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取り急ぎ

2010年07月28日 | Weblog


▼独研の総務部によると、「平成」について、連絡が取れない人が10名いらっしゃいますが、キャンセル待ちがすでに15名いらっしゃるので、「まったくもう『平成』は余っていません」ということです。
「たくさんメールが来て、総務はパンクしそうです」ということです。

 これは…ぼく自身も含めて、文藝春秋からの再販に期待するしかないですね。

 伊丹空港にて、取り急ぎ

うれしいこと、そして哀しいこと

2010年07月28日 | Weblog



▼ぼくが今のところはただ一作だけ発表している、純文学の書、「平成」(文藝春秋刊、現在は絶版)を、ご希望のかたにお分けする作業は、先の土日に、一応は完結しました。
 まず7月24日の土曜に、58冊、そして25日の日曜に44冊を都内の郵便局から発送しました。

 今ちらほらと「受け取りました」というメールが届いています。


▼土日にはなるべく社員を休ませたいので、土曜日は、独研(独立総合研究所)の取締役自然科学部長の青山千春博士が、ひとりで「平成」58冊をタクシーで都内の郵便局へ持っていき、料金別納郵便のスタンプを1冊づつ(ひと包みづつ)に押して、発送しました。
 この日、ぼくは大阪に出張していて、講演会とその後の懇親会で集まったかたがたにお話をし、質問に答え続け、大阪に宿泊しました。

 日曜日、ぼくは大阪から帰京すると、そのまま空港から独研へ、経費節減のため自分で車を運転して出社し、「平成」のうちサインが残っていた分にすべてサインをし、それから大阪の幼稚園から頼まれていた園児、保護者、園長先生への色紙に揮毫し、やはりぼくの運転で都内の郵便局へ向かいました。
 車に積むとき、44冊はずっしりと重く、『昨日の土曜日、青山千春博士は58冊がさぞ重かっただろう』と思いましたが、日本の女性で初めて船長となったひとである青山千春博士は、いつものように、「たいへんだった」とか「重かった」といった愚痴めいたことは、ひと言も口にしませんでした。

 郵便局へ着くと、窓口で係員から料金別納郵便のスタンプをふたつ借り、ぼくと青山千春博士で1冊づつ(ひと包みづつ)、料金別納郵便のスタンプを押していきました。
 途中からは、ぼくひとりで押しました。
 押すたびに、祈りの気持ちを込めていることに、青山千春博士は気づいたようで、すべてぼくに任せて、黙って見ていました。
 そして全冊を窓口へ運んで、全国で待たれているかたがたへと、発送しました。

 青山千春博士は、ぼくがスタンプを押しているところを、携帯電話で写真に撮りました。
 この自然科学者は、ふだんあまりそういうことをしないので、ちょっと珍しいことです。

 それから、夜の会合へ出席するため、車を都内に置いて、タクシーで出かけました。
 車内で、発送を終えてすこしホッとした気持ちを、一瞬だけ味わいました。


▼この「平成」について、希望されるかたを募り、大量に届いたメールの一通一通について、ご意志を確認し、届け先を確認し、さらにどのようにサインして欲しいかをお尋ねし、その通りにサインし、サインが間違っていないかをすべて丁寧に確認し、さらに本に汚れがないかを調べ、あればすべて消しゴムを使った手作業で、汚れを落とし、それらを梱包し、そうして上記のように発送するまでには、ありのままに申して、膨大な手間と時間がかかりました。

 最初から覚悟していたとおり、大幅な赤字の作業であり、独研は書籍の発送や販売を過去にしたこともなく、これが最初で最後、ただの一度切りになると思います。

 ご意志を確認したのは、「平成」が今のところは絶版になっている本であり、ごくごく限られた数しかないからです。
 所望されたかたがたの数は、現存する本の数より、はるかに多く、ほんとうに欲しいというひとだけに、きちんと渡るようにしました。

 どのようにサインして欲しいかをお尋ねしたのは、サインするぼくは、大量の本にサインするわけですが、受け取られるかたにとっては、ただ1冊のサイン本だからです。
 ぼくはふだんから、サインする時には、相手のお名前のほうを尊んで、真ん中に大きく書きます。その左横に、ぼくの名は小さめに書きます。
 たとえばサイン会で沢山のかたが並んでおられて、1人のかたが複数の本をお求めの場合は、うしろに並んでいるかたがたを考え、やむを得ず2冊目はぼくの名前だけにしたりすることもあります。
 しかし、ほんらいは相手のお名前のほうを大切にします。

