思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

再読!『f植物園の巣穴』梨木香歩

2021-10-06 16:05:15 | 日記
『f植物園の巣穴』梨木香歩

『椿宿の辺りに』を読んだ勢いで、再読しました。
ぜんぜん覚えてなかったけど(ゆえに?)
楽しかったです。

自然豊かな日常と、
ちょっと奇妙な出来事と、
怪異に戸惑いつつも淡々と暮らしを営む主人公。
ザ・梨木さんらしい世界観の作品。

1行目から不思議なトーンで始まるけれど、
初っ端からすでに、巣穴に落ちていたんでしょうね。

気付いたら日が暮れていたり、
歯医者で犬が働いていたり、
唐突に不思議なことが起きるけれど
主人公はなんだかんだで日常を生きていく。
私だったら、とりあえず歯医者は変えるけどなあ…。
痛そうだし。

時代としては昭和初期ですかね?
再読して改めて感じたことだけれど、
主人公の「ちょっと古い亭主関白」感覚は
気になると言えばなる。
まあ、時代的にもこんなもんかと思えば、そうなんだけど。

不思議状態に巻き込まれているのに
洋食屋のレシピ(美味しかったらしい)を聞いちゃうとか
真面目に抜けている感じは、すごく良い。

この主人公「サタトヨヒコ」のひ孫が
『椿宿の辺りに』の主人公・山幸彦のようです。

前半、
ふと気付いたら女物の草履を履いていたようだ、
というエピソードが出てくるのだけど、
これ、最後に意味わかるんですけど、ゾクっとします。
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門井慶喜『銀河鉄道の父』こんな息子イヤだ

2021-10-05 12:14:58 | 日記
『銀河鉄道の父』門井慶喜

第158回直木賞(2017)受賞作。
宮澤賢治の父・政次郎の視点の物語。

政次郎パパは、
大正という新時代を意識している世代。
デモクラシーとか、女性解放運動とかね。
でも両親は明治生まれで前時代の価値観100%。
そういう親に育てられた世代でもある。

というわけで幼少時代は成績優秀だったものの
「商売に教育はいらない」という家のモットーに従い
進学を諦めて家督の質屋を継いだ政次郎パパ。

さて、自分はどんな父になるべきか、と。
子どもに無条件の愛を感じつつ、家長としての体面は大事。
でも、新時代の父としての生き方も真面目に考えちゃう。
政次郎パパ、めっちゃ良いお父さん。

そして賢治は働かない笑
クソ坊ちゃん。
ワガママ、甘ったれ、金食い虫、商売センスゼロ。
そして極め付けにシスコンだ笑

こんな長男、オラ嫌だ。
でも政次郎パパ、一生懸命に向き合う。
愛しちゃってるから。
超良いお父さん。

さらに、長男がダメダメなので、弟妹の自立も遅れる。
妹たちは婚期が遅れる、養い扶持ばっかりかかる、
政次郎パパ大変。
私も良い中年なので、お父さんの気苦労にシンクロしちゃって
涙なしには読めないレベルだった笑

ちなみに宮澤賢治は、石川くんこと石川啄木と同窓で
憧れていたらしい。
ダメ男どもめ…。
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