思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Payne竿でのMur川のグレイリング釣り(2023年8月21日)

2023-09-16 20:37:09 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

先月オーストリアはEtrachseeの湖畔に泊まり釣行した際、8月21日1日だけ下界のMur川で釣りをしました。その日は10時頃釣魚券を売っているSt. Lorenzenの旅行案内所に行き日釣り券を購入、10時30分頃に釣り場に到着したのですが、チェストハイウェーダーを着用した先行者が居て川のど真ん中にウェーディングしており、彼が下流へ去って行くのを暫し待つことに致しました。その後午後その釣り人と話をする機会がありましたが、車で40分程度離れたScheiflingから来ているとのことで大型ウェットとストリーマーで大型のブラウントラウトを狙っていたとのことでした。

私は通常サイウェーダーでウェーディングは出来るだけ避ける釣りをしておりますので、何時もの岸辺からドライフライでグレイリングを狙いましたが、6月30日のようなグレイリングの果敢なアタックは見られずあまり満足の行く釣りにはなりませんでした。
Grüne Mur(英語訳:Green Mur)と言われるのが実感出来る緑の川です。

その際使ったのがPayneの206L竿。9フィート3ピースの竿ですが極めて繊細でSt. George Junior 2 9/16”にAFTM #4のシルクラインを合わせた釣りを致しました。
この竿はティップが極めて細く、全体的に軽く、同じ9フィートのHardy竿と比べるとその重量感の違いには圧倒されます。しかし、繊細なウェットフライ用の竿として開発されたものと思いますが、ティップが弱いのでキャスティングは注意が必要。ティップを使わずにバットにラインを載せるようなゆったりした動きで竿を振ってやらないとラインを伸ばすことが出来ません。この点、HardyのLRH Wet 9'3"と似ております。
この竿でグレイリングの引きを程々に楽しむことが出来ました。

この竿は1930年代の竿のようですがPayneの206を更に繊細にした206L。

グリップはシガー。典型的な古いPayneの竿ではないかと思います。

その繊細なティップが如何程かというと、一番下のPayne 206Lに対し、上の1938年製のMarvel 7'6"と一番上の1958年製Perfection 9'のティップを比べると一目瞭然。Marvelのティップよりも細いティップを持つ9フィート竿という欧州の釣りばかりやっている私には俄に信じられない竿なのです。
MarvelはHardyの竿の中ではペナペナ竿ですが、アクションは英国の伝統的な胴調子。全体的に細くグリップの中までしなる竿ですが、このPayneは流石にこの長さでのキャスティング・釣りを可能にするためにバットはMarvelアクションよりは強め。しかし全体に繊細なアクションです。
昨年ウィーンからカサブランカへの帰路二週間以上ロストした際は殆ど諦めましたが、こうやって再会した竿でグレイリングの引きを楽しめる私は幸せ者です。

イスラム教国では食べられない豚肉を食べるのも釣行の楽しみ。湖畔の宿に戻り夕食は隣接するForellenstationというレストランでSchweinerückenbratenという豚の背肉の焼き肉を地元の生ビールで賞味致しました。

脈絡ありませんが上の写真は二週間前パリからカサブランカへのエール・フランス便から英領ジブラルタルを写したもの。海に突き出した岩山がそれ。

上の写真はジブラルタル海峡。手前の欧州(スペイン)に雲の下のアフリカ(モロッコ)が迫っているのが見えます。
アフリカプレートがユーラシアプレートにぶつかり潜り込むこの地域は4,000メートル級の山があるアトラス山脈がチュニジアからモロッコを横断し、モロッコでも天然の鱒の生息出来る環境を提供しておりますが、先日の地震のような災害も起こり得る土地。程度の違いはあるものの、自然の恵みと脅威が同居する日本のようなところでもあるのです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良いお話ですね (nori)
2023-09-22 22:40:59
budsek様

中欧の里川でPayneの9フィートを振ってグレイリング釣り、嗚呼、夢のような釣りですね。
1930年代に本格的ドライフライアクションへと移行する前の、閑暇で優雅な時代のペインロッドですね。
私も古い9フィートペインロッドを2本愛用していますが、振っていて本当に気持ちの良い、繊細なフライロッドです。ドライもいけますが、ウエットでも気持ちよく使えます。
ペインロッドの素晴らしいところは、生涯かけてずっと愛用できること。フェルール周りもしっかり処理されていて、他の竿だとしばしば見舞われるその部分の故障など皆無です。
末永くご愛用下さい。

nori 拝
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優雅な竿 (budsek)
2023-09-23 19:59:49
nori様
コメントを頂き大変ありがとうございました。
Payneに関する情報は貴書のものしか殆ど知りませんのでお恥ずかしいのですが、Payne竿が1930年代以降本格的なドライフライアクションへ移行したということでしたら、確かにそれ以前のアクションの竿で中型魚を釣る喜びを十二分に味わえる竿だと感じております。
繊細な毛鉤を使ってのオーストリアの里川のグレイリング釣りにはまさにもってこいの竿ですね。
同じオーストリアでもGmundner Traunのような大河になるとGebetsroitherが使用したようなスパルタンな竿でロングキャストとなるのかも知れませんが、Mur川ではそのような男のロマン的なものは必要なく、サラリーマン生活も終盤に差し掛かったおじさんの静謐な釣りを愉しむ場所としては適したところでありますし、このPayne竿もそうした趣味人のための竿であろうと思います。
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