鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

台湾との青少年交流と防災交流

2018年06月05日 | 議会活動

 

平成30年6月5日(火)

 

 台湾には「台湾国際教育旅行連盟」という青少年の国際交流を積極的に進める組織が立ち上がっています。ワンストップで青少年の国際交流を推進するための窓口として、日本国内、特に本県との交流に大きな影響を持つことから、今回視察をさせていただきました。

(学校玄関の訪問歓迎ボード)


(訪問団と学校関係者達)

 

 本県も青少年の国際交流を活発化させることを決め、高校生の修学旅行などの際にその訪問先を海外に目を向け始めています。富士山静岡空港開港をチャンスと捉え、この空港を利用して県内の高校生達が台湾をはじめとする海外へ。また、海外の学生が静岡県を訪れる相互の交流が進んでいます。

 これらが実現するためには、相手先の希望や受け入れなどに関する情報収集は欠かせません。また、それを実現するための組織が必要となります。

 

 台湾国際教育旅行連盟は、平成14年12月に台湾教育部(日本の文科省相当)の指導により、高校の校長が立ち上げた組織で、北台湾、中台湾、南台湾、東台湾、台北市、高雄市の6分会により構成されています。

 この組織は、区域内の学校の特色や需要に基づき、国際教育旅行活動の企画を支援し、青年学生の国際教育旅行促進の執行機関の役割を担っています。青少年の国際交流の意義は、異なる生活文化体験や相互理解などを期待するとしています。交流は長期的な友好関係を樹立し、「台湾から世界へ。世界から台湾へ、ともに世界の友人を作ること」を目標に掲げています。

 

 本県と台湾との教育旅行等の推移では、平成26年に訪台が公立8校、私立6校、来静が公立13校、私立5校から始まり、毎年それぞれが増え続け、平成29年度は訪台が公立15校、私立5校、来静が公立16校、私立2校となっています。特に平成29年度は海外への修学旅行先として台湾を選んだ高校が一番多かったといいます。

 

 最近の動向では、去る5月25日に、今回訪問した台湾国際教育旅行連盟の会長ほか6名が来静し、知事をはじめ県教育長、学校関係者や旅行会社と意見交換を行い、特に今回私達が訪問した際に受けた取り組みなどを説明したとのことでした。

 

 台湾国際教育旅行連盟の会長は、台中市にある市立文華高級中学校(日本の高校と同じ)の校長でもある薛光豊(せつこうほう)氏で、私達はこの学校を訪れ、団体の代表者の立場と校長としての立場で、国際教育旅行の意義や静岡県との関わりを深めていくための説明を聞くことができました。

 また、彼のほかに、校内の担当教員からもこれまでの取り組みについて説明を聞き、その後はダンス専攻の学生達の日頃の練習の成果を披露していただきました。

(会長の薛光豊氏)


(静岡県内の高校を訪れたときの様子を説明する担当教諭)


(説明資料は本県を訪問した時の報告書を製本化し提供された)


(ダンス専攻の生徒達は優秀な者ばかりという)


(ダンス専攻の学生達が披露)


(学生達と訪問団が記念撮影)

 

 説明資料は静岡県を訪れたときの報告資料をわざわざ製本化し、その意気込みが感じられました。

 説明からは、相互の教育旅行の意義や期待される効果、訪問を希望する側と受け入れる側のマッチングを実現するための情報提供の仕組みなど、本県にとっても大変参考になる内容でした。

 印象深かったのは、私の地元である富士市大淵の笹葉から見た新緑の茶畑と富士山の景色に感動していたことは忘れられません。海外からも大きな評価を受けていることを実感しながら、教育旅行の推進について改めて考えさせられる機会となりました。

 

 

 本県と台湾との防災交流は、東日本大震災が発生し日本と台湾の間で絆が深まり、その直後に富士山静岡空港が開港したことを契機に、文化や教育交流などとともに本県が長年に渡って培ってきた地震防災のノウハウや、台湾が台風などの風水害対策のノウハウを持っていることから、相互の防災力を高めるためにスタートさせたものです。

 台湾は日本と同じように大きなプレートの境界に位置し、これまでも大きな地震が何度も襲っています。台湾は九州と同じくらいの面積ですが、富士山より高い山が二箇所あり、プレートのぶつかり合いにより隆起した高山を持つ島です。

 1999年9月21日には、台湾中部でマグニチュード7.3の地震が発生し、多くに被害が発生しました。台湾ではこの地震の歴史を記録し、活きた地震教育の教材提供を目的として、断層のずれや倒壊した校舎などを災害遺構として残し、台湾の防災教育に役立てています。この施設は、台中市内にある「921地震教育園」と呼ばれ、施設のガイドにより説明を受けました。

 

(921地震教育園の前で)


(元中学校は災害遺構として残され防災教育に活用された)


(グラウンドは逆断層により隆起)


(断層のずれを示す断面)


(地震の前兆を教えるという牛。日本ではナマズだが)


(過去の地震の歴史が記される)


(地震のP波とS波について解説する職員)


(台湾の活断層を説明)


(地震に強い建物と弱い建物を実験で説明)


(台湾政府の防災担当も同席)


(災害は地震だけではない。大きな風水害についても説明)


 本県と台湾は平成26年以降、各地と防災協定を結び、台中市とは平成29年1月に締結しています。この協定は「防災に関する相互応援協定」で、発災時における相互支援のほか、視察団の派遣や受け入れを通じた防災力の向上を目指し交流を進めています。

 

 視察した施設は、被災した中学校が逆断層の上に建っていたことから大きな被害を受けました。そのほとんどを現状保存し、その建物建築方法の問題点の解析に役立てています。また、地震発生のメカニズムや教訓を生かした防災教育の場として、価値のあるものと理解できました。

 本県では地震防災センターがありますが、実際に被災した環境がそのまま残されている状況での防災教育は説得力があります。大きな災害を受けた環境をそのまま残す災害遺構について、東日本大震災以降、話題となりますが、被災者の複雑な感情には理解するも、後世に残すべき教訓の証として大きな意味があることを改めて感じました。

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