Our World Time

(念のため、こちらにもアップしておきます)

2009年07月30日 | Weblog



▼コメント欄に、以下のような質問がありました。

as~as any (質問)
2009-07-30 08:42:17

29日のアンカーを拝見しました。
私の持っている英和辞書によると「as~as any」は「~と同じくらいに」とあります。
それを素直に信じれば「米中関係は他の2国関係と同様に重要である」と訳すのが妥当であって青山さんがおっしゃるような「他のどの2国間よりも重要」とはならないのでは?
(後略)


▼ぼくは、ふだん、個別のコメントにお答えすることはしません。
 それをやると、必ず、ほんらいの仕事ができなくなるからです。

 しかし、今回は、オバマさんをわたしたち日本国民がどうみるかについて考えるきっかけにもなる、よい質問だと思いましたから、お答えしました。

 コメント欄にアップした答えは、以下のとおりです。



オバマさんもまた、政治家の言葉です (青山繁晴)
2009-07-30 10:39:30

↑上のご質問に簡単にお答えしておきます。

 ご承知のように、言葉は、文法と文脈によって意味が決まります。
 特に政治家の言葉については、文脈が大切で、学校英語の文法だけでは意味が読み切れないことがあります。

 くだんのオバマ演説は、このような言葉です。

"And we also know this: The relationship between the United States and China will shape the 21st century, which makes it as important as any bilateral relationship in the world."

 これが真ん中の will shape the 21st century, which makes it がなくて、たとえば The relationship between the United States and China is as important as any bilateral relationship in the world. という言葉であれば、ご指摘のような訳が正しいことになります。

 ところがオバマさんはまず、米中の2国間関係が、21世紀を形作る、すなわち21世紀は米中2国が仕切る世界だという趣旨を明言したうえで、which makes it つまり、その事実あるいは確定的な予測こそが、米中2国間関係を as important as any bilateral relationship in the world にするんだと表現しています。
 したがって、「米中2国で21世紀を形作るという事実からして、米中2国間関係は、世界のどの2国間関係よりも重要な2国間関係となる」という意味を汲みとり、そのように訳すことがもっとも適切と考えます。

 ちなみに共同通信のワシントン電は、以下のようになっています。

【ワシントン共同】米国と中国が外交・経済分野の問題を閣僚級で話し合う「米中戦略・経済対話」の初会合が27日、ワシントンで始まった。開幕式に出席したオバマ米大統領は「米中両国間の関係が、21世紀を形づくる。世界中のどの2国間関係よりも重要だ」とあいさつし…(後略)

 また産経新聞は次のようです。

【ワシントン=山本秀也】米中両政府による初の包括的な戦略経済対話が27日、ワシントンで開幕した。冒頭、オバマ米大統領は「米中関係が世界のどの2国間関係より重要だ」と述べ、突出した対中重視の姿勢を表明した。

 一方で、学校文法どおりに訳した、受けとった報道もあります。
 日経新聞は以下のようです。

【ワシントン=高橋哲史】米中両国の閣僚が一堂に会し、経済や安全保障分野の懸案を議論する初の「戦略・経済対話」が27日、ワシントンで開幕した。オバマ大統領は開会式で「米中関係は世界中のどの2国間関係にも劣らず重要だ」「我々は共に重い責任を負っている」と演説。

 わたしは、アンカーの放送前に、まずはCNN、BBCでオバマさんの演説のトーンをよく聴き、それから原文を取り寄せて読み込み、さらに、上記の日本メディアの報道を比較検討し、それから外務省北米局の知友の意見を聴き、それらを総合して、アンカーで述べたような訳がもっとも適切と確信し、その内容で生放送に臨みました。

 放送した内容、訳が正しいと思う、もうひとつの傍証は、「世界のどの2国間関係とも同じように米中関係が重要」というのは、客観的事実としてあり得ないことです。
 たとえば、アメリカと中米の小国の2国間関係を考えれば、中米の諸国には申し訳ないですが、アメリカは勝手に属国だと思っているわけで、それと今や米国債の最大保有国である中国との関係を同等に扱うわけはありません。
 それでは、この「米中戦略・経済対話」がほんらいは閣僚級であるのに、合州国大統領がわざわざ顔を出して、居並ぶ中国の要人たちに演説する意味がありません。

