Our World Time

こころの叫び   (2012/09/26 11:42アップ)

2012年09月26日 | Weblog


(その1 9/25記)

▼明日は自民党総裁選の日ですね。
 現在は、その前日の9月25日火曜の午後1時40分です。
 ぼくは今、近畿大学経済学部でおこなう国際関係論の講義、それに関西テレビの報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」の生放送前日の議論(ふつうに表現すれば、打ち合せ)、それに在阪の経済人らとの議論のために大阪に出張しています。
 その合間に、モバイル・パソコンを開き、この地味ブログの新しいエントリー(書き込み)を、したためています。


▼ほんとうは、上記の3つの日程をしっかり遂行するために、移動の機中やタクシー車内、それに待ち時間には、いくらかでも心身を休めたりしたいところです。
 もっと大切なのは、眼を閉じて、考えを自由に遊ばせて、3つの日程にどう臨むか、次第に考え方が熟していって定まっていくのを待つこともしたいのです。

 しかし今日は、自民党総裁選が決着する前に、すなわち明日9月26日の午後2時半ごろになる前に、どうしてもアップしておきたいエントリーがあります。


▼ぼくがテレビ番組で、自民党総裁選で石破候補の支持を表明したという書き込みが、この地味ブログにこの頃、いくつか来ました。

 自民党の総裁選であれ、衆参両院の選挙であれ、国政にかかわる選挙で、ぼくが特定候補の支持を表明したり、あるいは不支持を表明したりすることは、ありませぬ。

 ぼくがテレビ・ラジオなどのメディアで(わずかながら)発信しているから…ではないのです。
 むしろ評論家とか、職業的なTVコメンテーターなどのひとびとは、特定候補の支持や不支持を表明した方がいいと考えます。
 表明しない振りをして、実際はある方向に視聴者や国民を誘導しようとすることが、いちばん悪質です。
 この頃は、新聞が「客観報道」という仮面をかなり剥ぎ取って、産経新聞から朝日新聞まで、ずいぶんと論調が明確に分かれてきました。この方が、いわば「仮面の客観報道」より、ずっとマシだと、ぼくは考えています。

 一方、現在のぼくの本職は、実務者です。
 実務者というのは、政権がどうであれ、国民のためにやるべきことを常にやらねばなりません。
 ぼくと独研(独立総合研究所)の担っている実務は、危機管理・安全保障、そして国民保護法に基づく住民保護・国民保護です。
 たとえば、原子力発電所に関しては、原子力による発電に賛成、反対を問わず、あるいは稼働、不稼働を問わず、原発がテロリズムに弱いという重大なリスクを政治家にも官僚にも国民にも、専門家の端くれとして明示したうえで、常に、北朝鮮の工作機関をはじめとするテロ攻撃リスクを事前に抑止し、また、起きてしまったときは被害を最小限にする実務を、自立・独立した民間シンクタンクとして遂行しようと、努めています。
 もちろん、さまざまな妨害を受け続けています。
 その妨害は、海外勢力からとは限りません。ほんとうは、日本国内の既得権益(たとえば「原発にはリスクはないんだ」ということにしておきたい勢力、あるいは、しておきたかった勢力)からの妨害の方が激しいのです。
 しかし、いずれにしても、いったん「実務を常に遂行する」という志を立てた以上は、どんな政権であろうと実行する努力を変わらずに、中立的に、続けねばなりません。
 したがって、国政をめぐる選挙で、特定の候補の支持を、それも公共の電波を使って表明することは、決してありません。

 もちろん国政について、あるいは政党や政権の姿勢、政策などなどについて数々の論評を行いますが、それと、選挙で特定候補の支持を打ち出すこととは、まったく別問題、別次元です。


▼上記のぼくなりの原則を踏まえたうえで、総裁選前日の9月25日現在の情勢からして自民党総裁を経て次期総理になる可能性があるひと、すなわち極めて責任の重い3人の候補について、この機会にすこし述べておきます。


▽石破候補には、総裁選のさなかに電話をしました。
 公表を前提とした電話ではありませんから、すべてを明らかにすることはできませんが、ぼくが何を申したかに触れることはできます。
 ぼくが申したのは、2点です。

「総裁選の結果が出る前に、石破さんにお話ししておきたいことがあります。よろしいですか」と尋ねて、諒解を得てから、まず、こう述べました。
「石破さんと、ぼくとは、先の大戦と敗戦の歴史をめぐって、考え方、見方が違います。それについては、石破さんと安倍さんとも違います。それぞれの違いはあくまで尊重します。ただロシア、韓国、中国と相次いで日本の領土に不当な行為を行っている最中では、特に、韓国と中国に、石破さんの歴史に対する姿勢が利用される怖れがあります。ぼくなりに確保してきた、韓国、中国の喧嘩相手、もっとちゃんと言えば議論する相手から、その感触も得ています。公正さと国益のために、くれぐれもご注意ください」

