映画『レディ・プレイヤー1』は、アーネスト・クラインの原作『ゲームウォーズ』の方もおもしろいぞ その2

2018年04月19日 | オタク・サブカル
 前回(→こちら)に続いて映画『レディ・プレイヤー1』の原作である、アーネスト・クライン『ゲームウォーズ』について。

 「リアルでは冴えないオタクだけど、仮想空間でのボクは伝説の海賊王なんだぞ!」

 という、『マトリックス』や『のび太の宇宙開拓史』から昨今の異世界ものなどに通じる「ボンクラ作品」の典型のような小説だが、なかなかどうして、そんな「オタクの妄想」だけでなく、ストレートな青春冒険小説としてもよくできている。

 アクションやロマンスなど、娯楽の王道をひた走る本作品だが、それと同列に語られるべき魅力がもうひとつあり、それが全編にちりばめられた濃いオタクネタ。

 作者はたぶん、私より歳はちょっと(5歳くらい?)上なんだと思うけど、世代的にかすってるところがあるからか、結構そこも楽しめた。

 ここでまず言っておきたいことは、別にここに出てくるオタクネタがわからないと、小説自体が楽しめないということはまったくないこと。

 先も言ったが、ストリーラインがしっかりした冒険小説なので、その部分だけでも十分におもしろいのでご安心を。

 現に私も、この本の中で音楽やアメコミ、向こうのテレビドラマやアタリのゲームに関してはよくわからないけど、そういうところは、まあ雰囲気だけ感じてさっと流せばいいと思う。

 では私が反応するのはどこなのかと問うならば(以下ネタバレほどではないけど、軽く中身を語っちゃいます)、これが「特撮」「テーブルトークRPG」「ナムコのゲーム」あたりであろうか。

 あと、ジョン・ヒューズの青春映画とか。『フットルース』は、この本読む少し前にたまたまテレビでやってるの見たのだった。めぐりあわせが良かった。

 『D&D』は中学時代、友人たちとよく遊んだけど、まさかこんなところで濃い再会を果たすとは。

 日本では、結局メジャーになりきれてないのが残念だ。やはり山本弘さんがいうように、

 「『ロードス島戦記』のリプレイ出版の許可を出さなかった」

 ところが分岐点になったかなあ。

 今でも文字通り「伝説」なんだよね、あの連載。私は古本屋で『月刊コンプティーク』探して、飛び飛びではあるけど読んだけど。今からでも出せないもんか。買う人、全員同世代になりそうだけど(笑)。

 ナムコは『パックマン』も『ギャラガ』も、自分の時代はすでにレトロだったけど、『ディグダグ』と『ファミリースタジアム』は目から血が出るくらいやった。『ファミリーテニス』の持ちキャラは「びょるぐ」。『ドルアーガの塔』を無限ループできる友人がいる。

 あとメガドラ派だったので、『マーベルランド』とか。おもしろいんだけど、目がチカチカするんだ。おい、ウェイド、オレと『レッスルボール』で勝負しようぜ!

 ジョン・ヒューズ作品は、当たりはずれもあるけど、ボンクラ男子必見の映画ばかり。とりあえず、『フェリスはある朝突然に』と『恋しくて』は、血を売ってでも観ておけよ! 5回見て、次会ったとき感想聴くからな!(←これが文化系の「かわいがり」です)

 一番ツボをつかれたのが、主人公が巨大ロボットをもらうシーン。

 仮想空間「オアシス」の中では、アニメなどでおなじみのメカの本物に乗ることができるわけで、まさに男子の本懐。夢の究極といっていい。

 そこには「鉄人28号」「マジンガーZ」「ジャイアントロボ」といった古典から、「ガンダムのモビルスーツ各種」「エヴァンゲリオン」まで、新旧ズラリとそろえられている中、さりげなく

 「ジェットジャガー」

 ここを読んだ私の爆笑と感動を想像してほしい。

 ジェットジャガー! ようこんなんいれたな!

 しかも、これが

 「ガンガル」「ステカセキング」「ジェットジャガー」

 みたいな並びじゃなくて、普通に、

 「ヤマト」「ライディーン」「ジェットジャガー」「ゲッターロボ」

 てな並びなの。ものすごく、さりげなく挿入してるところがセンス抜群。

 ちがう! ジェットジャガーは、そんないいメカにはさまれるようなタマやない!(笑) 
 
 アーネスト、わかってるなあ。学生時代に自主映画で、道着を着たジェットジャガーが山籠もり中のマス大山と戦う『ジェットジャガー師匠 特撮空手番長』というシナリオを書いた身としては(そんなん書くなよ)、もう大満足です。

 このラインアップは「巨大ロボット ジェノバ」があったら、もっと良かったけど。というか実写化の主人公、杉作J太郎さんがよかったなあ。

 ちなみに私が乗るなら「量産型ザク」かな。『プラモ狂四郎』世代なんで、アニメの奴じゃなく、

 「ザクの最高キットといわれる06-Rと旧ザクの部品で作った1/144パーフェクト・ザク」

 でお願いします。ミサイルポッド付きフルアーマーは不要です。「セメントコーティングされて、モーターライズでパワーが3倍になったタミヤのタイガー1型」か、「パーフェクトコンバットビーグル」でも可。

 あとは「ザブングル」も悪くないか。ロボットを「ハンドルとクラッチで操縦」は男のロマン。最初見たときは衝撃でした。

 もうひとつ、ストレートな燃えポイントとして、「あのヒーロー」が登場するところ。

 ダイトウとショウトウのバトルシーンで一度出て、そこもいいんだけど、やはりクライマックス近くのあの決戦。

 日本人としてはピンチといえば「彼」! しかも対戦するのはヤツ! でも2000年代のだって。ごめーん、そっちは見てないわというか、金もらっても見いひん(笑)。

 嗚呼、河崎実や庵野秀明は正しかった。みんな「彼」になりたいのだ。でも、映画化では権利関係がややこしくて出ないとか。あらら。

 そんなこんなで、オタクな人もそうでない人も、とにかくおもしろい『ゲームウォーズ』はとってもおススメです。はやく映画も観に行かないとなあ。




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