拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

怪奇!「メトロポリタン美術館」―タイムトラベルは楽し♪

2006-04-19 22:06:36 | 音楽
「メトロポリタン美術館」という曲をご存知だろうか。ご存知ない方はここで歌詞とメロディーがチェックできるので、見てほしい(音量に注意)。思い出すかも。私が幼稚園児の頃、NHK教育テレビの「みんなのうた」で流れていた曲。調べてみると、「みんなのうた」にこの「メトロポリタン美術館」が登場したのは84年頃、そして私が5歳だった91年の春頃である。当時、この曲だけが目当てで毎日夢中で「みんなのうた」を見ていたのを覚えている。ちなみに他の歌は全く印象に残っていない。「メトロポリタン美術館」の印象が強すぎるのだ。
この曲のことを覚えている人にコメントを求めたら、多くの人はきっと「見てて少し怖かった」と答えるだろう。曲だけを聴いていれば、声は可愛いし(大貫妙子さんという方)メロディーも明るめなので誰も怖いなんて思わないだろう。映像が怖かったのだ。子供番組らしからぬ怖さ。「メトロポリタン美術館」の歌の主人公は、真夜中のメトロポリタン美術館に入った女の子。誰もいない真っ暗な美術館の中を女の子が一人でいろいろと見てまわる、というストーリーだ。冒頭で女の子は展示品である天使の像に、「冷えるから服貸してくれ」と話しかけられる。ここがいきなり怖い。天使なのに全然可愛くない像がヌーっと動き出して話しかけてくる場面の映像…。幼児には刺激が強いよ、怖かったよ…。女の子はこの天使の手をとり暗闇の中二人でぎこちなく踊る。像のダンスも怖いのだ。全ての像は真夜中になると動き出すのかな…と震え上がりながら見ていた。この次はツタンカーメンみたいな像が出てくる。これも凄くリアルで不気味で。そして像の中から包帯巻きのミイラが出てきて、女の子はこいつとも踊る…ホラーだってば。くどいけど真夜中。画面は終始暗闇の中。背景には沢山の不気味な像が映ってる。その後、一番怖い場面。ひととおり踊った後、女の子はお気に入りの絵の中に閉じ込められてしまう。…なんで!?ものすごく自然に絵の中に入り込み、出られなくなっちゃう女の子。以下、その部分の歌詞引用

タイムトラベルは楽し
メトロポリタンミュージアム 
大好きな絵の中に閉じ込められた

歌はここで終わる。女の子が絵の中に閉じ込められたまま、真夜中のメトロポリタン美術館はフェードアウトしていく。やはりここが一番怖かった。「真夜中の美術館に行ったら帰れなくなる!絶対行かないようにしなきゃ!」というアホな心配を本気でしていたし、なにより美術作品を見ること自体怖くなった。「こいつら真夜中踊ってるんだよ…」と幼稚園児なりに妄想していた。とにかく怖かった「メトロポリタン美術館」。それでも怖いもの見たさで毎日みていた。わざわざ電気消して、ホラー映像に夢中になっていた。
歌詞自体はラスト三行以外は楽しげだ。映像がついてこんなに怖くなるとは。未だに記憶に残ってるし、フルで歌える「メトロポリタン美術館」。歌も映像も合わせて「みんなの歌」史に残る傑作ではないだろうか。

追記
村上春樹の短編を分析する演習の授業で、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」の担当になった友人が「やり辛い!」と言っていた。作品読んでみた。…うん、扱いづらそう。私が担当になった「我らの時代のフォークロア」も少しだけ扱いにくい気もしたけども。少しだけね。

追記2
「君の成績はガラスのように脆くて繊細だね。E判に値するよ」
「E判?」
「ヤバイってことさ」