 そして、その「注意すべきこと」とは、さらに具体的に何なのかも、ささやかな提案として伝えました。
 石破さんが何と答えたかは、前述したように公開を前提にした電話の会話ではないから、申せません。
 しかし、石破さんが良く理解はしてくれたことは、申せます。

 もう1点は、総裁選後の自民党内、そして総選挙を経たあとに仮に自民党が政権与党に復帰した場合のあり方について、石破さんに提案しました。
 これは、第三者も関わることなので、これ以上具体的にはまだ明らかにできません。


▽安倍候補は、総裁選の中で主張されてきた政策の基本と、ぼくの考えと、大きく違うところはないので総裁選が始まってからは電話も何もしていません。(総裁選が始まる前、まだ安倍さんが態度表明をしていない時点では、立候補されるかどうかをめぐって、ささやかな考えを伝えました)
 そのうえで、自由民主党という政党に、このタイミングで安倍さんを総裁に、そして次期総理の有力候補として立てる覚悟がほんとうにあるのかを深く懸念しています。

 というのは、安倍さんは今回の総裁選で、かつて首相時代に靖国に参拝しなかったことをみずから取りあげ、「禍根を残した。例大祭か夏(8月15日の敗戦の日)に参拝すべきだった」と明言されました。
 ぼく自身は、この発言をこころから、僭越ながら評価します。英霊が安堵されるお気持ちが伝わる気すらします。

 そのうえで、安倍さんはこう発言された以上、もしも再び総理になれば、必ず靖国に現職の総理として参拝せねばなりません。
 参拝すれば、中韓はここぞと昂奮してみせ、領土をめぐることどもと絡めて、国際社会でうまく利用しようと手を尽くすでしょう。

 もしも参拝されれば、たとえばぼくは、その参拝を、英霊に祖国を支えていただいた国民のひとりとして断固、賛成します。
 もちろんぼくだけではなく、さまざまな立場、考えを持ちつつも賛成される国民も決して少なくはないでしょう。
 しかし同時に、国内からも凄まじい刃(やいば))が総理に振り下ろされるでしょう。
 安倍さんは、みずから発言して実行される以上は、耐えると思います。
 ただ自民党に、その覚悟が組織としてあるのかを懸念します。
 ぼくが独研の役員、社員と靖国神社に正式参拝し、その記事と写真をこの地味ブログにアップしただけで、実際は、凄絶とも言うべき嫌がらせ、中傷がやって来たのが、日本の国内外の現実なのです。
 たとえば、アメリカのアーリントン国立墓地に行けば、勝った戦争も負けた戦争も区別なく、賞賛された戦いも批判された戦いも区別なく、祖国のために死した人はすべて、国家によって讃えられ続けています。
 これが国際社会の常識です。と言うより、人間が人間であるための常識です。
 敗戦後の日本においては、その常識がほとんどまだ認識されていません。

 逆に、もしも「中韓と領土で紛糾している時期だから」と参拝しなかったら、安倍さんと言うより、もはや日本の内閣総理大臣そのものが、信頼性を問われます。


▽石原候補は、記者時代にぼくも一緒に中曽根総理の番記者をしていた時代があります。石原さんは日テレ政治部の、ぼくは共同通信政治部の、いずれも若手記者でした。
 それ以来、細々ながら付き合いは続いていて、石原さんには「長老の考え云々ではなく、自分自身の考えで動き、発言すべきです」ということを電話で伝えました。
 石原さんは、耳を傾けてくれました。


(その2 9/26記)

▼上記のことについては、この機会に、もっと話したいこともあります。
 しかし、もう総裁選当日の昼前です。
 徹夜しても徹夜しても、その「実務」をめぐる仕事は減らず、これ以上今日は、ブログエントリーに時間を費やすことはできません。
 とりあえず、アップします。


▼9月21日金曜の新宿タカシマヤでのトークショーとサイン会に集まられたかたがたの熱気には、正直、胸を打たれました。
 ニッポン放送のラジオ報道番組「ザ・ボイス」の催しでしたが、椅子に座っているかたがたよりも、立ち見でずっと聴き入ってくださるかたがたのほうが遙かに多い、もの凄い人出でした。
 ぼくは冒頭、「ぼくなんぞの話を聞きに来られたと言うよりも、領土や国民を奪われる国でいいのかという、みなさんの憂いの深さと、どうにかしようというお気持ち、志の強さでこんなに集まってくださったと思います」と叫びました。

