しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

アシモフ短編集未収録SF短編-SFマガジン

2018-12-25 | 海外SF
本ブログで何回か書いていますがアシモフの邦訳されたSF作品は全部読もうと思っています。
一応アシモフ単著の長編は「永遠の終わり」でコンプリートのつもりです。

短編の方は短編集収録作品は「コンプリート・ロボット」収録の未読分を読んで完読したつもりです。

未収録で邦訳のある作品のうち「S-Fマガジン」掲載の作品は読了したのでまとめて紹介です。

他にも数点ありそうなのは認識していますが...まぁここまでやれば、「アシモフ作品」だけならまぁまぁマニアかと...。

該当の「S-Fマガジン」はあれやこれやで入手しました。

入手経緯ですが、

1970年1月号:覆面座談会事件の流れで購入済(アマゾンで古本)でした。

1982年2月号アマゾンやら色々探しましたがどうにもみつからずヤフオクで1年分12冊を2000円で購入、「引き潮のとき」の連載など中身は興味深いのですが...。
残り11冊を捨てるのも何なのでどうしようか思案中です..。

1988年1月号アマゾンで古本を購入。

1990年10月号:アシモフ短編収録作品とは知らず「400号記念号」ということで神保町の古本屋で見つけ購入して持っていました。

1995年12月号アマゾンで古本を購入。
アシモフ特集号、アシモフファンは必読でしょう。
伊藤典夫氏のアシモフ評も必読かと。
自ら訳した「未来探測」につき「最後まで訳して不覚にも妙に、感動してしまった。」伊藤氏ならではの感性です。


各編内容紹介と感想など
「ホームズ=ギンズブック装置」S-Fマガジン1970/ 1 No.129
 浅倉久志訳 原題:The Holmes-Ginsbook Device 初出If 1968/12

・21世紀の科学者が発明しノーベル賞を得たものは…。

・力を抜いたユーモア短編です。
21世紀現在(2018年)の現実はタバコはアイコス化が進み、本はマイクロフィルムとビューワーではなく、タブレット端末で見る形での電子化となってそれなりに普及していますが…。
紙巻タバコも紙の本もそう簡単にはなくならない気がしてましたが...結構電子書籍も電子タバコ(アイコス)など普及してきましたね。

ただ本は場所考えると電子書籍は圧倒的に便利で移行しようかなぁとは思うのですが、紙と電子はなんだか感じが違う気が私はしています。
(タバコもそうなのかもしれませんが吸わないのでわかりません)

「チオチモリンと宇宙時代」S-Fマガジン1982/ 2 No.283
 浅倉久志訳 原題Thiotimoline and the Space Age 初出Analog 1960/10)

・時間化学の第一人者が水に触れる前に時をさかのぼって溶解してしまうチオモリンの有用性に関する講演をします。

・架空の化学物質「チオモリン」を題材にした短編は3編書かれているらしいですが本作が最後に書かれたものとのこと。
他2編が論文形式なのと比べ「講演」という形をとっています。
内容は…楽しんで書いている「ほら噺」という感じです。
ハリケーンが戻ってくるくだりなど楽しめましたが...強引です(笑)

「夢みるロボット」S-Fマガジン1988/ 1 No.361
 小尾芙佐訳 原題Robot Dreams 初出IASFM 1986/12

・若手女性科学者リンダが手を加えたロボットは「夢を見る」という。話を聞いた蝋スーザン・キャルヴィンの決断は…。

スーザン・キャルヴィンものとしては最後に近い作品なのではないでしょうか。
晩年のアシモフはどこかでロボット3原則に疑問というか、憎しみに近いものを持っていたのかなぁと感じさせる作品です。

後期ファウンデーションものも3原則逸脱させてますしね。
本作でもその辺垣間見えるブラックな展開です。
後述の「未来探索」もそんな感じです。

「マイクの選択」S-Fマガジン1990/10 No.400

 小尾芙佐訳 原題Too Bad!  初出IASFM 1989/12
・主人の癌を治すためミクロ化されて体内に送りこまれたロボット マイクの選択は…。

ミクロの決死圏パロディ的な作品。
「夢みるロボット」「未来探索」と違いロボット三原則の第一原則を忠実に守るロボットの活躍です。
三原則を忠実に守る優秀なロボットにやらせれば「こうなる」という思考実験的なものですが、穿ってみれば三原則否定なのかもしれませんね。

「未来探測」S-Fマガジン1995/12 No.474
 伊藤典夫訳 原題Robot Visions  初出Robot Visions 1990

・200年後の未来に送り出されたロボットは平和で落ち着いたハッピー・エンディングとでも言うべき世界であったが…。

・前述の伊藤典夫氏いわく「ロジックの多少の破綻など、この時期のアシモフにはどうでもよい」といわしめていますが、突っ込みどころはありありですし、陳腐といえば陳腐なのですが....。
徹底した平等主義者・無神論者のアシモフとしての一つの理想像、かつ三原則からの「脱却」と答えを表す作品なのかもしれません。
人造人間=アンドロイドという形ではディックなどが三原則にとらわれず作品書いてますし、ロボットが兵器となるターミネーターのような作品もありますしね....。
その辺は後期ファンデーションでも描かれている気はします...。

なお本作品は1996年の星雲賞海外短編部門を受賞しています。

「S-Fマガジン」700号記念号に、1997年1月号に掲載された「SFインターセクション」第一回 大森望氏による伊藤典夫氏のインタビューが掲載されています。
(なお大森望氏は「未来探索」について「正直いってそれほどすぐれた短編とは思えないから、これは伊藤典夫氏の力だろう」といっています。伊藤氏が翻訳者として「アインシュタイン交点」で行き詰っていたを打開して活動再開した時期であった)

伊藤氏いわく「アシモフは1940年代の「ロビイ」から、自分をロボットに仮託して書いていたんじゃないか」
これまたなるほどです...。

未収録作品、正直無理して「読まなきゃ」というほどの作品ではありませんが…。
まぁ読めば読んだなりに感慨深くはあります。

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