すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

頭の黒いねずみ

2007-03-21 19:36:21 | うちのキヨちゃん
 私の家族はお酒が好きである。最近は父はあまり飲まないし、私も勤務の早い日の前日は飲まない。けれど、家族3人それぞれ専用の酒を持っている。好みの問題である。
 ある日、会社の先輩から「泡盛」をいただいた。それは私の好物であるが、いつも飲むものより度数が倍もあったため、なかなか手をつけられずにいた。
 ところが、毎日それは少しずつ確実に減っていくのだ。あまりに不思議なので私はキヨちゃんにこう聞いた。
 「これ、度数が高いけん、蒸発するんかなあ?」
するとキヨちゃんは
 「あほじゃなあ、蒸発するわけないでえ。飲まんものは減らんわ。」
と笑う。
 「けど、私こんなに飲んでないんよ。」
そう反論する私に、キヨちゃんはこう言った。
 「ほりゃあ、母ちゃんが飲みょるもん。」
・・・・・。なぜ私の酒なのだ?いつも自分の酒を飲んでいるではないか。
 どうやら、最近キヨちゃんは夜中におなかがすいて目が覚めると何かしら間食を、眠れなければ寝酒をしているらしい。それで、私の酒がなくなるわけだ。
 しかし、私はこのネズミを甘く見ていたことを思い知らされることになる。
 私の勤務は大変不規則である。一番早いときは4時半起きである。だから、朝からお弁当を作るのが面倒な時が多い。たいがいは前夜の残り物などを詰めるのだが、その日はたまたま夜出掛けていたので、コンビニで明日の昼食を買い込んだ。
 「よし、これで明日は持っていくだけ。」
そう思って安心して眠ったのだ。
 ところが朝目覚めて私は
 「やられた!」
と叫ぶことになる。
 言うまでもなく、うちの頭の黒いねずみが、私のお弁当を食べてしまっていたのである。


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コメント (2)
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