 そして、その多くの方のほとんどが、サイン会に並んでいただき、「ぼくらの祖国」(扶桑社)も「救国 超経済外交のススメ」(PHP)もすべて売り切れ、決して少なくないかたがたには、紙切れやノートなどなどに、そのかたのお名前を書き、ぼくの自作の銘を入れ、最後にぼくの名を書くというサイン会でした。

 あらためて、みなさんの日本を支えるお気持ちに、こころの底から敬意と感謝を捧げます。


▼独研(独立総合研究所)が主催する、5時間連続の「独立講演会」も、このごろ、凄いとしか言いようのない人出になります。
 次回の募集も、昨日から始まりましたので、独研のHPから転記しておきます。
 この独立講演会は、いわば時間無制限に近い状態で(つまり聴衆の中で倒れるかたの出ないギリギリの範囲内で)、ありとあらゆる質問もお受けしています。
 無理を押してでも、毎月、実行するよう努めています。


第11回 独立講演会 (2012年10月27日講演 )

【講演日】
2012年10月27日(土)

【講演時間】※予定
開場:14時00分
開演:14時30分 ~ 19時00分

【講演内容】※ただし、臨機応変に変えます
「アメリカ、EU、そしてアフリカ・中南米を含む世界への外交を考える 」

【場所】
神戸コンベンションデンター 神戸国際会議場
国際会議室
650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6-9-1
TEL:078-302-5200
ポートライナー「市民広場」駅下車徒歩約2分
詳細は、こちらへ。

【受講料】
一般 5000円 / IDC(インディペンデント・クラブ)会員 4000円

【定員】
360名
※定員を超えた場合、抽選とさせていただきますのでご了承下さい。

【申込期間】
2012年9月25日(火)~2012年10月2日(火)15時 (予定)
※申込期間内のみ、申込を受付致します。

【抽選結果通知】
10月2日(火)15時以降 (予定)
申込者全員に、当落の結果をメールにて順次お知らせ致します。

(以下、具体的な申し込み方法、ご注意事項などは、独研HPをご覧ください。申し込みは、この独研HPからできます)

テレビ放送の中身をブログで補足する、というのは、そうやりたいことではないけれど…

2012年09月20日 | Weblog
▼テレビ放送、特にナマ放送は時間との闘いです。
 たとえば、きのう9月19日水曜の関西テレビの報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」で、ストレートニュースの最後の項目「オスプレイ」は、1分30秒という時間しかありませんでした。

 その時間で、陸上自衛隊の現役のヘリ・パイロットたちと議論した話を紹介し、彼らもぼくも、「オスプレイの運用改善というのは、普天間基地の離着陸において、ヘリモードを使わず航空機モードを使うことだと予測していたが、実際の日米合意は、それが不充分な形でまとまりかけている」という趣旨を述べました。

 すると、関西テレビにいくつか、「オスプレイはプロペラが大きいので、航空機モードで離着陸をするとプロベラが地面にぶつかってしまって不可能だ。間違っているのでは」という問い合わせが来たそうです。
 ぼくにも、このブログへの書き込みが1通、メールが1通と、わずか2通ですが、同様の問い合わせが来ました。


▼間違いではありません。
 オスプレイには、ヘリコプター・モードの離着陸と、航空機モードの離着陸の両方が、あります。
 プロペラが大きいのは事実ですから、航空機モードでの離着陸のときには、巡航モード(すなわち離着陸の時ではなく、上空を飛んでいるとき)よりは、プロペラのローターを上方にチルトします(すなわち傾けます)。しかし、あくまでこれも航空機モードの離着陸であり、ローターを垂直にまで立てるヘリ・モードとは違います。

 陸自のヘリ・パイロットたちが懸念し、ぼくに指摘していたのは、たとえば「ローターを垂直に立てる動作をしつつ、ヘリコプター・モードで着陸しようとすると、後から強い追い風が吹いたときに不安定になることがあり、その場合は、パイロットの技量が高くてもリカバリーが難しい」ということです。


▼以上のようなことまですべて説明しつつ、キャスターのヤマヒロさんとの受け答えもしていると、確実に2分30秒から3分前後はかかります。
 生放送の、しかも番組終わりに近い、ぎりぎりの時間でもありますから、このようなとき時間を延長することは絶対にできません。
 したがって、昨日の説明になったのです。