 つまり、オバマさんは中国に「あんたと2人だけの関係こそが、ほかのどの2国関係、これまでのアメリカが大切にしてきた日本やイギリスとの2国関係よりも、今や大切だと分かっているよ。なんせ、これからは、あんたとふたりで、世界を仕切っていくのだからさ」という重大なニュアンスがちゃんと伝わるようにしながら、同時に、これまでの同盟国、日本やイギリスにもエクスキューズができるように、as as any の構文を上手に使っているのです。

 これは政治家の言葉としては、別段、卑怯とかそういうことではなく、むしろ当たり前です。
 ただ、革命的な存在というイメージで受けとられがちなオバマさんの演説は、案外に、こうした古い体質の政治家言葉があることは、これを機会に注目されてもよろしいのではないかと、思います。




もしもほんとうに、ひとりの働く市民でいらっしゃるのなら、すべて赦します

2009年07月29日 | Weblog



▼この地味ブログにふだんから来てくださり、今回の名誉毀損をめぐって真摯に心配してくれた多くのかたがたのために、わたしの一通の返信メールを、以下にそのまま転載します。


~転載の始まり~


○○さんへ

▽あなたからのEメールは確かに届いていました。受け取りが遅れた原因は、あなたがおっしゃっている可能性のうち、後者の、小さな事故です。

▽(そのEメールの文中で)あなたは一市民であるとして、住所氏名、携帯電話番号を示され、おおよその年齢を示されています。
 あなたの問題の書き込みには「職業柄、私の脳裏に最初に浮かんだことは…」とありますが、職業については明らかにされず、「お天道さまの下に出られる商売」と記されています。

▽あなたが、みずからおっしゃる通り、ひとりの市民であるのならば、ここで直ちに、赦します。

 土下座など、あなたのためにもしないほうがよろしいですし、むしろ、あなたの今後の人生の糧としてください。
 今回のような、あまりに人間としての品格を失った想像をなぜ、あなたがなさり、それをそのまま人の個人ブログに書き込むことを、なぜなさったか。
 そこには、ご自分の思い込みに重きを置くという、意外に過剰な自己愛があるのではないか、といったことについても、たとえばこれからじっくり考えていただければと願います。
 それは、あなたに関わっていく周囲のかたがたの幸せにも、つながるかもしれません。

 わたしに対しては、これ以上の謝罪などは、もはや何も必要ありません。
 刑事告訴も、いたしません。
 ただ、わたしの心身の疲労、とくに、こころの疲労が決定的になったことは事実です。

▽もしも、あなたが一市民ではなく、なんらかの工作者であれば、ふたたび手を変えて卑劣な挙に出られるでしょう。
 そのときは同一人物であることを、きちんと解明して、戦います。

▽なお、このわたしの返信メールは、そのまま個人ブログにも転載します。
 ただし、あなたの名前を出すようなことは永遠に致しませぬ。安心してください。
 ほんとうに、働く一市民であるのなら、あなたのたいせつなかたがたと、地域と国家のために、これからも頑張ってください。


 青山繁晴 拝


~転載、ここまで~


▼今回のことは、このブログにアップすることとしては、これで終わりとします。

 必要にして充分な調査は、公的機関の公正な協力も得て、しっかりと完遂します。ただ、その結果は、原則としてアップしません。




むなしい未明にて

2009年07月29日 | Weblog



 赦しましょう。

 わが名誉をあまりに不当に毀損したひとであっても、それが市民であり、また、そのひとなりの生活史やご性格に基づく誤解による言動であれば。

 ただ、受け容れることは、しません。
 わたしが、すべての仕事のあとに求めるのは、いかなる報酬でもなく名誉ある死のみであり、そのたったひとつの願いに不正義の一刃を受けたことは、変わりません。

 わたしは、ひとさまの土下座など受けとりません。
 あなたがおのれの胸に聞くことです。





 赦しません。

 それが意図した工作者による言動であれば。
 言動を成した者を特定し、戦います。


 きのう独研、独立総合研究所の総務部員は、終電ぎりぎりまで社に残っていました。居残ったのは、別の仕事、会員制レポートの配信のためであったけれども、いかなる連絡を受けとることもできた。
 しかし正体を明かす連絡は一切なかった。

 わたしは、みなさまの書き込みのなかでも chako さんのフェアな、澄んだ書き込みに心打たれ、告発をせずに、待った。
 しかし正体を明かす連絡は一切なかった。


 

憤怒

2009年07月27日 | Weblog



▼たいていのことは、それが言われなき中傷誹謗であっても、とんでもない曲解や明らかな事実誤認であっても、我慢していますが、これは一体なにをおっしゃっているのですか。


