思惟石

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『13・67』陳浩基(ちん こうき)

2021-09-01 16:18:05 | 日記
『13・67』
香港警察で「名探偵」と呼ばれたクワン警部が主人公の
「警察小説」です。
陳浩基(ちん こうき)は、香港在住のミステリ作家。

内容は六章に分かれていて、
それぞれが独立したミステリとも言えるけれど
クワン警部の人生に沿った見事な連作でもある。

これ、時系列が逆に流れるんです。

第一章が2013年、
クワン警部最期の事件。
ちなみに内容は、
脳波で「YES」「NO」を測定して推理を進める(?)
という変わりモノ設定の推理劇。
これだけでも、だいぶおもしろい。

最終章が1967年、
クワン警部の若かりし時代の物語。

というわけでタイトルが『13・67』なんですね。
なるほど。

第二章は、
香港裏社会の実情をふんだんに描いた
マフィア物。
第一章の「イマドキ」感とはうってかわって、
『新宿鮫』っぽくておもしろかった。

第四章は警察内部の人間関係や権力争いを描いた
ザ・警察小説。
これも異なる味わいがあっておもしろい。

とにかく、各章の味付けが、全然違う。
サービス満点だなあ。
良い意味で一気読みしなくてもいいじゃないかと言えるくらい、
各章それぞれの出来が良い。
単行本で上下巻に分かれていて
なかなかのボリュームですし。
コメント
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