ひとつの追記  (もうすこし分かりやすいように、手を入れました)

2012年09月15日 | Weblog


▼きょう9月15日土曜は、今回の短期入院の言わば「なかび」。
 東京は穏やかな薄曇りで、いつもは人が溢れているこの大病院も、外来診察がお休みで、すこし、ひっそりしています。

 先ほど、検査のために1階に下りると、それでも救急受付には少なからぬ患者さんたちがいて、ぼくが去年の3月に品川駅からタクシーでこの救急受付にやって来たときのことも、ほんのちらりとだけ思い出したけれども、それよりも世のひとびとの尽きせぬ苦難をやはり考えました。


▼この地味ブログに、たとえば下掲のようなコメントを頂きました。


(*以下、引用)

死に方  2012-09-15 13:22:46  しょうゆ (←このかたのハンドルネーム)


"死に方を考えるということは、どう生きたら自分の願う死に方が出来るかを考えるということだ"とあるラジオ番組で聞いたことを思い出しました。

自分のような甘っちょろい生き方をしている人間は
"家の布団の中で眠ったまま"
といったことを理想としますが
"病院では死にたくない"
なんてことも考えたりします。

大病をされて、死に直面してからの青山さんの
このまとめ記事を読んでいると
"青山さんの生き方"
がよく分かるような気がしました。

(*以上、原文のまま)


▼後半の「大病をされて」以下を読み、ぼくがなぜ、ひとつ下のエントリー(書き込み)をしたか、よく理解してくださる人がやはり居るんだなぁと、嬉しくなりました。
 そうです、ある種の「まとめ記事」ですね。

 そして、「しょうゆ」さんが「家の布団で眠ったまま」を理想とされるのは、ごく自然です。「甘っちょろい生き方」ではなくて、自然な生き方をされているのではないかと思います。

 それから、実はぼくは「どこでどう死ぬか」を考えたことがありません。
 それには関心が無いのです。
 関心があるのは、いかに生きるかであり、「最後には、ただ名誉ある死があるだけ」というのは、死に方に何かの理想があるのではなく、報いを求めない生き方をする、という、ぼくなりのささやかな決意の表明なのです。
 奮闘しても、努力しても、報いはない、最後にはただ死すだけ。しかし、士道に照らして名誉だけは大切にしつつ何にも屈せず果てる、ということです。

 こないだのチャンネル桜「答えて、答えて、答える」で、すこしは身体に気をつけますという趣旨を述べました。
 すると、いくつか歓びのメールや書き込みを頂きました。
 遠くニューヨークの大学院生からも、ほんとうに気持ちの溢れるようなメールも頂きました。

 安心してください。述べた以上は実行します。
 ただ、「ご自愛ください」という、こころの籠もった言葉を頂くとき、「ごめんなさい、自愛はしないのです」と申してきたのは、健康を軽視しているのではなくて、両立できないからです。

 何を両立できないのか。
 自分を守ることと、ぼくらの祖国再建に寄与することです。
 その両立は、非力なぼくにはできないと考えます。
 それは、日本国がそこまで深い落とし穴に陥っているということでもあります。

 自分を守りつつ同時に、ここまでの国難にある祖国に献身するということは、ぼくの器では難しい。身を捨ててこそ初めて、献身が可能になる。
 だから、どなたにも当てはまることではなくて、おのれを謙虚に顧みての、青山繁晴という男についての話です。

 チャンネル桜の番組でみんなに約束したのは「自愛と、祖国への献身を、両立させる」ことではないのです。ごめんなさいね。「献身と言えるほどのことはできていないけど、ささやかな献身をこれからもいちばんとしつつ、おのれの健康にも最低限の工夫はします」ということです。

「しょうゆ」さんの思い出された、ラジオの言葉も印象深いですね。
 ただ、上述したように、「自分の願う死に方」というのは、ぼくは考えたことがありません。
 今後もないでしょう。
 それを含めて、一切を、天に預けているからです。



夜が明ける前のひとときから、9月21日金曜午後いちばんのその時へ

2012年09月15日 | Weblog



▼みなさん、いま入院中の病室にいます。
 夜明け前です。
 午前4時半から5時にかけての東京は、いちばん静かなひとときです。
 入院と言っても、きのう入院して、あすには退院します。2泊3日の短期入院です。


▼ぼくは去年の2月17日木曜に、大腸癌の開腹手術を、この大病院で受けました。
 癌そのものは、その後の詳細な病理検査で「Ⅰ期の、その前だった」ということが分かりました。ごくごく初期です。問題なく完治しました。