~この個人ブログの公開コメント欄に書き込んだ人:tar

□タイトル:「違和感」

□コメント:今日、国益を考える講演会のyoutube動画で青山さんの講演を見ました。青山さんのお話は腑に落ちることが多く、いつも注目して見ております。長良川の国益を考える講演会において、一点、違和感があり、ここが場違いと思いつつも他にお尋ねできる場所を思いつかず、コメントいたします。
講演会で、イギリスはハロッズの下りにおいて、青山さんは毎年正月は海外で過ごすと仰いました。海外に身をおいて思案にふけるため、のような理由を仰いましたが、職業柄、私の脳裏に最初に浮かんだことは住民税逃れなのではないか、という思いでした。
硫黄島の滑走路を引っぺがす話を聞きながら、一方で万が一、税金を逃れていたとしたら、全てが空虚な話だなと、違和感を感じながらお話を聞きました。
違法だなんて言っているわけではありません。適法としても違和感があるのです。
状況だけで物を言っていますので、謂れのない誤解とお叱りくだされば、それで安心します。
最後に、応援しております。お身体ご自愛ください。~


▼わたしがいつ、住民税逃れをした、あるいは、すると言うのですか。
 誰に向かって、そうおっしゃっているのですか。
 非常に強い怒りを覚えます。

 職業柄、そのような疑いを持ったということですが、あなたの職業とは何ですか。
 税のことを調べられる立場であるのなら、どうぞ、わたしの納税状況を調べなさい。一切合切、すべて調べなさい。
 適法も違法も何もありません。
 わたしは節税すら一切しないのが、わたしなりのささやかな信念です。

 わたしが働いている理由のひとつは、われらの国民国家に税を納めるためです。
 独立総合研究所がNPOやNGOでないのも、国家に税を納めたいことが理由のひとつです。


 これは見過ごすことができません。
 この書き込みはたった今、目にしましたが、あすに即刻、名誉毀損で捜査機関に告発します。
 どうぞ、覚悟なさってください。
 徹底的に戦います。
 あなたが応援者のふりをして、嘘の噂を流す目的のひとであれば、なおさら、決して許しません。




 

その後のその後

2009年07月23日 | Weblog



▼まずは、ジュンク堂書店大阪本店のサイン会の日程が決まりました。
 8月22日(土)午後2時からです。
http://www.junkudo.co.jp/osaka.htm


▼京都アバンティでのサイン会は、書店さんが8月はどうしても都合がつかないらしく、9月になりました。
 日程を再調整中です。


▼アマゾンの予約は、PHPの担当編集者が一生懸命に、繰り返し要請しているのに「お待ちください」という返答があるるばかりで、なぜかアップされないそうです。
 不可思議です。


▼東京でのサイン会は、PHPが引き続き、検討中ということです。



その後

2009年07月21日 | Weblog



▼ノンフィクション新著の「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP出版)は、8月5日が発刊日となることが正式に決まりました。
 初版は1万部の発行です。

 このごろの厳しい出版不況、それに政治・外交・安全保障といった分野のノンフィクションの売れ行きが特に悪い現実を考えれば、異例と言っていいほどの初版部数だと思います。
 PHPは頑張ってくれました。

 おかげで前著の「日中の興亡」のように、買いたい人が一番多かった時期に、発行部数がまったく足りず、「どこの書店へ行っても買えないから諦めた」という読者がたくさん、ほんとうにたくさん出てしまった、ということはないかもしれません。
 ない、とは言い切れません。
 増刷の際に、また部数が絞られる可能性もあるからです。


▼ネットでの販売は、たとえば楽天ブックスでは、もう予約を受け付けていて、ベスト・ランキングにも、顔を出したりしています。
 アマゾンは、PHPから要請をしてくれているのですが、なぜか、なかなかアップされません。
 アマゾンを使いたいかたは多いでしょうし、事実、「なぜアマゾンで予約できないのか」というEメールもかなりいただいているので、ちょっと困っています。

 発刊日が確定しているのに、アマゾンで予約できないのはやや不思議ですが、理由は分かりません。


▼東京でのサイン会を求めるEメールも、ずいぶん、いただいています。
 PHPの編集者にはそれを伝え、検討してくれているようです。
 これは、やりたいと積極的に応える書店が東京に出てこないと、PHPの努力だけでは難しいでしょう。

