思惟石

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『遊覧日記』武田百合子

2021-09-24 13:39:54 | 日記
『遊覧日記』武田百合子

武田百合子は夫・武田泰淳が亡くなって久しく、
娘の花ちゃんも妙齢となり
ひとり悠々自適生活を送る年頃に。
そんな彼女が都内のあちこちをうろうろ遊覧したエッセイ。
超素敵。

『富士日記』での別邸生活に親しんだ口なので、
都内を歩き、描写する百合子氏は新鮮。

ほとんどの遊覧にH(娘の武田花氏)が同行しているのも
あの親子らしくて、とっても良い感じである。

内容は、本当に「うろうろしてる」という感じなのだけど、
さすがの武田百合子節である。
浅草でお風呂に入って天丼を食べるだけなのに、
読んでいて楽しい。
剥製屋に何度も通う姿も良い。
川沿いで桜を見ながらお酒を飲むのも、
ビアガーデンらしき屋上で飲んでいるのも、良い。

武田百合子になりたい。

この『遊覧日記』は、小原流機関紙『挿花』に
昭和61年の12カ月間に連載されたものらしいです。
武田百合子に連載を頼む華道団体…、
凄いな。うらやましいな!
コメント
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