思惟石

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『山月記』教科書に載ってなかったけど、ずっと好きだった

2021-10-15 08:29:06 | 日記
『山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)』中島敦

33歳で夭折した中島敦の作品集。
特に前半に収録されている漢語書き下し文風の、
声に出して読みたいような
不思議なリズム感のある作品が、
素晴らしかった。

ほんと、音読したい。

書評サイト等では『李陵』の評価が
高いように感じたけど、
個人的にはやっぱり『山月記』が大好きだな。
文献の李徴は、中島敦の作品よりももっともっとプライドが高くて
暴力的だったらしいけれど
(まったく無意味に逆切れして放火した罪で
虎に堕したとかなんとか、ダメ人間だろ)。
そんな単純な罪ではなく、
自分の心の弱さと傲慢さが虎の姿となったという
中島敦のアレンジはすごいと思う。

あと、最後に収録されている、
自身の叔父を描いた私小説のような
『斗南先生』もおもしろかった。
コメント
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