 サイン会だけで、東のみなさんに関西旅行をしていただく、というのはあまりにたいへんですから、ぼくもぜひ東京でもおこない、握手をさせていただきたいな、とは思っています。
 サイン会のためにカナダから帰国されるかたもいらっしゃるとのこと、感激です。




 


もしもよろしければ、握手をしましょう

2009年07月17日 | Weblog



▼PHP出版からの連絡では、サイン会はまずは、次のふたつの書店で開かれることが決まったそうです。
 時期は8月、ただ具体的な日時の調整はこれからです。
 このごろ、ぼくの日程は、ちょっと信じがたいほどタイトで入り組んでいるので、独研(独立総合研究所)の秘書室が苦労して、調整します。


▽ジュンク堂書店大阪本店
(大阪駅、梅田駅および北新地駅)
http://www.junkudo.co.jp/osaka.htm

▽アバンティブックセンター京都店
(京都駅前)
http://www.amigoshoten.co.jp/map/map68409.gif




ちいさな、ひとつの、ゴール

2009年07月15日 | Weblog



▼きのうの7月14日火曜日、ぼくに同行している独研(独立総合研究所)の秘書 M と交わした、実感を込めた会話です。

ぼく 「今にも破綻しそうな、無茶ら苦茶らのスケジュールだけどさ、最後は破綻せずに、どうにかやるべきことをやってるよな―」

M 「ほんと、そうですよねぇ。奇跡です」


▼何の話かというと、ノンフィクションの新刊の話なのです。

 新刊を出すための最終段階の作業としては、400字詰め原稿用紙で、520枚ぐらいの長文の原稿の全文脱稿、そして初校ゲラの全ページへの赤入れ(つまり修正、加筆)を極端な短時間で終えること、再校ゲラの全ページへの赤入れをもっと極端な短時間で完成させること、さらに載せる写真の候補を自分のパソコンの「マイピクチャ」から選びだし、実際に載せるものを決め、それのキャプション(写真説明)を執筆し…という作業があります。

 その作業を、ふだんのテレビ番組参加(出演)とか近畿大学での連続講義とか、学生諸君との前期講義の打ち上げ飲み会とか、全国各地へ飛んでの講演とか、会員制レポートための取材とか、大混乱の政局の取材と北朝鮮をはじめ動く世界の生取材とか、そして人事、経理から中長期の計画までの独研の経営実務とか、独研の新しい研究プロジェクトの準備と、すでに実績を積んできた研究プロジェクトの継続遂行とか、そういうものが隙間なく埋め尽くしているところへ、重ねていくのですから、まぁ実際、頭は、ちょっと数えたくないほど多数のタスクの同時進行、体はとにかく眠らない休まない…。
 うーむ、骨折した腰が、こ、こしが。
 いや大丈夫。

 そして、みなさん、ありがとうっ、きょうの午後1時40分ごろに、新刊をめぐる作業は、基本的なものとしては、すべて終わりました。

 終わって、一休みしたい自分を押し切って、ふだんの連載原稿を2本書いて、送ってから、ひさしぶりにプールへ行きました。
 泊まっている定宿ホテルのプールです。
 この全身ぼろぼろ状態では、生放送のテレビ番組での重い責任をしっかり果たせきれないからです。なんとか心身を切り替えさせないと。

 フリー(クロール)は大丈夫なのですが、ブレスト(平泳ぎ)のとき、なんと泳ぎながら、しっかり寝ていました。
 腕で水を掻いて足で水を蹴って、それから身体を伸ばすとき、すぅーと、誇張じゃなくホントに寝てしまい、また頭を起こして、腕で水を掻くときに目覚める。
 ふひ。

 それでも、泳ぐと頭はいちおう、はっきりしてくる。いちおう叩き直される感じ。
 それでどうにか心身の準備を整えて、関西テレビに行き、報道番組「アンカー」に参加(生出演)してきました。

 いまは、帰りの空港にいます。


▼これで、早い書店では8月5日から「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP出版)が並ぶことが、最終的に確定しました。
 これまで辛抱強く待ってくださった読者、おなじく待ってくれた編集者、脇から支えてくれた独研の秘書陣に、こころからお礼を申します。

 サイン会もすでに準備されつつあるそうです。
 具体的に分かり次第、このブログでもお知らせします。


▼さあ、次は、4年ぶりに原稿が進みはじめた純文学の小説をまず、仕上げます。
 そのあとは、ノンフィクションの新刊にまた、取り組んでいきます。




※この書き込みの翌朝に写真を追加しました。
 新刊の表紙の最終的なデザインです。

 タイトルの文字の大きさを変更し、「王道の日本」を大きくしました。
 現在の政治家たちが与野党を問わず、欲の泥沼に生息しているからこそ、わたしたち主権者は、このただ一筋の道を行きたいですね、というねがいから、そのようにしました。




