思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

晩秋のドライフライ釣り

2018-10-20 13:45:28 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

10月15日がチュニジアの祝日となった3連休の週末、今年最後の釣行に行く事に致しました。Mur川は昨年10月初めに稚魚放流をしたため、本来は10月末まで釣りが出来るところ、放流後即釣りは禁止されたという経緯があったため、ドイツのWenne川に行こうかとも思いましたが、Mur川と言えば大型のグレイリング(独語エーシェ)が釣れる釣り場。それを考えるとやっぱりMurと思い定め、現地の観光案内所とメイルでやり取り。今年は10月15日まで釣りが出来ると確認の上、飛行機、宿、レンタカーの手配を致しました。

今年最後の釣りはドライフライでと思い、以前巻いたドライフライを持参します。この写真の毛針は実際に使ったもの。

今回はハックルドライフライばかりを使う事になりました。

同じ様な毛針ですが、ハックルは其々違うものを使っております。

上の3つはFrank Elder氏のOld English Game Cockのハニーダン、ラスティーダンですが、これはWhitingのハックルで巻いたもの。以前の話で、Whitingのハックルは、鶏のご先祖様のジャングル・フォウルの遺伝を強く残しておりハックルの裏が白になってしまい、毛針に巻くと透明感がなくなってしまう、と書きましたが、この透明感の有無の問題なのか、特に暗い場所ではWhitingハックルの毛針への反応は悪く、反応するのはチビばかりという現象に遭遇しました。

10月13日午後、12時間以上かけて釣り場に到着後、HardyのH.E. Accuracy 8'にシルクラインをセット。ウェットフライを使う事を想定しないアウトフィットで川に降ります。

下流のダムの水位を落としているからなのか、今年秋のMur川Bodendorf釣区の水位は過去経験した事がない浅さです。これまでは岸から川の真ん中に毛針を投げておりましたが、川の真ん中まで歩いて行ける水位のため、深くなっている川の右岸ギリギリに毛針を流すために川の真ん中に立ち込み釣りを開始。当日は普段殆ど出会わない他の釣り人が3人もいて、釣りが出来る場所は限定的。フィッシングプレッシャーも影響してか、結構渋い状況の中、それでも右岸のへちをドライフライでしつこく攻め、良型のエーシェに会う事が出来ました。
H.E.Accuracy竿は毛針を正確に落とすトーナメント競技用に開発された竿で、それをライトウェイトドライフライ竿としてラインアップしたもの。降って軽く、パワーはあるものの竿先は結構曲がり、毛針を思ったところに置きやすい竿。但し、前回のContinental Specialの様に強い竿なので小型毛針を使ったエーシェの釣りに際しては慎重にやり取りしないとバレ易いのが玉にキズ。

翌日14日は、気温7度、水温10度のコンディション。竿をHardy LRH Dry Wet 9'3''に変え、ウェットフライでの釣りにも対応出来るようにします。この日は他の釣り人が居なかったため、朝10時過ぎから17時までの7時間、Bodendorf釣区を上流から下流まで釣ったのですが、どうしてもウェットフライへの反応も渋く、午前中Snipe and Purpleに出ただけで、午後もちびっ子エーシェが出ただけで終わり、非常にがっかりの日となってしまいました。下流の水流が渦巻く大淵には大物エーシェの姿が見えるのですが、複雑な水の動きに水底へ毛針を届けるすべも無く完敗。

最終日の15日は16時までにはウィーン空港に到着しなければならないため、何時も通り13時には出発必要。ところが、定宿のHotel zum Brauhausで朝食を摂っていたら宿の顔なじみの受付の年配の女性と長話が始まりたっぷり1時間。宿を出て釣りを開始出来たのは10時を回ったところでした。その日も気温は7度とウェットフライでないとだめそうな雰囲気で、魚の跳ねも全くなかったのですが、冒頭に掲載の16番程度の赤いボディにハニーダンのハックルフライを結び右岸を下流から丁寧に狙って行きます。上の写真では極めて浅そうに見えますが、右岸のへちはある程度水深があり魚がいそうなところです。
釣り始めて直に30cm以下のエーシェが食いつき、LRH Dry Wetの竿先を曲げます。そのサイズの魚が次々3匹揚がり、実釣時間2時間のところ幸先良いスタート。

チビッ子エーシェを釣った場所から多少上流へ移り、右岸のへちに根気よく小さな毛針を流して行きます。15ヤード程度投げてドラッグを回避しながら出来るだけ長く流す釣りには、9'3''の長さはありがたい。この竿は今年良く使ったLRH Wetよりも張りのあるアクションでドライフライ向き。
根気よく流しているとアタリがあり、クィッと合わせるとグイッと引きます。水底へ持って行こうとする引きで、最初はエーシェかと思ったのですが、Mur川のエーシェの特徴であるジャンプもせず我慢強い抵抗を見せます。漸く近く迄寄って来たところで、見るとブラウントラウトで、この寒い中ドライフライに出るとは思っていなかった事もあり、嬉しい魚となりました。釣りバックにぶら下げたテレスコピックタモに入れ、早々に毛針を外し、流れに戻すと元気に帰って行きました。

ブラウントラウトを釣り上げた後、更に上流へ向かい毛針を流していると、「バシャ」という大きな音があり、ちょっと下流の樹が右岸からせり出している所で良型の魚が空高く飛び上がりました。その魚を狙うべく下流に戻り、その樹の張り出したポイントに赤いボディの毛針を何度か流すと、待望のアタリ。リールの逆回転の音を何度もさせるやり取りの後、タモに収まったのは38cmのエーシェでした。

その後上流で小型の毛針を流していくと、更に一匹。

また一匹。

最後の一匹を釣ったところでほぼ12時。前日が余り良く無かった事もあり、最終日は余り期待していなかったのですが、寒いコンディションの中、跳ねが無くとも小型のドライフライを流し、良型の魚を釣る事が出来て、今年最後の釣りとしては満足いく結果となりました。

雪解け等考えると、来年の5月末くらいに漸く始まる来シーズンまで暫しのお別れ。私の駐在も長くなりましたので、或は最後のMur川かも知れませんが、期待以上の2018年シーズンフィナーレとなりました。