 しかし開腹手術は、おそらく大事をとってのことでしょう、かなり広範囲に大腸を切除する、長時間の手術でした。
 術後に麻酔が切れたあとは、凄絶な痛みに苦しみ抜きました。
 ぼくは、ありのままに申して我慢強いほうで、痛みもふだんは良く耐えるほうだと思いますが、この時は、ほんとうに長い時間、苦しみに苦しみ抜きました。

 それでも、術後わずか5日目には、病院から都内の講演会場へ、自分で独研の社有車を運転していき、ふだん通りに講演し、翌日の2011年2月23日水曜、すなわち術後6日目には関西テレビの東京支社へ、やはり病院から出向きました。
 その関テレ東京支社の一室と、良心派の報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」の生放送のスタジオ(大阪)とを繋いで、番組にナマ参加(出演)したのでした。
 そして術後7日目には退院して、この日も、そのまま都内で講演しました。

 もちろん無茶な話です。
 だけども、講演の約束はどうしても破りたくなかった。
「アンカー」は前週の水曜が入院日で、この日は術前検査もてんこ盛り、さすがに番組に参加(出演)できなかったから、2週連続の不在は、視聴者やスタッフのことを考えると、どうしてもしたくなかった。

 そもそも、この手術自体、講演の約束を破りたくないがために遅れに遅らせた手術だったのです。
 その間に転移を起こさなかったのは、たまたま癌がごく初期だったからの幸運で、手術を延期している間はまだ、癌が初期だということも分かっていませんでした。
 だから、胸のうちではひとり、『こうやって約束を果たしているうちに、癌が大腸から肺や肝臓に転移するかもしれないな。それで死ぬのかな』とも考えていました。
 今だから言える話です。
 当時は、青山千春博士も含めて誰にも言いませんでした。

 ウルトラ過密の日程を縫って、ようやく手術できたのは、海外での講演予定ひとつだけを延期したからです。
 オランダのロッテルダムの日本人学校に、志のある方がおられて、ぼくの講演を願われ、その志に応えようとオランダ行きを予定していましたから、そのための日程がとってあったのです。
 海外出張だから、数日間がとってあった、この日程を活かすほかに、ありませんでした。
 あくまで延期でしたが、その後に、この方が帰国され、実質的に中止となってしまったのは心残りです。
 同時に、講演の延期を受け入れてくださった、この方と、その方と一緒に講演の準備をしてくださった、まだ見ぬかたがたに、深く感謝しています。


▼さて、今回は、大腸にポリープが見つかり、それを内視鏡でとるための入院です。
 医師団は、「癌ではない」と明言しています。
 本来は、病理検査を完了しないと断言はできないのですが、現段階で「癌でないことは、はっきりしている。放置すると、癌化することがないとは言い切れないから、早期のうちに切除します」という医師団の説明でした。

 きのう9月14日金曜の午前に入院し、昼ごろには、もう施術が無事、終わりました。
 開腹手術ではなく、内視鏡での施術だから、術後の痛みもありません。
 点滴で栄養や止血剤などを体内に入れながら、明日の退院に備えているだけです。

 施術のとき、ドクターがぼくの腕に注射針を刺しながら、「え? 腕がこんなに太いの? 青山さんは何のスポーツをやってたんですか」と聞かれました。
 へぇ、1週間に1度あるかないか、それもたった45分ほどのトレーニングなのに、日程の隙間を縫って筋トレをしていることはしているけど、ドクターが気づくほどの効果があるんだ、と思いつつ、聞かれたのは今ではなく昔のことだから、思わず「…スキーとか」と答えました。
 ドクターはたいへん納得されたけど、せんせい、スキーで普通つくれるのは上半身より下半身です。
 脚力などは確かにあるけど、上半身を作ったことはなくて、それで今ほんのすこしだけ鍛錬しています。…続けてみるもんですね。
 以前に、水道橋博士に「何かやってますね」とテレビ局で言われ、その水道橋博士こそしっかりトレーニングしている本格派なので、内心ですこし嬉しかったけど、昨日は人間の身体をみるプロの、ドクターだもんね。もうちょい、うれぴ。


▼世間は、今日から3連休ですね。
 そのさなかに、中東でも国内でも動きが激しい。
 だから連休前に、独研(独立総合研究所)が会員制で配信している東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)をどうしても出しておきたかった。

 そこで昨日、施術のための強制睡眠から、まだ充分には目が醒めていない段階で全身ふらふらながら、ベッドの上で、中東と、国内政局に関するそれぞれのレポート、計2本を仕上げ、メールで独研に送り、独研の総務部から会員へ配信しました。
 正直、苦しかったけど、ほんとうは意志の弱いぼくが、どうにか責任を遂行したので、ちょっとホッとした。