 ですから、サインで入れるのは、ご本人のお名前なのか、ご家族のかたのお名前なのか、その両方なのか、あるいは愛称なのか、さらには贈呈される予定があって、そのかたのお名前なのか、すべて確認してからサインすべきだと考えました。
 また、たとえば「吉野」さんというお名前があれば、「吉」の上は、「士」なのか「土」なのかも、お一人づつメール交換をして確認していきました。

 サインに、わずかな間違いもないか確認したのは、お名前を間違えられるのは、きっとご本人にとってはとても悲しいことだろうからです。

 本の汚れは、「そのままでもまったく構いません」というメールも実は沢山いただいたのですが、これは青山千春博士が、本人は何も言いませんが、受け取るかたと、それから心血を注いで執筆したぼくの気持ちの双方を汲んでくれて、「すべて手作業できれいにする」と決めたのだろうと思います。

 梱包は、1冊も事故のないように願って、丁寧に行い、料金別納郵便のスタンプは、そもそもが発送者みずから行う決まりかも知れませんが、それは郵便局員には聞かず、これも全員のかたに確実に届くように願って、自分たちで押しました。


▼この「平成」の発送は、青山千春博士の発案です。
 独研は最近、本社を移転しました。経費節減と、それから警備上の理由もあってのことです。
 その移転の引っ越し作業のなかで、青山千春博士が段ボールに入った、絶版本である「平成」を見つけました。

 現在の独研は、人手もお金もまったく足りませんから、自然科学部長の青山千春博士が総務部長代理も兼ねていて、引っ越し作業の指揮をとり、業者任せにはせず膨大な荷物を作りました。
 その極端な多忙のなかで、絶版本を見つけたのですから、ふつうは、そのまま置いておくと思います。
 ところが博士は「欲しいかたにお分けしませんか」と社長のぼくに提案しました。

 青山千春博士は、自然科学者と船乗りの性格を合わせ持ったひとで、センチなところはありません。そして、ぼくの書くものはほとんど読みません。ぼくの書くものだけではなく、文系のものは読まずに、数式と記号で埋め尽くされている科学論文しか、ふだんは読まないし、本人が書くものも、数式と記号が中心の論文が大半です。
 この自然科学者&船乗りが、いったいいつ、絶版本の「平成」を手に入れたいという希望者が実は多いことを知ったのか、ぼくは不思議に思いました。
 それに、独研にとって負担が大きく、赤字になるのも、目に見えています。
 しかし、提案されたその場で、OKを出しました。

なぜか。
 水産庁という、はっきり申せば弱小官庁(ごめんなさい)から、大赤字になることが確実な低予算で、「漁業資源だけではなく、国民の未来のためにメタンハイドレートの調査をやりたい」、「魚群探知機を使って超低コストで調査できる特許技術を持つ青山千春博士が検討してくれるのなら、前へ進めたい」という提案があったときのことを思い出したからです。
 ぼくはその提案を断ろうと、いったんは考えました。
 赤字の予想幅が大きすぎるのと、低予算のために人手も確保できず、ほんとうは体調も良くない青山千春博士にとって負担が大きすぎるからでした。
 ところが博士は、ただひと言、「社長、やりましょう。祖国のためですから」と言いました。
 この時もぼくは、『数式に埋もれている研究者の青山千春博士が、祖国なんて言葉をどこで覚えたのかな』と驚きつつ、博士の意思を尊重しました。

 ぼくは、上記のことを思い出したことを、博士本人には何も言わず、「平成」をお分けしたいという提案にOKを出しました。
(青山千春博士は、このぼくのブログも読みませんから、ぼくが即、OKを出した理由はこれからも知ることがないと思います)


▼そして「平成」をお分けすると、独研の公式HP、それにぼくの地味ブログで告知すると、想像を絶する数の「欲しい」というメールが来ました。
 こころから、うれしかったです。

 ただ、当初は60冊しか見つけていませんでしたから、あまりに数が足りません。
 そこで博士はもう一度、引っ越し荷物のなかを探し回りました。
 そして、別の40冊を見つけたのです。
 しかし、この40冊には、すこし汚れがありました。博士はどうしたか。それは本人が、応募者のかたに出した返信メールを見てください。



> ○○洋佑さま
>
> この度は、「平成」をお申し込みいただきありがとうございました
> 残念ながら、60冊は昨日16:35ころに完売いたしました
>
> ですが、長い間段ボールに入っていたので、表紙が静電気により埃を吸着して少し汚れている本があと40冊ほど残っています
> 中身はまったく問題ありません。また、よごれは、試してみたところ消しゴムで消すとほとんどきれいになりました
> もしこちらでよろしければ、お分けすることが可能です
> 購入をご希望されるようでしたら、ご連絡ください


