「暗闇のスキャナー」の後には積読しているディックの長編でも読もうかなぁとも思ったのですが私の場合ディックの長編を続けて読む体力(?)がない気がして…。
同じSFでも方向性が違うであろう本書を手に取りました。
本自体は昨年ブックオフで見つけて購入済でした。

これまた絶版のようです。
‘12年ローカス誌オールタイムベスト18位、06年SFマガジンベストでは44位、'14年SFマガジンベストでは残念ながらランクインしていません。
またタイム誌1923-2005英語小説ベスト100にも選ばれており、英語圏ではSFの世界外からも高く評価されている作品のようですね。
1992年発刊。
内容(裏表紙記載)
上
30分以内に配達できなければ、死が待っている…マフィアが経営する高速ピザ配達フランチャイズの“配達人”ヒロ・プロタゴニストは、世界最高の剣士にして、腕ききのハッカー。仮想空間のメタヴァースでスノウ・クラッシュと呼ばれる新種のドラッグを試してみないかと誘われたことから、とんでもない事件にまきこまれていくが!?近未来のアメリカをスピーディに駆けるハッカーたちの活躍を描くネット世代のためのSF。
下
高速で走る車に勝手にケーブルをつないで、道路を縦横無尽にスケートボードで走りまわる15歳の少女、Y・T。危険きわまりないRadiKSの“特急便屋”をしていることは、もちろんママには内緒だ。ふとしたことからヒロと知り合ったY・Tは、現実と仮想空間のメタヴァースの両方でばらまかれたウイルス、スノウ・クラッシュをめぐる奇怪な陰謀にまきこまれるが…近未来をあざやかに描くポストサイバーパンクSF。
本作「ポストサイバーパンク」作品に位置づけられているそうですが、ポストサイバーパンクってなんでしょう?
「サイバーパンク」すらよくわからない私がいうのも何ですが、本作読んで感じたのはエンターテインメントの要素がかなり入っているように感じました。
シュメールの楔形文字をめぐる話などは半村良の伝奇小説を読んでいるかのよう。
内容紹介のとおり世界最高の剣士にしてハッカーの主人公ヒロ・プロタゴニストがピザ配達しているところから始まる話ですので、設定はかなりぶっ飛んだものです。
そこから説明なく場面がころころ変わるので最初はついていくのが大変ですが、序盤を乗り切ればちょっと変わった伝奇小説、ハードSF的展開になるので普通に面白く読める作品ではないかと思います。
「言語」にまつわる話でバベルの塔の話も出て来たり、ディレイニーの「バベルー17」を「下敷きにしているのかなー」ともちらりと感じたりしました。
その他「昔のSF参考にしているのかなぁ?」という感じた部分もありメタSF的な面もあるのかもしれません。
(終盤「原爆」の放射能で生まれたミュータントどうしの戦いあたりは昔の安手のSF風)
「面白い」だけに「ニューロマンサー」のように形而上的ななにやら「高尚なことが書かれているのかなぁ」という印象は受けませんでした。
その辺が「ポスト」サイバーパンクたるゆえんでしょうかねぇ。
なお一番つぼにはまったところはヒロインY.Tの母親が勤める、すっかり無力化しているアメリカ合衆国連邦府での勤務状況。
全く自由がなく管理されている上に非効率な状況は、今の日本の企業がこのまま進むとこうなりそうなマンガ的な状況で…面白くもあり怖くもありました。
「オフィスのトイレットペーパー管理方法」の変更通達文書が各自PCの電子掲示板に表示され、それを読む秒数をチェックされている場面など…なんだかそうなっても不思議じゃないような…。
読むのが速すぎると不真面目、遅すぎると理解能力不足かサボタージュ傾向だそうです。
ちなみに標準秒数ピッタリだとこれまた駄目らしい。(最高に反抗的)
標準秒数よりちょっと速いと有能だけでケアレスミスがありそう、ちょっと遅いと要領は悪いが真面目だそうです。
全編こんな感じのアイロニーたっぷりの話が出てきて、最後の方の海洋小説展開も凝っていて、うまく書かれた小説だとは思いましたが...。
あくまで個人的事情かとも思いますが、最近SFばかり読んでいてSF的「何でもアリ」展開に食傷気味になってきていて「あーこうきたのね」と冷めた目で見てしまい素直に楽しめませんでした…。
条件設定があまりに1992年的でちょっと陳腐に感じた面もあるかもしれません。
本作、もともとゲームのシナリオとして描かれた作品でもあるようで「真剣に読む」というよりは皮肉の効いた場面やらセリフと、メタSF的展開を楽しみながら読む作品なんでしょうね。
SFに冷静な評価ができなそうなのでしばらく離れようかなぁと思っています。
↓よろしければ下のバナークリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