 夜、病室に、独研・総務部・秘書室第二課(社長同行担当)の若いYO秘書が、急ぎの荷物を届けてくれて、ぼくの元気な顔を見て、帰っていきました。彼女も、連休前に会員へレポートが届いたことを喜んでいました。

 ぼくはほんとうは意志が弱いって、謙遜じゃないんですよ。ふひ。


▼去年2月の大腸癌手術のあとは、凄まじい腸閉塞に襲われて、癌ではなく、その腸閉塞のために死に直面しました。

 兵庫県・尼崎市での講演の当日、お腹の激痛と、形容を絶するほど苦しい嘔吐で、自宅近くの開業医に診てもらうと「このまま講演に行くと、舞台の上で小腸から破裂が始まり、死にます」と断言されました。

 この開業医は、ぼくが重症肺炎となり肺の半分が真っ白な状態で講演に行こうとしたとき、「聴衆にうつす心配は無い。だけどね、青山さん、あなたは死にますよ」と言いつつ、最後には理解してくれて応急措置をしてくださり、講演に送り出してくれたひとです。
「青山さん、今度こそ、ほんとうに死ぬんだよ。重症肺炎のときより、ずっと、ずっと死にかけてる」と、ぼくの眼を覗き込んでおっしゃり、「それでも行くんですか」と聞かれました。
 ぼくが「行きます。約束ですから」と答えると、そのあと点滴を4回、行ってくれて、ぼくは東京から尼崎へ向かいました。
 尼崎市の講演会場に着くと、長蛇の列ができていて、あぁ来てよかった、みなさんを裏切らないでよかったと、思いました。
 これが2011年3月7日月曜のことです。

 尼崎の講演を無事に終わり、帰京する新幹線の車中では、車掌さんに断ったうえでトイレに籠もって4時間、嘔吐し続け、品川駅にようやく着くと、救急車を呼んで消防に迷惑をかけたくなかったからタクシーで、この大病院に、再入院しました。
 著名な専門医である主治医は、ぼくを一瞬、診察しただけで両手をあげ、同行していた青山千春博士に「これで、ほんとうに講演したのですか」と聞かれました。

 それでも、あっという間に恢復していき、入院中のまま兵庫県姫路市での講演を果たすために、新幹線に乗りました。
 それが、運命の3月11日です。
 新幹線が静岡の安倍川を渡る途中で止まり、やがて、東日本大震災の発生を知ったのでした。
 そして、それから1か月あまりあとの4月22日には、福島第一原発の構内に、原子力災害の発生後、作業員以外では初めて入ることになるのです。

 この病室に居ると、それやこれやが蘇ります。
 この1年半で、ぼくがいちばん知ったのは、福島第一原発の作業員のかたがたと吉田昌郎所長(当時)をはじめとする、日本国民の勇気です。
 みなの献身が、福島第一原発と、広大な被災地に、永遠に刻まれています。

 さぁ、東京の夜が明けていきます。
 写真は、病室からの、その夜明けです。


▼大切なお知らせをひとつ、忘れていました。
 いま、毎週木曜日にレギュラー参加(出演)しているラジオ番組「ザ・ボイス」(ニッポン放送)のトークショーに来てください。

 以下は、ニッポン放送のお知らせの転記です。


《ザ・ボイス そこまで言うか! トークショー》
ニッポン放送の飯田浩司アナと青山繁晴・独立総合研究所社長のトークショーが行われます。

*日時 9月21日(金)13時~ 
*場所 新宿タカシマヤ 11階
*参加無料
*「ぼくらの祖国」(扶桑社)、「救国超経済外交のススメ」(PHP)、赤本・青本の兄弟本のサイン会も行われます
*問い合わせ ニッポン放送《サ・ボイス

「うまいもん祭り」という催しと共催ですから、おいしいものも食べられますよ。
 握手しましょう。希望のかたには、男女を問わずしっかりハグします。そして一緒に考えましょう。


▼ぼくは、あす9月16日の日曜に退院すると、そのままお台場に向かい、独研が自主開催している「独立講演会」で講演します。
 5時間前後、立ちっぱなしで講演するのが、独立講演会です。
 問題ありません。
 お聴きになるかたは、できるだけ睡眠や休息をとってお出でくださいね。あ、聴衆の方はもちろん着席ですよ。
 この独立講演会のあとには、聴衆の多くのかたが「時間が短かった」とおっしゃいます。ふひ。

