思惟石

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『堆塵館』19世期のヘンテコおもしろファンタジー

2021-09-16 17:14:35 | 日記
『堆塵館』
エドワード・ケアリー
古屋美登里:訳

<アイアマンガー三部作>と呼ばれているシリーズの一作目。
アイアマンガーという変わった名前の一族の物語です。

舞台は19世紀後半のイギリス。
アイアマンガー家は、
ロンドンから出る大量の「ゴミ」を司る一族という設定。
(当時のロンドンの汚さとゴミ問題は凄かったらしい。
 『香水』で描かれる肥溜め臭ただようパリを思い出す)
「堆塵館」はそんなロンドンから出た廃屋やゴミをツギハギした
一族の住む広大なお屋敷。
表紙と裏表紙に堆塵館のイメージイラストが描かれていて
見ているだけでも色んなイワクが有りそうで、楽しい。

さらに一族には「誕生の品」を持ち歩かなければいけない
というヘンテコな掟もある。
バスタブの栓やら片手鍋やら茶こしやら。

一族を支配するおじいさまを乗せた地下列車。
お屋敷に隣接するゴミ山と、そこでの宝(?)探し。
ゴミの津波とゴミの嵐と、さらにはゴミ人間(!?)。
ヘンテコだらけの設定がおもしろい上に、
最後まで読むとただのヘンテコ設定じゃなかった!
という驚きと嬉しさまである。
凄い。

主人公は一族の少年で、モノの「名乗り」が聞こえる
クロッド・アイアマンガーと、
孤児の女の子ルーシー。

自分の変な能力や、一族の変な歴史や罪に悩み向き合う
クロッドは応援したくなる。
一方で、
ルーシーは盗癖があって(超ナチュラルに物を盗む)
我が強くて(盗癖を正当化するな)
あまり好きになれない。
この子、2作目以降で変わっていくのかな。
コメント
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