真夏の書棚へ

2009年07月06日 | Weblog



▼みなさん、これを大ニュースと表現しては、まったく僭越です。
 世界ではウルムチの民衆蜂起をはじめ、ほんものの大ニュースが満ち溢れているのですから。

 ただ、この地味ブログをわざわざ訪ねてくれるひとには、やっぱり、いち早くお知らせしたいことでは、あります。


▼ノンフィクション新刊の「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP出版)は、きのうの朝9時半ごろに全文を脱稿しました。
 そしてPHP出版は、わずか1日でゲラに刷り上げてくれました。こんな早さは、まさしく異例の努力だと思います。感謝しています。

 これで、順調にいけば、いちばん早くて8月5日に、書店に並び始めることになりました。


▼そのゲラがゆうべ遅くに、自宅へ届きました。
 宅急便でOKなのに、担当の編集者が、みずから届けてくれました。このまま無事に出版となるようにと、祈りにも似た気持ちがあるのだと思います。

 というのは、ぼくのほうも、この分厚いゲラの直しを、木曜の朝までにすべて終えねばならないという、常識的にはまったく無理なことを、達成せねばならないからです。

 それも、ふだんと変わらないウルトラ過密スケジュールをこなしながら、です。
 今日はまもなく独研(独立総合研究所)の本社で、たいせつなミーティングをしたあと、羽田空港から大阪へ。
 東大阪市の近畿大学の経済学部で、2コマ、3時間の連続講義を、全身全霊でおこなってから、大阪市内の関西テレビであすの報道番組『アンカー』のための、打ち合わせというより討論会です。
 いつも、これがなかなかに苦しい。
 そして、あす水曜は、早朝の電話によるラジオのレギュラー生放送、そして『アンカー』の生放送と続き、そのあいだ、政局と北朝鮮と東トルキスタン(ウイグル)がこのような状況ですから、膨大な電話のやりとりがあると思います。

 そのなかで、どうやって、ゲラ直しをするのか。
 もちろん夜は、これから二晩、まったく寝ないでやるのですが、それだけで時間が足りるとはとても思えない。
 正直、トイレの中にも持ち込みたい心境です。
 うはは。


▼だけど、このゲラ直しと、ウルムチの民衆蜂起がぶつかったのは、もちろん偶然ではありますが、偶然とは捉えないで、この新しい書物の果たすべき役割のひとつを暗示していると捉えて、一命を捧げて、ベストのゲラ直しをいたします。


▼このゲラ直しが予定通りに終われば、新刊は、編集者の話によれば8月5日から7日ぐらいに、全国の書店に並び始める見通し、とのことです。
 もちろん、もう予約は可能だと思います。(宣伝みたいで申し訳ないですが、きっと「予約できますか?」という問い合わせのEメールをいただくと思いますから…)


▼写真は、そのゲラです。
 けっこう、分厚いですよね。
 実は書きすぎてしまって、版元のPHPから「5枚、削ってください」と求められています。
 その5枚で、本のページ数が値段の区切りを超え、このままでは定価が高くなってしまうからですね。

 削ってくれ、と言われたのは、初めてです。
 ちょっと辛いですが、定価の高い本をみなさんに買ってもらうのは、嫌なので、削ります。
 しっかしなぁ、ほんとは、1ページ、1行、1字に、この心身から削り取って、それを吹き込んで書いているから、け、けずるのは辛い。
 だけども、みんなが買いやすい値段の本にするのも、プロの書き手の仕事です。


▼ついでですが、写真に写っているのが、つまり、ぼくの自宅の書き机です。
 意外に狭いでしょう。
 独研の社長室はもっと大きな机ですが、そっちはそっちで、書類で埋まっていて、わずかな隙間で仕事をしています。

 この自宅の書き机は、まだ共同通信の新人記者だった時代に買った小ぶりな机で、ぼくの転勤や転身と一緒に、ずっと移動してきたわけですね。
 ほんとうは、ぐーんと大きな机でゆったり書きたいけど、マンションの部屋そのものがたいへん狭いのだから、まぁ、無理な話です。