 翌17日の月曜は、富山に向かいます。
 日本青年会議所の富山ブロック協議会の主催によって、エネルギーをめぐるパネルディスカッションが「名鉄トヤマホテル」で開かれます。
 そこで基調講演をし、ディスカッションにも参加します。

 そして18日火曜は、大阪に入って、近畿大学経済学部での後期の講義(国際関係論)を開始します。
 その翌日19日水曜は、「スーパー・ニュース・アンカー」ですね。

 下手くそなりに、どうにか発信を続け、日本国の唯一の主人公にして最終責任者の国民ひとりひとりに、もはや右でも左でもなく、まっすぐ真ん中から、祖国とアジアと世界を考えていただく、ちいさな助けになりたい。

 そのための、淡々たる日々です。
 深く、淡く、生きて死にます。
 死生観こそ、根っこです。

 この大病院のすべての病室で、手術室で、検査室で、戦っているひとびとがいらっしゃいます。
 患者にも、付き添い家族にも、ドクターにも、ナースにも、技師にも、お掃除スタッフにも、食事スタッフにも、事務スタッフにも、すべての命に、幸あれ。
 おのれをめぐる願いは、ただひとつ。報いはなく、天命だけがあり、最後のゴールはただ、名誉ある死だけでありますように。





(いささかの多忙のために予定より遅れていますが、この地味ブログは、移転します)

いまRKB毎日放送のスタジオです

2012年09月11日 | Weblog



▼いつも毎週水曜日の朝8時半過ぎに、電話で参加(出演)しているのが、福岡のRKB毎日放送「中西一清のスタミナラジオ」です。
 今日は博多で行事がふたつあるので、福岡入りしていて、今朝はこの番組に飛び込みでちょっとだけ参加しました。

 キャスターの中西さんから、拙著「ぼくらの祖国」に関連して領土問題について短く質問がありました。
 打合せはもちろん、一切なし。
 その的確な質問が気持ちよくて、ぼくも自然体でお答えができました。

 そして、本日の行事の一つ目、講演会と、二つ目、サイン会のいずれもお知らせしました。

▽講演会は、以下のような感じです。

 青山繁晴講演会 「祖国は甦る~大震災、原子力災害、世界危機からこそ~」
 2012年9月11日(火)14:00~15:30 大博多ビル(12F) 大博多ホール (博多区博多駅前2-20-1)
 入場料 一般1000円 
 申込・問い合わせ 博多法人会 tel.092-411-2789  
 ただし、もう満員で締め切っていれば、みなさん、こころからごめんなさい。
 博多法人会のみなさん、お手数をかけます。あらためてお手数をかけることも、ごめんなさい。


▽サイン会は、こうです。


 時間:2012年9月11日(火)18:00開始
 場所: 紀伊國屋書店福岡本店(福岡市博多区博多駅 中央街2-1 博多バスターミナル6F)
 定員: 100名さま
 「救国 超経済外交のススメ」(PHP)を紀伊國屋書店福岡本店でお買い上げのかた、もしくは予約された方先着100名様にレジにて整理券を配布します。
 ただし、「ぼくらの祖国」をはじめ、拙著であればすべて区別なくサインします。

 問い合せ:紀伊國屋書店福岡本店
 TEL : 092-434-3100
 FAX : 092-434-3104


▼福岡入りしたのは、実は昨日です。
 昨日、博多のライブハウス「博多エキマエ音舗」で、インディペンデント・クラブ(IDC)の会員に向けてのトークショー、そしておまけで弾き語りのライブをやりました。
 そのとき、ギターを手伝ってくれた、と言うより、メインで弾いてくださったのが、写真に背中が写っている「スタミナラジオ」プロデューサーの柴田喜之さんです!(手前の左側)

 練習ほぼゼロに近いライブだったから、オーディエンスのお耳にはむしろ迷惑だった感じですが、なんと、アンコールの声までかかってしまって、冷や汗をかきながら、計5曲をやってしまいました。
 京都のときのトークショー&ライブより1曲多いじゃん。



赤本、青本

2012年09月08日 | Weblog





▼9月10日付で、「ぼくらの祖国」(扶桑社)の第8刷が出ました。
 これで「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP)が8刷となっていることに並びました。
 刷数とか発刊部数にさほど拘っているわけじゃないけど、すなおに嬉しいですね。