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同じSFでも方向性が違うであろう本書を手に取りました。
本自体は昨年ブックオフで見つけて購入済でした。

これまた絶版のようです。
‘12年ローカス誌オールタイムベスト18位、06年SFマガジンベストでは44位、'14年SFマガジンベストでは残念ながらランクインしていません。
またタイム誌1923-2005英語小説ベスト100にも選ばれており、英語圏ではSFの世界外からも高く評価されている作品のようですね。
1992年発刊。
内容(裏表紙記載)
上
30分以内に配達できなければ、死が待っている…マフィアが経営する高速ピザ配達フランチャイズの“配達人”ヒロ・プロタゴニストは、世界最高の剣士にして、腕ききのハッカー。仮想空間のメタヴァースでスノウ・クラッシュと呼ばれる新種のドラッグを試してみないかと誘われたことから、とんでもない事件にまきこまれていくが!?近未来のアメリカをスピーディに駆けるハッカーたちの活躍を描くネット世代のためのSF。
下
高速で走る車に勝手にケーブルをつないで、道路を縦横無尽にスケートボードで走りまわる15歳の少女、Y・T。危険きわまりないRadiKSの“特急便屋”をしていることは、もちろんママには内緒だ。ふとしたことからヒロと知り合ったY・Tは、現実と仮想空間のメタヴァースの両方でばらまかれたウイルス、スノウ・クラッシュをめぐる奇怪な陰謀にまきこまれるが…近未来をあざやかに描くポストサイバーパンクSF。
本作「ポストサイバーパンク」作品に位置づけられているそうですが、ポストサイバーパンクってなんでしょう?
「サイバーパンク」すらよくわからない私がいうのも何ですが、本作読んで感じたのはエンターテインメントの要素がかなり入っているように感じました。
シュメールの楔形文字をめぐる話などは半村良の伝奇小説を読んでいるかのよう。
内容紹介のとおり世界最高の剣士にしてハッカーの主人公ヒロ・プロタゴニストがピザ配達しているところから始まる話ですので、設定はかなりぶっ飛んだものです。
そこから説明なく場面がころころ変わるので最初はついていくのが大変ですが、序盤を乗り切ればちょっと変わった伝奇小説、ハードSF的展開になるので普通に面白く読める作品ではないかと思います。
「言語」にまつわる話でバベルの塔の話も出て来たり、ディレイニーの「バベルー17」を「下敷きにしているのかなー」ともちらりと感じたりしました。
その他「昔のSF参考にしているのかなぁ?」という感じた部分もありメタSF的な面もあるのかもしれません。
(終盤「原爆」の放射能で生まれたミュータントどうしの戦いあたりは昔の安手のSF風)
「面白い」だけに「ニューロマンサー」のように形而上的ななにやら「高尚なことが書かれているのかなぁ」という印象は受けませんでした。
その辺が「ポスト」サイバーパンクたるゆえんでしょうかねぇ。
なお一番つぼにはまったところはヒロインY.Tの母親が勤める、すっかり無力化しているアメリカ合衆国連邦府での勤務状況。
全く自由がなく管理されている上に非効率な状況は、今の日本の企業がこのまま進むとこうなりそうなマンガ的な状況で…面白くもあり怖くもありました。
「オフィスのトイレットペーパー管理方法」の変更通達文書が各自PCの電子掲示板に表示され、それを読む秒数をチェックされている場面など…なんだかそうなっても不思議じゃないような…。
読むのが速すぎると不真面目、遅すぎると理解能力不足かサボタージュ傾向だそうです。
ちなみに標準秒数ピッタリだとこれまた駄目らしい。(最高に反抗的)
標準秒数よりちょっと速いと有能だけでケアレスミスがありそう、ちょっと遅いと要領は悪いが真面目だそうです。
全編こんな感じのアイロニーたっぷりの話が出てきて、最後の方の海洋小説展開も凝っていて、うまく書かれた小説だとは思いましたが...。
あくまで個人的事情かとも思いますが、最近SFばかり読んでいてSF的「何でもアリ」展開に食傷気味になってきていて「あーこうきたのね」と冷めた目で見てしまい素直に楽しめませんでした…。
条件設定があまりに1992年的でちょっと陳腐に感じた面もあるかもしれません。
本作、もともとゲームのシナリオとして描かれた作品でもあるようで「真剣に読む」というよりは皮肉の効いた場面やらセリフと、メタSF的展開を楽しみながら読む作品なんでしょうね。
SFに冷静な評価ができなそうなのでしばらく離れようかなぁと思っています。
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