 これに対して、どんなメールが再び来たか。ご覧ください。

~引用始まり~

「平成」の残りを再送して下さり本当にありがとうございました。
大変感謝しております。

消しゴムで汚れを落としたということを聞いて、
胸の奥にジンとくるものを感じました。
日々の通常の仕事が忙しいというのに、それ以外にこういったことを
なされているということを想像すると身が引き締まる思いになります。

もしまだその40冊ほどがあるようでしたら、是非購入したいです。
本当に多忙を極めているなかと思いますが、宜しくお願いします。

○○洋佑

~引用終わり~


 ちなみに、この男性は、最初にこういうメールをくださいました。

~引用始まり~

初めまして。
○○県に在住の2○歳の○○洋佑と申します。
青山さんが出演していられますTV,ネットTVなどを毎回楽しみに見させてもらっています。
いつも青山さんを見るたびに、ふっと力が湧いてきて自分ももっともっと頑張らねばと立ち上がることができます。本当にありがとうございます。
さて、この度青山さんの絶版となっていた純文学の平成が出てきたということをブログで拝見しまして、それを購入したくメールをさせていただきました。
独研の皆様お忙しい中とは思いますが、宜しくお願いします。

日本国民として、いつも心から応援しています。

 ○○洋佑

~引用終わり~


▼こうした作業は、独研にとり、予想を超えてたいへんはたいへんでしたが、うれしい作業でもありました。

 ただ、哀しいこともあります。

 ブログに、「本が完売か」というタイトルの書き込みが、「なるほどな」というハンドルネームで書き込まれ、その文中に、こう書いてあります。

~引用始まり~

つまり、あんたは自分の本を売るために民主バッシングを繰り返してるんだろ?
勿論そんなことをあんた自身が認めるわけはないだろうが
客観的にみるとそうとしか思えないな。

民主をバッシングすれば自民党支持者が喜び、
気持ちのいいコメントをもらえ、本まで売れるという考えか?

自分の本を売るために、特定の政党だけをバッシングし続けているとしたら最低な野郎だ。

コメントが一切反映されないからこのコメントさえ
読まれているかどうか分からないが
視聴者に選択の余地を与えないで、一方的に自分の考えを押し付けるあんたなら
どうせ自分にとって都合の悪いコメントは読んでないだろうな。

都合の悪いことは隠す、やっぱり自民党と同じ思考だな

とにかく偏向報道しか出来ないならテレビに出るな。
テレビはお前の考えを押し付けるための私物じゃないんだぞ!

~引用終わり~


 ぼくは、この人物を特に批判はしません。
 ただ、このひとが日本国民だとしたら、ひたすら哀しいですね。
「民主党批判をしているのだから、自民党から官房機密費をもらっているはずだ。そう考える方が当然だ」という書き込みも、特定の人物から来ます。

 ぼくへの名誉毀損は刑事事件として公正な捜査や監視も行われていますが、こういう、おそらくは一般のかたからの中傷よりも、みずからも発信なさっている立場の人による中傷・誹謗をまずは問いたいと考えています。
 だから、事件うんぬんとして考えるよりも、なぜ「発信者には、必ず裏があって、カネなどの不正利得を手にしているはずだ」、「本を売るのは、あくまでも自分たちの利益のためのはずだ」という思想が、ぼくらの祖国にあるのか、それを深く、考えたく思います。

こういう書き込みがあったことは、青山千春博士には何も言っていません。
 前述したように、博士はぼくのブログは読みませんから、これからも知ることはないでしょう。
 そりゃ、教えたくないですよ。

 国際社会では「青山メソッド」として有名な資源探査技術をもつ女性科学者が、消しゴムを手に一生懸命、本をきれいにし、本の山と格闘しつつ、サインや宛名を確認し、一人一人の希望者と丁寧にメールの交換をしている姿を目の当たりにすれば、そりゃ、教えたくありません。


▼この青山千春博士は、私的にはぼくの配偶者ですが、それを知って「何もかもうさんくさく見えてきた」と書き込んでいる若い?ひとがいるのも、まことに哀しく思います。

 青山千春博士は、自立した先駆的な科学者であり、愛国者です。
 独研に入る前は、アジア航測という会社で課長を勤めたり、東京海洋大などで大学院生に教えたり、仕事もまったく自立して進めてきました。
 みずから独自の研究キャリアを蓄積してきたのです。

 ぼくが仲間とともに独研を創立し、そのあとに本人の意志と判断で、入社を希望し、ぼくが配偶者としてではもちろんなく代表取締役社長として入社を許可し、自然科学部長に任命し、それまでの研究者としての豊かな実績と国際社会での高い知名度を勘案して、重い責任のある取締役に就けました。

