内に解体。アメリカの保険会社が入れるようになったんですよ。
それから自動車の排ガス規制、安全基準、これはアメリカに有利になるように変更させられることになった。
知的財産権制度もアメリカの要求を丸呑み。
医療については韓国政府が決定した薬の価格について、アメリカの製薬会社が安すぎると不服をいった場合には韓国政府に見直しをすることができる。
ついでにテレビについても申し上げておきますが、放送法の外資規制は緩和になりました。
すなわち韓国は自分たちの健康や環境や安全を自分たちで決められなくなったんですね。
アメリカの大統領は一般教書演説で、米韓FTAによってアメリカの雇用が7万人増えたと凱歌をあげたのだけれども、それは韓国の雇用が7万人奪われたってことなんですね。
ついでにいうと、韓国に対してアメリカがやったことと同じ要求をすでにアメリカは日本に対していってるんですよ。
(笠井アナの説明が入る)
オバマ大統領は昨年11月横浜でのAPECでの演説で「国家輸出戦略について」『この地域への輸出を増やすことにアメリカは大きな機会を見い出している。今後はどの国もアメリカへの輸出が反映の道だと思うべきでない』という発言を紹介。
それに続いて、
環太平洋の多国間の間でアメリカが突出した、アメリカだけが有利になることが決まっていくのかなという印象があるのですが・・・。
中野准教授
決まっていきますね。どうしてかというと、この諸国の中で日本のように工業製品を輸出して農業とかが弱い国はあるんですか。ほかの国はみんな工業製品じゃなくて農産品か一次産品、つまりエネルギー資源とかの輸出国なんですよ。日本と同じような条件の国なんかないんですよ。しかもアメリカが圧倒的にでかいじゃないですか。
そんなものどう考えたってアメリカの有利に進むのに決まってるじゃないですか。
(笠井アナの説明、TPPは農産物以外の分野も含まれている)
食品の検疫分野では輸入牛肉の安全基準が引き下げられる可能性、製品の安全規格分野では遺伝子組み換え食品の製品の表示に影響、金融サービス分野では郵便貯金・簡易保険などで優勢関連法案に影響も、などが交渉対象になるかどうかもわからないんですか。
フジテレビ アベ解説員
それは日本は交渉のテーブルについてませんから。
特に郵貯・簡保のお金をアメリカが狙ってるんじゃないかって議論については、政府側の説明はそういうものは議題に上りませんから、とか、混合診療の話なんかも議題に上りません。
中野准教授
それは日本が(TPPに)入ってねえから議題に上ってないんですよ。
(笠井アナの説明)
TPP交渉の参加について、賛成派は「交渉に入ろう」、反対派は「交渉に入るべきではない」
福田コメンテーター
交渉しようとしてるかって政府の姿勢が見えないんですよ。さっきの保険なんかは狙い目ですから、我々は世界最高の医療制度がどうなっていくかって大きな問題でしょ。こういう問題が出てきたら我々は、こういうふうに交渉しますって政府がはっきりいえばいいんだけど、どうもそういうのは交渉のテーブルに乗らなさそうだといわれても、乗ったらどうするんだってことをみんな心配しているんで。そこの姿勢をはっきりしない限りは交渉に乗るべきではないですよって意見が強くなるのは仕方のないことですよ。
中野准教授
先生、そのとおりでしかも交渉参加っていうのは国際常識では婚約なんですよ。参加が結婚で交渉参加っていうのは参加を前提としたお付き合いなんですね。
それで婚約を破棄するとどうなるかっていうと、日米関係はぐちゃぐちゃになりますよ。世界中から信頼を失う。したがって、一旦交渉に参加したら形式的には出れるんだけれども、実質上、国際政治上、出れなくなるんです。
そんなことは国際常識で、玄葉外相はだからそうおっしゃったんですよね。
それは簡単に抜けられるもんではありませんよ。それなのになんの情報もないのに入るんですか。
福田コメンテーター
農業問題ばっかりに矮小化しちゃってるんですよね。
フジテレビ アベ解説員
それ以外の方がでかいんですよね。
ただ、TPP加入を仮に決めたとき、関税撤廃協定なんかは国会の批准が必要ですよね。
だから最終的には国会が同意しなければいいという人もいるんですよね。
中野准教授
だからそれをやると日米関係がぐちゃぐちゃになるんですけどいいんですか、って話ですよ。
(以下、略)
これまでのTPPの説明の中で、もっともよく理解できた内容なので、紹介することにしました。
最初に中野准教授をみた印象は、なんかちょっとへんな人だったのですが、感情を直接表現してしまうというみたままの人で、TPP参加を議論すること自体に苛立ちを持っていることが、行動としてあらわれてしまうのではないのでしょうか。
中野准教授のキレている様子はネットでも話題になっているようなので、これがきっかけとなってTPPの問題点がたくさんの人に理解されればいいと思っています。
それにしても、ブックマークしているぼやきくっくりさんを見習って起こしてみましたが、たったの16分だと思っていたら、予想以上に大変でした。