 赤本と呼んでいただいている、この「ぼくらの祖国」と兄弟本の青本、「救国 超経済外交のススメ」(PHP)はちなみに今、3刷です。


▼その青本のサイン会を福岡でやります。
 福岡でのサイン会は、まったく初めてです。

 ぼくの独断で、申してしまいますが、赤本をお持ちの方、あるいはその場で赤本も入手された方には、もちろん赤本にもこころを込めてサインします。
 これは、どのサイン会でも、常にそのようにしています。本を限ってサインする、ということはしません。
 拙著であれば、どれにもサインします。

 読者がその場で、お出しになった拙著には区別なくサインします。
 出版社さん、書店さん、まことに申し訳ないけど、これがぼくの正直な原則です。


▼サインには、ぼくなりの、ちいさな哲学があります。
 ぼくの名ではなく、その読者の名を真ん中にいちばん大きく記します。
 その右に、「脱私即的」をはじめとする自作の銘を書き、左下にいちばん小さく、おのれの名を記し、それから空いているところに日付を入れます。


▼版元のPHPから寄せられた、福岡でのサイン会の情報をもう一度、転記しておきます。

時  間:2012年9月11日(火)18:00開始
場  所: 紀伊國屋書店福岡本店
    (福岡市博多区博多駅 中央街2-1 博多バスターミナル6F)
定  員: 100名さま
「救国 超経済外交のススメ」(PHP)を紀伊國屋書店福岡本店でお買い上げのかた、 もしくは予約されたかた先着100名様にレジにて整理券を
配布いたします。

お問合せ:紀伊國屋書店福岡本店
TEL : 092-434-3100
FAX : 092-434-3104


▼みなさん、お会いしましょう。
 しっかりと握手しましょう。ご希望のかたとは、かたくハグしましょう。
 福岡でのサイン会はありのままに申して、これ1度きりかもしれません。ふひ。
 1度切りの機会なら、余計にお会いしたいです。




帰国すると、たとえば、こんなことをやります

2012年09月01日 | Weblog



▼いま、ボストンから帰国する機中です。
 たとえ半日でも休みたいところだけど、成田空港から社有車を運転して、そのまま長野県の出張先へ向かいます。

 写真はハーバード大学です。


▼ふたつ、お知らせがあります。

▽ひとつは、拉致被害者を取り戻すための、お知らせです。
 ぼくがアメリカ滞在中に4年ぶりの日朝協議もありましたが、国民が騙されないことが、いちばん大切です。

 そのために、どうか、集まってください。
 北朝鮮に誘拐されたままの有本恵子さんと横田めぐみさんを、そのあたたかな家庭、その両手に取り戻そうと、ずっと戦ってこられた父と母、有本明弘さんと嘉代子さん、そして横田滋さんと早紀江さんが参加され、不肖ながらぼくが講師を務めます。
 取り戻すのは恵子さんやめぐみさんをはじめ政府認定の拉致被害者、そして認定に到っていない被害者と特定失踪者のかたがたです。

 チケットは「大阪ブルーリボンの会」から、すでに販売が始まっています。
 以下は、大阪ブルーリボンの会から独研(独立総合研究所)に寄せられた情報を、そのまま転記します。

「直ちに拉致被害者全員を奪還しよう」大阪府民集会in八尾
・2012年11月25日(日)13時30分から
・八尾市文化会館プリズムホール
・チケット:前売り1000円、当日1200円
「電子チケットぴあ受付」
 TEL0570-02-9999
 Pコード 621-905
 チケットぴあ店舗、八尾市文化会館プリズムホール、セブンイレブン、サークルK サンクスで、お求めいただけます。
 前売り券で定員がいっぱいになった場合は、当日券はありません。


▽もうひとつは、珍しく、と言うか全く初めて福岡で開くサイン会です。
 PHPの積極的な編集者が、提案してくれました。
 以下は、PHPからの情報を転記します。

「救国 超経済外交のススメ」サイン会
・2012年9月11日(火)18:00開始
・場所: 紀伊國屋書店福岡本店
   (福岡市博多区博多駅 中央街2-1 博多バスターミナル6F)
・定員: 100名さま

・「救国 超経済外交のススメ」(PHP)を紀伊國屋書店福岡本店でお買い上げ のかた、もしくは予約された方先着100名にレジにて整理券を配布します。

・問合せ:紀伊國屋書店福岡本店
 TEL : 092-434-3100
 FAX : 092-434-3104


 書店からPHPへの要請で「告知は8月31日以降」となったために、もう開催まで日にちがありませんし、福岡でどれほどひとが集まっていただくか、分かりません。
 ひょっとしたら最初で最後になるかもしれませんし、ぼくと握手したりなさりたいかたは、どうぞお出でください。