 海外で、たとえばサンフランシスコで毎年、開かれる「地球物理学連合」の国際学会に共に出席し、ぼくが Dr.Chiharu Aoyama is my spouse.(青山千春博士はぼくの配偶者です)と話しても、アメリカ人もフランス人も中国人も「そうですか」で終わりです。
 自立した科学者ですから、夫婦だからうんぬんという眼で、あるいは青山繁晴の奥さんだからうんぬん、という眼でみるひとには、これまで一度も、国際社会の仕事の場においては会ったことがありません。

 ところが日本では、たとえば講演で配偶者であることに触れると、笑いが漏れて広がるのが常です。
 なぜ公私の別が付かないのか。
 なぜ配偶者を自立した一人の人間として、なかなか見にくいのか。

 これは、日本の全体の課題ですね。世代も立場も超えた、全体的な課題です。
 ぼく自身のなかにも、ほんとうは同根の課題が存在している恐れもあると考えます。
 だから、たとえば先に挙げたコメントのひとも、ぼくは特に批判しようとは思いません。

 そういう日本国は、すこし変わってほしいと願います。
 そこを変えなければ、わたしたちの誇りある日本国が、国際社会に互していけない危惧があるからです。たとえば中国に呑み込まれる一因にもなりかねないと考えます。
 必ずしも、おおげさな懸念とは思いません。人口が少なくなる日本では、社会のなかのあらゆる力、潜在力も含めてそれをフェアに生かさねば、明日はかりそめにあっても、あさってはありません。
 だから、もはや疲れ果てたおのれの心身に最後の、いや最期の鞭を入れるだけです。


▼最後、といえば、「平成」に関して、ご希望の最終確認が取れない、つまり独研からの確認メールに返信のないかたが、ある程度いらっしゃいます。
 ほんとうに希望されるのであれば、返信を、できればお急ぎください。

 そして、最終的には確認が取れなくて、発送できない本も何冊かは出てくるのではと思います。
 ほんとうに欲しいかたにとっては、それは最後のチャンスになります。



嵐と晴天が入り乱れてやってくるお天気の、沖縄にて

2010年07月19日 | Weblog


▼いま沖縄の名護市にいます。
 アメリカ海兵隊・普天間基地を移設することになっている名護市辺野古の海は、何度目かの訪問ですが、あらためて感嘆するほどの美しさです。
 辺野古にはすでに、海兵隊のキャンプ・シュワブがあり、基地内にはアメリカの軍人やその家族の専用ビーチもあり、そこはわたしたち日本国民は入れないのですが、対岸から遠くに望むことはできます。

 その浜辺の先には、クジラ島という通称(正式には平島)の、ほんとうにクジラにみえる無人島があり、そこはもう、日本国民のものにいわば戻る、島と海です。
 名護には、地元・沖縄の資本がこさえたカヌチャ・ベイ・リゾートというきれいなホテル群などがあって、そのカヌチャからクジラ島に上陸することもできます。
 この海をどーんと埋め立てて、海兵隊のヘリ部隊などがやってくる計画になりそうなわけです。


▼名護で、ぼくの知友と会ってゆっくり話も聴き、きょうには那覇に移って、普天間問題をめぐるキーパーソンにも再会します。

 そのあいだにも、菅政権は8月末に迫る「移設の工法などの決定」に向けて、大臣をはじめとする政務三役が水面下の協議をしていますから、東京に電話もしつつ、ぼくなりに公平に、同時進行で話を聴いていきます。
 それが今回の沖縄入りの、大切な目的のひとつです。

 それに加えて、ぼくはネットテレビなどで思わず告白してしまったように、沖縄を愛しているので、ひとに会い、ちょっことスポーツなんぞも知友と一緒にいたし、大好きな居酒屋も訪れます。


▼この沖縄には、7月17日の土曜日から入っています。
 その土曜日には、テレビ朝日系列の「TVタックル」の収録に参加していました。
 今回は、特別番組で、市民・国民のかたがた50人をスタジオに招いて、議論するというタックルでは珍しい試みです。

 第1部と第2部があり、ぼくはその両方に参加していますから、午後1時から午後6時20分ぐらいまでの長尺の収録となりました。
 それに加えて、ぼくとしては市民・国民のかたの話には決して割り込まないように考え、考えの発言となりましたから、総じて、たいへんに疲れました。

 そしてテレビ朝日からそのまま羽田空港に向かって、最終便で沖縄に向かったのです。
 タックルには、まったく参加しない時期が、2年ぐらいありました。
 いくぶんは復帰することになり、実は沖縄のひとびとが、それをとても喜んでくれることに、驚いています。