 ただ、窓の外には、東京湾岸のむこうに、わたしたちの富士もひかえていて、それは最高です。

 パソコンのディスプレイの右横にふたつ、並んでいるのは、バッファローの外付けHDDなのですが、これが最近、ぶっ壊れてしまって、たいせつなデータが取り出せなくなって、気持ちが塞がってしまうほど、困っています。
 いま、ぼくの仕事もコスト削減が重要テーマになっているから、業者さんの高額な復旧作業は頼めません。何か良い方法を知っているかたは、教えてください。

 ちなみに、その前あたりにある、電話もこないだ壊れました。
 これは、買いに行く暇がない。
 まぁ、大半の電話は、みなさんと同じように携帯で済ませていますけどね。

 外付けHDDのうえに、載せてあるもののひとつは、こないだ隠岐の島を訪れたときに、隠岐の島JC(青年会議所)の9人の志士たちから、記念にいただいた黒曜石の星座図なのです。

 隠岐の島も竹島も、黒曜石の素晴らしい産地です。
 ぼくのために、わざわざ、これを作ってくださったとのことで、しかも、その作者は、竹島に上陸した漁師一家の八幡家のご当主さまなのです。
 それに、ただの天体図ではなく、宮沢賢治の銀河鉄道の夜がベースになっています。
 銀河鉄道の夜には、黒曜石でつくられた星座図が、確かに出てきますよね。

 小さな子どもの頃から賢治に親しんで育った、ぼくには、それも嬉しいこと、嬉しいご縁です。







伝えるということの 哀しみ

2009年07月01日 | Weblog



▼ぼくの幼馴染みのなかで、関西テレビの報道番組「アンカー」と情報番組「ぶったま」を、欠かさず、ほんとうに欠かさず視てくれて、しかも毎回、感想を教えてくれるひとがいる。

 幼馴染みといっても、そう近所じゃなかったから幼稚園のころなどは知らなくて、小学校6年のとき中学受験のために通っていた大きな学習塾で、すこし顔を知っていた。
 それから何年も経ってから、高校生のとき、ほのかに手紙のやり取りなどがあった。

 ぼくの卒業した淳心学院高校・中学の創立50周年記念式典で、講演し、そのあと拙著のサイン会になり、長い列で並んでくださったかたがたに一生懸命、サインをしていたら、何十人目かでいきなり、昔の高校生のそのひとが現れて、びっくりした。

 いや、もちろん、ぼくと同い年になっていらっしゃるのだけど、昔とほんとうに同じだったのだ。
 ぼくが社交辞令を言わないことは、もう知っているひとは知っていると思う。

 このひとから優しい感想をもらうのは、うれしいというより、こころがいくらか救われる。
 というのは、ぼくはテレビであれ講演であれ、話したあとに必ずといっていいぐらい、自分のへたっぴぶりに、たいへん、がっかりするからだ。


▼きょう文月の最初のアンカーは、3週連続で、政局の話だった。
 番組でも言ったけど、世界の動き、東アジアの動きもたいせつだから、国内政局の話ばかり続かないようにしている。
 だから、3週連続で国内政局、というのは、わりと珍しいのじゃないかと思う。

 そして、番組が終わって、空港で、そのひとから今週もいただいた感想のEメールを読んでいるとき、おのれが、思いがけないほど哀しい気持ちでいることに気がついた。

 携帯電話を思い切り活用して、とにかく事実、事実、事実を集めて、生放送の直前まで集めて、ほとんどぶっつけに近い形で話している。
 だから、ふだんは、その緊張に隠れているけど、ぼくは、ほんとうは、こんな政治家たちの鬩(せめ)ぎ合い、愚かしい足の引っ張り合いを、みんなに伝えるのは、哀しい。

 しかし、テレビを見ていてくれるみんなこそ、みなさんこそ、この国の主人公で、有権者で、この国のほんとうの意味の責任を取らねばならない最終責任者なのだから、伝えるしかない。

 それでもね、深い淵をのぞきこむように、ぼくは、正直、つらい。
 つらいけど、続けます。
 伝えねばならない事実が、そこにあるのだから。


▼新しいノンフィクション単行本の「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP出版)は、順調にいけば、7月6日の月曜日に、ゲラ直しが終わるだろうところまで、ようやく来ました。

 だから、とにかくこの夏に出るのは、もう確定だと思います。

 これが終わると、別の出版社と約束している次のノンフィクション単行本にいきつつ、純文学の小説の新作を完成させてしまいます。


▼それから、隠岐の島に続いて、防人の島の対馬を訪ねました。
 このことは、上に書いたゲラ直しが終わってから、書き込みますね。