すずめ通信

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第364号 福井日銀総裁に辞任以外の道はない 

2006-06-14 10:35:00 | Tokyo-k Report
【Tokyo】信じられないことだ。日銀総裁が投資ファンドに出資していたとは! そして国会で「悪いことではない」と言い、日銀も「服務規定に違反していない」とコメントするとは! 為替や株の動向で利ざやを稼ぐファンドマネージャーたちは、日銀総裁の一挙手一投足どころか、眉の上げ下げまでウォッチして投機に走る。そういう権能を託された総裁が、特定の投資ファンドに出資して私利を図っていたとは! この国のシステムは、どこまで緩んでしまったのだろうか。

日銀の福井総裁は、生え抜きの日銀マンで、1代ごとに総裁ポストを大蔵官僚に奪われる日銀にとっては、プリンスと呼ばれる待望の総裁候補だった。確かに穏やかで人当たりがよく、少なくとも外部の人間には偉ぶったりはしない紳士に見える。しかし副総裁時代、一連の日銀スキャンダルに殉じる形で退任し、民間のシンクタンクの理事長に就いていた。この時期に村上ファンドの村上ナニガシと知り合い、その考えに共鳴して1000万円を出資、ファンドのアドバイザーも引き受けたのだという。

民間人として出資したことに問題はない。後にインサイダー取引容疑で逮捕される村上ナニガシの「考えに共鳴した」というのは、人を見る目のなさを暴露してはいるが、利に走っての付き合いと捉えれば、弱い人間にありがちなことだし、民間人ならこれも問題ない。問題は、日銀に復帰し、総裁に就任しても、そのまま出資を続けていたことである。「村上ファンドだから悪い」と言うのではない。日銀総裁という職務についている人間が、投資ファンドに個人資金を預けること自体が問題なのだ。

村上ファンドのアドバイザーは、総裁になって降りたということだが(当たり前のことだが)、その後、一度でも食事を共にしていたり、電話連絡を取ったりしていたら、それはもはや「犯罪行為」である。日銀総裁の判断は、為替や株の動向に直結する。だからその胸の内を以心伝心できれば、それは即、大儲けにつながる。日銀総裁とは、そうしたポストなのだ。こんなことは、こうしたことにことのほかうるさい米国では、論外のことだろう。FRBの委員長が、特定の投資ファンドに投資していて、その代表と懇意であるなど、説明が付かない仰天事に違いない。

事明るみに出た以上、彼にできるただ一つのことは、速やかに辞任し、日本の金融・資本市場の信用失墜を、少しでも小さくすることだけである。そしてこうした行為が、服務規程に違反する以前の、とんでもない背信行為であるということを「日銀服務規程」に明記させれば(ナサケナイことだが)、福井総裁は日銀御殿女中集団の改善に、少しは役立ったということになるだろう。

「それが悪いと書いた法はない」と言い続けるなら、「法に触れなければ何をしてもいい」というホリエモンや村上ナニガシとなんら変わるところはない。後任総裁はホリエモンにやってもらったらいい。福井総裁時代と重なる「ゼロ金利政策」は、国民が得るべき利息を金融政策のために巻き上げる、壮大な国家犯罪である。福井総裁語録には、きっとこんな言葉があるのだろう。「銀行利息などは貧乏人の負け組みの関心事。頭のいい勝ち組は投資組合でその何百倍も儲けている」
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