 沖縄のひとたちは、関西テレビの番組はもちろん見られないし、インターネットはあまり使わない知友もいらっしゃるからですね。
 実は、今夜は那覇に移動して、素晴らしくおいしい居酒屋「S」で、沖縄のみんなとタックルを横目で見ながらわいわい飲むことになっています。
 今夜(7月19日月曜)は特番で、午後7時から10時ごろまで3時間、番組が続きますから。

 ただし、例によって、ぼくの発言のうち実際に放送されるのはとても少ないと思いますから、沖縄の知友たちに、それは今からもう、「ごめんね」と言わなきゃいけないし、この地味ブログに来てくださったみなさんも、もしもご覧になるかたには、ごめんなさいを申します。



小雨の大阪にて

2010年07月14日 | Weblog

▼みなさん、ぼくは今、関西テレビの報道番組「アンカー」生放送への参加を終えて、タクシーのなかです。
 モバイル・パソコンを開くと、独研(独立総合研究所)の総務部から至急メールが入っていて、こう書いてありました。


「平成」は、あっという間に完売したので、社長のブログでも、それをお知らせしてください。


 …正直、驚きました。
 みなさん、魂からお礼を申します。
 総務部では、ほんらいは売る予定のなかった分まで出して、できるだけ多くのかたのご要望にお応えするようです。
 ちなみに、総務部の独研公式HPの担当者は、きょう(7月14日)は休んでいるので、独研HPの更新は明日7月15日になります。それまでは「平成」の入手方法がアップされたままになっていますが、実際には、完売です。


 ぼくは、一冊、一冊、祈りを込めてサインさせていただきます。
 すこしお待ちください。
 ありがとうございました。



 

みなさんにお知らせしたいこと

2010年07月14日 | Weblog


▼ぼくがかつて文藝春秋から純文学小説の「平成」を出版していることは、ご存じのかたも、いらっしゃると思います。

 出版した当時、ぼくは共同通信の記者を辞めて三菱総研の研究員となって間もない頃で、まだ世にほとんど発信していませんでした。それにもかかわらず、文藝春秋が単行本として出してくれたことに、いまも感謝しています。無名の書き手の、それも実質的に処女作に近い作品でしたから。

 新聞や雑誌の書評には驚くほど多く取りあげられましたが、購入された読者は少なかったと思います。正直、実売数はどれほどだったか、覚えていません。
 そして、この本は絶版になりました。
 読者のなかで再版を求める声が上がるようになり、署名を集めて文藝春秋へと送っていただいたという経過も聞いていますが、今のところ再版は実現していません。

 たまに、講演会のあとなどに、この「平成」を手にして、サインを求められるかたがいて、とても嬉しくなります。
 そうしたとき、思わず「この平成を買って読んでくださるひとこそが、ぼくのほんとうの読者です」と口走ったりします。
 もちろん、ノンフィクション分野の本もすべて、物書きとしてのぼくの心血すべてを注いで書いていますが、もともとは純文学で出発しているぼくとしては、やはり「平成」は特別な書です。

 純文学の作家活動については、書けないのではなく、その執筆を優先させるのは、なぜか自己本位に思えて、後回しにしているのです。
 ただ、短い新作をもう7年も8年も未完のまま、凄まじい忙しさのなか抱えたままになっていて、これをこの夏のあいだに完成させるのが、ノンフィクション分野の新作「ぼくらの祖国」の出版とともに、作家としてのぼくの目前の課題です。


▼さて、この「平成」が思いがけず、独研(独立総合研究所)の社内から、まとまって出てきたのです。
 独研はこのたび、本社を移転しましたが、その際の社内整理によって、段ボールに入った「平成」が姿を現しました。

「平成」は、これも驚くほど各地の図書館に所蔵されています。
 けれども、自分で手に入れて読みたいという人もこのごろは少なくはなくて、ぼくのところにも「どうしたら手に入りますか」という問い合わせが絶えたことはありません。

 そこで、独研の総務部の提案で、これを1冊づつお分けすることになりました。
 詳しいことは、独研の公式HPhttp://www.dokken.co.jp/をご覧ください。
 ぼくがサインをして、独研の総務部がていねいに梱包して、郵送します。独研はふだん、書籍販売などはしませんから、おそらくは今回だけのことです。売り上げは当然、ぼくには入らず、独研のものとなります。
 数は、ごくわずかしかありません。


