すずめ通信

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第695号 どうなる「議員世襲規制」

2009-04-26 12:40:57 | Tokyo-k Report
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【Tokyo-k】各政党が、次期総選挙のマニュフェストに議員世襲の規制を盛り込むかどうか、私は強い関心を持っている。いわゆる2世議員の増殖が、この国の政治のダイナミズムを阻害し、政治への人材参入を妨げ、ひいては政治(および政治家)に対する人々の蔑視を強めている――と考えるからだ。

社会の仕組みを考えるまでもなく、政治がこんな状態でいいはずが無い。ましてやそうした状況を放置して、健全な社会が生まれるなど期待しようもない。このことを深刻に考える政治家も出て来ているのだろう。各政党のマニフェスト創りで、立候補者の世襲規制が浮上しているらしい。

先日、こうした動きに対する閣僚たちの反応が伝えられた。現政権は世襲議員の標本箱のような有様だから、2世議員の「思い」を知るには閣僚に意見を聞くことが手っ取り早い。マスコミの安易な手法だが、とりあえずの興味は満たす。そしてそれは、見事に反論・反発に満ちていた。

「立候補する権利は国民固有の権利だ。規制することは憲法に抵触するんじゃないか」《そう、そこが難しい点だ=筆者注釈、以下同》
「世襲で当選するのは、言われるほど楽じゃない」《じゃあ、なぜ親と無縁の選挙区から立候補しないの?》
「親の力で当選したんじゃない、私の実力だ」《あんた、まさか本気でそう思っているんじゃないだろうね!》
「地元はだめで、他なら立候補してもいいなんて、おかしいよ」《地元ったって、どうせあんたは東京育ちだろ?》

まあ、自分たちの存在意義を否定されるようなことだから、2世閣僚たちが反発するのは当然の感情だろう。ただ彼らの反応を聞いて知ったのは、その思考には、政治の現状に対する危機感や、そうした状況をもたらしているところの根源を考えようとする発想が、見事なまで欠如しているということだ。

2世たちにとって、親の知名度をそのまま受け継ぎ、政治資金を無税で相続して選挙に臨むのだから、親が作ったコウルサイ人間関係さえ当面は我慢すれば、どう考えたって選挙は楽なはずだ。そうやって議席に安住している面々なのだから、現状維持がいいに決まっている。

さて、各党(特に自民党)のマニュフェストに、どのような改革公約が盛り込まれるか、注視していよう。憲法に抵触してはいけないけれども、このままでは社会がだめになると自覚すれば、それを何とかすることが政治家の仕事だ。政治と公務員の制度改革が、日本の最優先課題だ。それがあって初めて、次の地方分権改革なども見えて来る。

「有権者が選ばなければいい」式のお茶の濁し方では、もはや時代が待ってくれない。

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