お盆休みは、古いテニス動画を見ていた。
というと、
「わかるなあ。以前に見た試合とか今の視点で見直すと、興味深いよね」
なんて声が聞こえてきそうだがそうではなく、私の場合もっと古いというか、自分が生まれる前にやっていた、試合の動画などを楽しむのである。
前回(→こちら)は男子はロッド・レーバーにケン・ローズウォール。
女子はナブラチロワとエバートにスザンヌ・ランランと重量級のスターを紹介したが、そんな動画をあれこれ検索していると、ちょいちょい日本語放送のものも見つかるのがうれしい。
主に、昔テレビ東京系列でやっていた『ワールドビッグテニス』。
私は見たことなかったけど、同世代から少し上のテニスファンには、やはり同世代サッカーファンにとっての『ダイヤモンド・サッカー』くらいに語られる番組だ。
おお、まさかこんなところで会えるとはと、初めて見る伝説の番組に感動したのだが、おもしろかったのはこの2つ。
1980年フレンチ・オープン準決勝、ビヨン・ボルグ対ハロルド・ソロモン(→こちら)。
同じく決勝のボルグ対ビタス・ゲルレイティス(→こちら)
ともにボルグの試合だが、むしろ相手のハロルド・ソロモンやビタス・ゲルレイティスのプレーがうれしい。
ふーん、名前は知ってたけど、こんな選手やったんやあ。
私はクレーコートの試合を観戦するのが好きなのだが、この時代のクレーは今よりさらに遅く、ラリーが粘っこいのがいい。
自分がプレーするときも、これでもかとトップスピンをかけたいスピンフェチなので、こういった真上にラケットを振りぬくような、グリグリのスピンショットはたまらないのだ。こりゃ、ハマりまっせ!
そういえば昔、あるテニスサークルに遊びに行ったとき、ミニゲームをやった人が私と同じスピン野郎であった。
こっちがいつものごとくワイパースイングで打つと、むこうも片手打ちバックハンドでメチャクチャに弾むボールを打ってくる。
こうなれば「喧嘩上等」とばかりに、おたがいがフルパワーでボールに回転をかけ、グイグイ押しこもうとする。
どちらもサービスからの展開もネットプレーも忘れて、ひたすらにトップスピンをぶつけ合う。
ミニとは言え、一応は練習試合だったのに、もはやポイントを取ろうとか、果ては勝つことなどもどうでもよく、とにかく回転、回転、また回転。
結果は、まあ私は体力に自信がないし、むこうのほうが技術も上だったから(たぶん部活とかの経験者)、最後はこちらのラケットが吹っ飛ばされて終了したんだけど、そのとき敵が不敵な笑みを浮かべていたものだった。
といっても、それは侮蔑ではなく、むしろ
「おたがいが、おたがいの力とこだわりを出し切った」
という戦士の笑顔であり、こちらも思わずニヤリとしてしまった。
おお、これが世にいう、いにしえの少年マンガにあった、
「おまえ、やるな」
「フッ、おまえもな」
という、『エースをねらえ!』における、尾崎君と藤堂さん的展開というやつか!
体育会的勝負の世界にうといので、気がつかなかったが、こういう「超友情」ってホンマにあるんやと勉強になりました。
たしかに、おたがいをぶつけ合ったラリーのあとには、なにかが芽生えるもの。
なのでたぶん、ビョルンとハロルドはつきあってますね。
ビタスとは三角関係で……て、どんな結論や。