▼もうひとつのお知らせは、関西テレビの報道番組「アンカー」です。

 出演交渉が続いていました野中広務さんの生出演が7月28日水曜に確定したということが、関テレ報道部からぼくに伝えられました。
 木曜アンカーのレギュラーで、ぼくの知友でもある宮崎哲弥さんも、宮崎さんの意志で特別参加されます。
 ぼくは知りませんでしたが、宮崎さんも「官房機密費をもらったのじゃないか」という嘘の中傷を受けたそうですね。
 ただし、宮崎さんが特別参加を望まれたのは、そのせいではなくて、もともと木曜アンカーでも、野中さん生出演のアイデアを宮崎さんが独自に持っておられたからだと聞いています。

 そういえば宮崎さんは、以前に北海道の講演会で一緒になったとき、「青山さん、あなたの本のなかで、平成がいちばん、いい。早く続編を書きなさいよ」と強く、励まされた記憶があります。
 宮崎さんは当代随一の読書家ですから、胸に響きました。


▼それから、7月21日水曜のアンカーは、前にお知らせしましたとおり、ぼくは登場しません。
 この頃、こういう時にいろんな憶測が流れたりしますが、なにも裏はありません。ぼくが首都圏で、どうしても義理を外せない仕事が入っているからです。
 今回はVTRでの参加もありません。いつもご覧くださっているかたがたには、こころからお詫びします。

 あとわずかな時間で、きょう7月14日の水曜アンカーに生出演です。
 きょうは当然、参院選後の動きを避けては通れません。
 いまだ発言のない主要閣僚のひとりと、電話でつないで、生トークをする予定です。



来てくれませんか? ぼくらの祖国のために。

2010年07月07日 | Weblog


▼参院選が迫ってきました。
 きょう7月7日水曜たなばたの夕刻、関西テレビの報道番組「アンカー」では、外国人地方参政権の問題も取りあげます。
 けさのRKB毎日放送(福岡)のラジオ番組「中西一清スタミナラジオ」のレギュラー・コーナー「ニュースの見方」(水曜)では、もうすでに取りあげました。
 関テレ、RKBラジオとも、編集があり得ない生放送です。

 参院選が公示中という制約はありますが、参院選のさなかだからこそ、取りあげねばならない問題もあります。
 中身は簡潔になっても、有権者が投票するときに、なるべく複眼思考の視点を提供することは、発信者の義務だと考えています。
 この参院選が、まるで「消費増税」だけを問う選挙のようになっているというのは、マスメディアの決めつけであり、有権者には、もっと幅広く、外交・安全保障まで踏まえてご自分の投票行動を考えているかたが、感嘆するぐらい多いのを、ぼくは実感しています。
 

▼7月11日・日曜の投開票当日の選挙特番はことしも、関西テレビの特番に参加します。水曜アンカーと同じく、ぼくの解説コーナーもあります。ただし、ふだんの水曜アンカーよりはコーナーの時間が短くなりそうです。


▼7月11日・日曜の参院選当日、実は午前10時半ごろまで、北海道にいます。
 前日の10日土曜、日本青年会議所(JC)主催の「北方領土返還要求現地視察大会」が開かれ、ぼくがそこで基調講演をいたし、そのあとパネルディスカッションのコーディネーターも不肖ながら務めます。
 パネルディスカッションには、パネラーとして西村眞悟さん、濱口和久さん(チャンネル桜キャスター)、相澤弥一郎さん(社団法人・日本青年会議所会頭)が参加される予定です。

 ぼくは11日に釧路空港から羽田にいったん戻り、そこから伊丹に飛んで、大阪の関西テレビに入りますから、かなりぎりぎりの日程で、飛行機が遅れたりすれば大事(おおごと)になりかねません。
 ですから、JCから要請があった時に受けるべきかどうか、かなり考えました。

 しかし、参院選の前日だからこそ、よけいにこのJCの諸君の尊い努力にも、それから大会に参加してくださる市民、国民のみなさんの志にも、しっかり応えるべきだと思い、お受けしました。
 この大会は、今回で実に41回を数えるのです。
 ぼくらの祖国は、領土を国際法に違反して不当に奪われたまま、この参院選で取りあげられることも稀です。
 そのなかで、無償の努力を続けてきた歴代JCのみなさん、それから参加されてきた市民、国民のみなさんに、この一身の深い敬意を捧げ、ぼくも心して講演いたします。


▼この大会は、7月10日土曜の13:30から16:00まで、北海道・根室市の北海道立・北方四島交流センター「ニ・ホ・ロ」で開かれます。
 どなたでも参加できますし、参加無料です。当日いきなり、会場へ行っていただいて「参加したい」とおっしゃっても大丈夫だと今朝、日本青年会議所・北海道地区協議会の主権国家確立委員会で委員長をなさっている笹木潤一郎さんに電話で確認しました。

