簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
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食べたまま、書いてます。

四国遍路 仲間意識

2009-11-27 | Weblog
高い石段を登った先の本堂にお参りをして次の札所に向う。

 【写真:太龍寺本堂】

21番札所・太龍寺には、ここ鶴山を一旦下り、那賀川を渡ってからもう一度標高600メートルの太龍寺山を登る。
これも鶴林寺道に負けず劣らぬ厳しい山道で、6.5キロほどの行程だ。

宿坊脇に、ぽっかりと口を開けたように、下り道が見える。
急斜面にへばり付くように作られた階段だ。
「これを下るの・・・」と言わしめるほどの、行き成りの急な下りが待っていた。

コンクリートの階段は、やがて石畳となり、更に地道の丸太階段に変わり、時にはごろごろとした石ころ道になり、
長く、深く、何処までも下って行く。
これだけ下りばかりの道を行くと、下りが楽とは侮れない。
気を抜いて歩いていると、腿と膝が痛くなる。
痛めてしまったら大変だから足元には細心の注意が必要だ。

 

 【写真:下りの遍路道】

途中、後ろからの人の気配に、道を空け譲る。
「お先に」
「後ろから女房が来ます」
と言い残し、精悍なスポーツマンタイプの男性が、足元も軽やかに下って行った。
昨夜同宿だった夫婦連れのご主人の方だ。

これを機に少し休もう、と道端に座っていると、暫くして
「主人、待ってくれなくって」と言いながら、笑顔の素敵な奥さんが降りてきた。
「ご主人、この先で休まれていますよ」
少し先の下りカーブの道端に、黒いザックが見える。
この厳しい道を、なんだか“鬼ごっこ”でもしながら、楽しんで下っている風にも見える。

今回のコース、立江寺から鶴林寺、太龍寺、平等寺を経て薬王寺に至る遍路道は、宿泊場所が限られている。
従って、立江寺を出て生名で泊った遍路の多くは、鶴林寺・太龍寺を経て、次は黒河で泊る事になるが、この地の
宿の数が限られているので、いきおい二日間同じ宿に泊ることになる。

 【写真:遍路道にて】

そんな遍路が何組も、同じような日程で、同じような時間に、同じ道を、抜き、抜かれながら、絡み合うように
下っているから、いつの間にか、なんだか大勢の仲間と共に歩いているような錯覚に陥ってくる。
不思議なことに仲間意識のようなものが芽生えて来る。
だからこそ見ず知らずの初対面の遍路であるにも関わらず、気軽に声が掛け合えるのかも知れない。
こんな事も、歩き遍路の大きな魅力の一つだと思う。(続)
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