迷走していた「たんなさん」のつぶやき

※個人の感想です・・・

ポーカー・フェース/沢木耕太郎

2012年04月03日 | 
沢木耕太郎は私の読書の好みとマッチする数少ない作家のひとりで、ほとんどはずれの少ないアベレージヒッターだったはずなのに、この「ポーカー・フェース」に収められたエッセイは出来、不出来が比較的はっきりとしているような印象を持った。
沢木耕太郎をアベレージヒッターと例えたが、野球の3割打者ではなくてサッカーのPKを決める確率、いやいや、それ以上の確率で昔のテレビ番組「クイズダービー」のはらたいらの正解率くらいの面白さが、イチローの打率並みに下がってしまったといいたかったのだ。

このエッセイの「言葉もあだに」の中に、「ひとりごちる」という言葉が苦手で仕方がないと書かれている。
この「ひとりごちる」という言葉は、私がよく読んでいた作家の誰かがよく使う言葉だと気付き、それが誰なのかすっきりとさせたくなった。
最近読んでいる作家は使っていないので、以前よく読んでいた作家の中からしぼっていくと「宮本輝」に思い当たった。
間違いない。
で、今ネットで検索してみると、ピンポーン。
『ヒトリゴチル, [● ●●●●●] 独り言を言うこと。←作家の宮本輝が多用。』

最後に「ポーカー・フェース」で面白かったものをひとつあげておくと「マリーとメアリー」です。

高峰秀子の捨てられない荷物/斎藤明美

2012年01月29日 | 
我が家ではちょっとした「高峰秀子」ブームが起きています。
きっかけは私が借りてきた「高峰秀子の捨てられない荷物」とい本。
高峰秀子という女優は1960年代以降の生まれであると、テレビはもちろん、映画に出ることが少なくなっているころなので、非常に接点が少ないのです。
そんな大女優高峰秀子の素顔を斎藤明美という作者を通して読んでいくわけですが、これがとっても面白い。
高峰秀子の人間的な魅力と、斎藤明美の書き手としての力量、そのどちらによるものかを確かめたくて、次の高峰秀子本を読んでしまうのです。

80になる母は高峰秀子のことをよく知っているからなのか、私が借りてきたこの本をくいつくように読み始め、わずか4日で300ページを超える本書を読了。
こんなに早く一冊の本を読むのを見た記憶がないほどです。

魅力あふれる高峰秀子と斎藤明美の世界を体験してみませんか。

赤めだか/立川談春

2011年12月01日 | 
立川談志が亡くなって、ネットでいろいろと見聞きしているうちに、この本が読んでみたくなった。
談志の弟子の談春が、自分が真打ちになるまでを談志との深い結びつきとともに綴ったもの。
談志のことはもちろん、談志独立に関連した落語界のこと、談春のことなど、興味深い逸話がいろいろと書かれています。

行間が広いのですぐに読み終わりますが、笑えるエピソードも多くてお薦めです。

今度図書館で談志のビデオでも借りて見たくなっちゃいました。

いねむり先生/伊集院静

2011年08月24日 | 
伊集院静、色川武大(阿佐田哲也)の作品を好んで読んでいた私にとっては、両作家の交流の様子を知ることができて、とても楽しく、一日で読むことができました。
特に愛媛の漁師宅で色紙を求められるシーンでは爆笑しました。
終わり方にやや物足りなさを感じたりもしましたが、個人的には生前の「阿佐田哲也」の私生活を垣間見ることができ、麻雀放浪記のリアリティーが増しました。

この作品の唯一のフィクション部分である弥彦神社のシーンに触発されて、先週末に「弥彦神社」まで出掛けていったのでした。
内容紹介
色川武大との交流を描く著者自伝的小説の傑作
女優だった妻の死後、アルコール依存、ギャンブルに溺れ、壊れてしまったボクは「いねむり先生」こと色川武大に出会う。“大きな存在”との交流の中で、再生を果たす。伊集院静自伝的小説の最高傑作!

女優であった妻の死は入院200日後に唐突にやってきた。癌だった。やり場のない憤りと虚脱感が酒とギャンブルにのめりこませた。半年後にはアルコール依存症になり、ボクは心身ともボロボロに壊れてしまった。幻聴や幻覚も僕を苦しめる。それまでの仕事を整理し、無為な日々を過ごしているときに、知り合いにある人物を紹介された。小説家にして、エッセイスト、そしてギャンブルの神様と呼ばれる“先生”だった。ひと目見た瞬間からそのチャーミングな人柄に魅かれ、いつしか二人きりで競輪の“旅打ち”に出かけることになった。
先生は酒場でも競輪場のスタンドでも、どこでも突然、眠ってしまう。ナルコレプシー(眠り病)という難病のせいだった。また、幻覚、幻聴もあらわれると言う。実は先生もボクと同じものに苦しめられていた。ボクも旅の最中、しばしば発作に苦しめられたが、先生の限りなくやさしい懐に触れるたびに、奇妙な安堵感に包まれていくのを感じた。そして……。ボクは脱出することができた。得体の知れない不安や恐怖という感情がボクの身体の中から消え去っていくのがわかった。

★★★★☆(星4つ)

ポプラ社社長がラジオで水嶋ヒロについて語っていた

2010年12月21日 | 
ポプラ社社長がラジオで水嶋ヒロについて語っていたので、ここに記録しておきます。
2週間ほど前の文化放送の番組です。

社長:水嶋さんはなかなか純粋、ナイスガイ。

Q.基本的に編集の仕事って、さっきもおっしゃっていたけれど、このすごい原石、これはものになるっていうのを(作品を世に)出す時に、当然書き直しとか噂がありますけど。

社長:そりゃそうですよ、当然ですよ、当たり前です。
今回も相当やってもらいましたよ。
最初、大賞に入ったんだから書き直す必要があるんですかって、そうじゃないです。
こっからね、初めて編集者と一緒になって仕上げていくんだと、つまり五木(寛之)さんにしたってね、まあ五木さん怒るかもしれないけど、許してくれるでしょう。
大作家でもいい編集者がついているんですよ。いい編集者といい作家が組んで、お互いに成長していくところに名作が生まれていくわけですよ。
だけど編集者はボクみたいに出たがり屋は珍しいんだけど、黒子って言うでしょ。だから黒子があって初めて、作家が出来るわけですね。

Q.でも、ミュージシャンもやっぱり、いいマネージャーといいミュージシャンか、いいプロデューサーとミュージシャンか、って、こういう絶対対になってますから。

社長:それとね面白いのはね、その作家がね、よその社で書いたら売れるかと、そうでもないんですよ。だからね、やっぱりねー、相性というか会社と全体で総力を挙げてやる会社かそうじゃない会社かというね・・・(以下、略)。


記事の設定が下書きになったままだったのを忘れていました。