 みなさん、開催直前で、しかも北海道外のひとにとっては遠いですが、ひとりでも多く、参加していただけないでしょうか。
 われらの北方領土を望む現場、ザ・ゲンバで、同じ日本国民がしっかりと生活されていた領土の香りを間近に感じることができますから、たとえば、ぼくの講演がつたなくても、遠方まで来られる意味は十二分にあると思います。

 そして、外交・安全保障を忘れたかのように、マスメディアが消費増税だけを焦点として取りあげているこの参院選に、カツを入れ、同時に、わたしたち有権者が何を基準にして11日に投票すべきかをもう一度、一緒に考えませんか。

 問い合わせ先は、上記の笹木さんです。メールアドレスは、  jun1ro.jun@sasakisangyo.co.jp 、携帯電話は 090-6874-2361 で、メールも電話もOKだと、これも笹木さんに確認してあります。

 根室市の会場に道外から行くには、釧路空港か中標津空港まできていただき、そこからバスの便があります。ただ、バスの便は少ないですから、事前に時間をお調べください。


▼あとひとつ、7月21日水曜のアンカーは、ある東京での仕事が、義理と志からして、どうしても外せず、参加できません。
 これまでは、そうしたとき、あらかじめロケをやって、VTR参加をしてきましたが、今回は関テレ報道部の考えで、それもありません。
 水曜アンカーで、ぼくがまったく影もないのは、初めてかな?
 おのれの仕事の都合で参加できないのに、ぼくは正直、みなさんにお目にかかれないのを、寂しく思っています。
 こころから、ごめんなさい。

 その翌週からはまた元気に、ナマ参加しますからね。


※会場はここです。まさしく北方領土を望む場所です。
(会場のアクセスなどの画像は北海道立北方四島交流センターの公式HPからお借りしました)


浅き夢にて  (すこし書き足しました) (さらに、ほんのすこし書き足しました)

2010年07月04日 | Weblog


▼いま海外出張先にいます。
 現地時間で朝の5時45分ごろ。
 朝もやのなか、鳥の声が響いています。

 ゆうべは、まともには一睡もせずに、苦しい仮眠だけをすこしとりました。
 浅い夢のなかに、近藤鉄雄さんという、経企庁長官や労働大臣をなさり最近に亡くなったかたが出てきました。
 このひとは、ぼくが記者時代に、消費税をもしも引き上げたら食料品や衣料品の軽減税率をどうするかということを、僭越な物言いながら一緒に考えたひとでした。
 ぼくは若手の未熟な記者に過ぎず、年齢差も経験の差も、たいへんに大きかったのですが、近藤さんは東京・九段の議員宿舎でなぜか毎晩のように、正面からぼくに問いかけ、相談し、ぼくも精一杯、応えていました。
 若くても、未熟でも、ふつうの国民の声をこうした場でも政治家に伝えねばならないという責任を感じていました。
 海部政権の時ですね。
 この政権の時は結局、消費税率の引き上げは見送られました。
 こないだ、関西テレビの報道番組「アンカー」のなかでも、すこしだけ話しました。

 生前の通称コンちゃんは、明るい人柄で、小柄な体を元気よく動かしていました。
 元は大蔵官僚なのですが、大蔵官僚の怜悧(れいり)なイメージとは裏腹に、飾り気のないひとで、だからこそ「あいつは軽い」という中傷を受けることも、一度や二度ではありませんでした。
 コンちゃんは、ときどき、しょげていました。


▼このひとが、なぜか、海外で夢に出てきました。
 今のぼくが、消費増税のことを、ぼくなりに心配し、懸命に考えているせいかもしれません。

 しかし夢に出てきたコンちゃんは、消費税のことは何も言わず、「青ちゃん」と言って、ぼくの目をじっと覗き込み、しきりに、ご自身の朝の散歩のことを話します。
 それがどんなに心身にいいか、体を乗り出して力説し、ぼくも一緒にやろうと誘います。
 場所は、九段の議員宿舎ではなく、清潔な、穏やかな日本の住宅街です。
 行ったことはないけど、行ったことは何度もあるような場所です。
 ぼくはコンちゃんに何も答えません。眼を覗きかえすだけで、散歩には行きません。

 苦しい仮眠から目覚めて、ぼくは『青ちゃん、もっと人生を楽しみなよ。生きている間だけなのにさぁ。俺は、こっちに来てそれが分かったんだよ…コンちゃんはそう言いたかったような感じだった』と思いました。


▼この海外出張先できのう、ぼくは青空の下でレンタカーを運転しながら、思わず深い溜め息をつきました。
 かなり激しい交通量なのに、ドライバー同士がごく自然に相手を尊重していて、よけいな、無駄な疲れがないのです。

