ノーベル賞は神童の証となるか
小林哲夫氏は、日本のノーベル賞受賞者にも、書いている。私たちは、ノーベル賞受賞者というと、「はじめから頭がよかった人」と決めつける傾向がある。しかし、小林氏は、かなり詳細な調査をしている。
その何人かを紹介したい。
2002年 物理学賞で受賞した小柴昌俊氏。
横須賀中(現・神奈川県立横須賀高校、東京大学
高校時代、担任に進められて、アインシュタイン、インフェルト著「物理学はいかにつくられたか」(岩波新書)を2日読み切ってしまう。それから物理学にのめり込んでしまう。
小柴は、東大で、2人の神童と出会う。1人は、松下康雄。のちの大蔵省、日銀のトップとして資本主義の発展で日本を豊かにしようとしていた。
もう1人は上田耕一郎。日本共産党の副委員長で、共産主義思想を広めて富を広く分配して国民の多くが幸せになれるようにした。
小柴はニュートリノろいう新しい天文学分野を確立し、科学技術の発展から人類の可能性、将来性を切り開いてくれた。
3人の中で、神童性がもっとも薄かったのが小柴だ。オール5、全優という成績は修めていない。
小柴氏の東大卒業式の挨拶。
「今度はなにごとも自分自身で能動的に判断しなければならない。これは今までやってきたことと全然ちがったタイプの認識だ。だから、学業成績が良かったからといって、これから能動的な認識がうまくできるという保証は、何もない。逆に成績が悪かったら、能動的な、あるいは創造的な仕事ができないということにはならない。だから新しい気持ちで頑張ってほしい。」
ちなみに、小柴は、学部時代「優は2しかなかった」と書いている。
注)小柴氏と上田耕一郎氏が「親友であったこと」は、上田氏自身が、しんぶん赤旗にも食事会の顛末を書いています。