デビスカップ2014決勝 フランス対スイス戦の展望

2014年11月19日 | テニス
 今年のテニスも、あとはデビスカップ決勝を残すのみとなった。

 錦織フィーバーに沸いた(その激闘の模様はこちらから)ツアーファイナルズだったが、決勝ロジャーフェデラー棄権という思わぬ形で幕を閉じた。

 ナンバーワンナンバーツーというこれ以上ないカードに期待は高まったのに残念至極。

 まあ、ロジャーにとっても苦渋の決断だったろうから、それはしゃあないわけで、


 「それやったら、4度あったマッチポイントをなんとかしとかんかい!」


 なんて、準決勝で敗れたスタンワウリンカにやつあたりしてみたり。あはは、死者に鞭打ってどうする。

 うーん、今からでもジョコビッチとスタンで決勝やってほしかったなあ。

 そんな最終戦も終わって、2014年度に残すはデ杯決勝

 優勝を争うのはスイスフランス

 そう、フェデラーとワウリンカはツアー最終戦の準決勝で名勝負を展開したわけだが、実のところその後には、もうひとつ大勝負が残っていたわけですね。

 デビスカップ

 といってもあまりテニスにくわしくない人にはなじみがないかもしれないので、ここに説明しておくと、これはテニスの国別対抗戦

 個人競技であるテニスには珍しくを背負って、しかも団体戦であることから、テニス界以外ではややマイナーながらも非常に燃えるイベント。

 略称は「デ杯」。新聞とかニュースだと「デビス杯」とか表記されるけど、テニスファンでそう呼ぶ人はいないです。

 今年はサッカーワールドカップがあって、決勝でドイツアルゼンチンが戦ったわけだが、あるとき飲み屋で友人クニジマ君が、


 「そういや、こないだアルゼンチンがドイツに勝ったなあ」


 などといいだした。

 はて、なにを言ってるのかこの男はと首をひねっていると、よく聞けばそれはデ杯の話なのであった。まぎらわしいなあ。

 今年は日本ベスト8まで残って、ディフェンディングチャンピオンのチェコと激突。

 錦織、ベルディヒとお互いにエースを欠く状況ながら両者良く戦い、世界での実績の差以上に日本も食い下がった。

 伊藤竜馬ラデクステパネクに、ダニエル太郎ルカシュロソルに敗れ、ダブルスも完敗したものの、熱戦を展開。

 このデ杯ベスト8も、もちろん錦織圭の頑張りによるところ大で、地味ながらも今年、日本のテニスファンを熱狂させた彼の功績のひとつでもある。

 さて、そのデ杯決勝だが、注目はロジャー・フェデラー優勝なるかというところであろう。

 テニスプレーヤーとしてはあらゆる栄誉を手に入れたロジャーがまだ持っていないタイトルといえば、ひとつはオリンピックでのシングルスの金メダル

 もうひとつが、このデビスカップのタイトル。

 もともとランキング等とあまり関係なく、タイトなテニス界のスケジュールの中で出場機会をやりくりするのが大変なこともあり、デ杯はトッププロの中でもけっこう温度差のある大会。

 ナダルやジョコビッチなんかはかなり熱心で、実際優勝経験もあるが、フェデラーはこれまで、それほどにはこだわっていなかった印象があった。

 だが、今年のフェデラーは違う。勝つ気バリバリである。

 それは、いよいよ近いであろうキャリアの終わりにおいて、欠けているピースを補填したくなったのだろうか。

 スタンが大ブレイクして、頼れる相棒に成長したことも大きいかもしれない。

 そうして、本気で取りにいって実際に決勝まで行っちゃうところがさすがの男。

 世界2位4位の二人が単複に大車輪で戦うのだから、そら強いはずですわ。

 では、フェデラーが悲願の初優勝で決まりかと思いきや、そう甘くはないのが団体戦の妙。

 対戦相手はフランスなのだが、これが油断ならないチーム。

 フランスといえば、これという突出した選手はあまりイメージがわかないが、実はが厚いのが売り。

 グランドスラムで優勝したり世界ランキングでナンバーワンになったりといった選手はなかなか出てこないのだが、20位以内くらいに常時3人とか4人くらい実力者が設置されている感じ。

 こういったチームは当然のこと、団体戦ではいいチーム編成が期待できるのだ。

 今年も、ジョーウィルフリード・ツォンガ(12位)、ガエルモンフィス19位ジュリアンベネトー26位)、リシャールガスケ27位)と、それぞれやや全盛期を過ぎている感はあるが、それでもなかなか駒がそろってる。

 フェデラー&ワウリンカのコンビは現在のところ間違いなく世界最強で(ダブルスもいけるのがメチャクチャ大きいよな)、単純な強さではスイスが上だが、ホームで戦える利もふくめて、総合力ではフランスも充分チャンスはある。


 「スターが単複連戦」のスイスと、


 「力では劣るが《全員で3勝を取りにいく》」というフランス


 デ杯の戦い方の典型的2パターンのチームが戦うというのがおもしろい。

 錦織圭は出ていないが、最近テニスに興味を持った方にもぜひ観戦して、テニスではめずしい団体戦の熱気を体感してもらいたい。

 ただ、気になるのはやっぱりロジャーの体調

 彼が出られないと、スイスチーム戦力大幅ダウンの片肺飛行となってしまうのが痛い。

 スタンが単複でひとつでも落とすと、ほぼおしまいとなってしまうのは苦しい。

 結果にかかわらず、とにかく出場はしてもらいたいものだが……。
 

コメント
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