 ふだんの疲労はどこから来るのか。
 もちろん、想像を超えるとしか言いようのない詰まりに詰まった日程もあります。
 この海外出張も、日程としては、常識ではあり得ない強行軍です。

 だけど、ほんとうの疲れの原因のひとつは、中傷にあります。
 あくまでも、ひとつの原因に過ぎません。それにとらわれている訳じゃない。だけど一方では、確かに一因にはなっています。

 ぼくの名誉が不当に傷つけられることもありますが、それよりも、「おまえがアンカーで時の政権をあれほど厳しく批判すれば、カネをもらっていると考えるのが当然だ」といったたぐいの中傷コメントやEメールを何通も受けていて感じるのは、『ひとはみな、カネで動くと、そう考える日本人がこんなにいるのかな』という驚きと哀しみです。

 書き込みやEメールのなかには、外国によるもの、ないしは外国の影響下でなされたものもあることが名誉毀損をめぐる基礎的な調査によって分かっていますが、同時に、日本国民によるものが残念ながら、少なからずあることも分かっています。

 カネなどで動きはしない人間もこの世にいる、そんなの当たり前じゃないですか。
 ぼくはカネでは動きません。
 そして、ぼくだけじゃない。まったく、ぼくだけじゃない。
 ぼくの身近な友だちにも、たとえば中高時代の同級生にも、しっかりと、います。

 友情で動く、愛情で動く、おのれの志で動く、祖国へのささやかな献身のためにこそ動く、カネでは動かない、そういう人間と集団、組織もあることは、海外の諸国でもいくつかの国では静かな常識としてあるように思います。

 ぼくらの祖国はいったい、どこへいくのか。
 武士道の国が、なぜこうなったのか。
 ごく一部のひとだろうとは思います。しかし、こころが沈みます。


▼そして、ここは、この部分は、ぼく個人のささやかな生き方に過ぎませんが、カネで動かないということは保身のためには動かないということでもあります。
 そもそも、たとえば関西テレビの「アンカー」に参加している目的は、発信すべきを発信する、それだけです。
 ぼくは、もちろんタレントじゃないし(タレントにしてはかっこ悪すぎるし)、職業的なTVコメンテーターでもありません。さらに、ずっと以前から申しているように、評論家でもありません。
 ひとりの物書きであり、もうひとつには、あくまでも実務を遂行する独立系シンクタンクの一員(代表取締役社長・兼・首席研究員)です。
 ものを書くことも、危機管理や安全保障を軸とする実務に取り組むことも、TV番組に参加することと直接には何も関係しませんし、ましてや、職業的に番組に出ることには繋がりません。

 職業的にテレビに出演されるかたは、芸能プロダクションに属しています。まさか、このひとが、と思うようなかたでも、そうです。プロダクションに属していれば、金銭的利益も、あるいは番組出演の機会も、確保されるのでしょう。それはそれで、そのかたの生き方です。自由な選択です。
 ただ、ぼくはおのれの生き方として、プロダクションに属しません。だから「出演」とは言わずに「参加」としています。

 独研(独立総合研究所)の役員会や経理サイドには、交通費と時間のかかる大阪でのアンカー参加に反対意見もあります。
 そこで、ふだんの仕事には必ず付く同行者を、アンカー出演の際には東京・大阪間では外して、ひとりで移動し、経費を節減しています。利益を生むどころの話ではありません。現状は、その逆です。

 カネも保身も、番組参加に関係ありませんから、発信する内容や情報におのれで確信を持てなくなれば、即、ぼくの責任で去ります。
 あるいは、おのれにとって不本意な発信を万一、せねばならない情況になれば、同じく即、去ります。
 一方で、それらがなければ、ぼくなりに、ささやかな発信を続けます。
 ちいさな、ちいさな戦いを、一粒の砂のような存在として戦い続けます。
 カネも保身も関係ないということは、立場が自由であり、案外に強いものです。
 

▼この海外出張先は、一般的なイメージとはだいぶん違う顔を持っています。日本とアジア、そして世界の安全保障上の重要なポイントの地です。
 だから出張しているのですが、みんなに人気の観光地でもあります。訪れている日本のかたは、たくさんいらっしゃいます。
 いろんなひと、さまざまな世代のかたから、「頑張ってください」と、明るい笑顔で声をかけられました。

 ありがとうございました。
 ぼくは、幸か不幸か自意識が(意外かもしれませんが)強くないせいもあってか、声をかけられても気づかないこともあり、同行者から「先ほど、声をかけられていましたよ」と言われて、慌てて遠くから頭を下げたことも何度かあります。
 ごめんなさいね。

 そしてコンちゃん、ありがとうございました。
 生前は、ご迷惑をかけました。