思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

ハックルの色のブルーとは?

2019-11-30 16:15:13 | ハックル/Hackles

以前どこかでハックルの色の中でもブルーは入手がとても難しいと書きました。米国ジェネティックハックルではなく欧州のハックルを集めて来ましたが、Frank Elder氏が手ずから育てたオールド・イングリッシュ・ゲーム・コック(OEG)のハックルで私の手元にあるハックルの中でも正直に申し上げれば私が知るブルーの色は出ておりません。ブルーというよりスチールの色です。何故この様な不遜なことが申し上げられるのかは上の昔の英国のハックルがブルーとはどの様な色かを示しているからです。
左からHoney Dun(ハニー・ダン)、Blue Dun(ブルー・ダン)、(Honey Dun)ハニー・ダン。これらは鶏のハックルでも以前はブルーの色が出ていたことの証拠であります。

近影で見ますと、上はHoney Dunのハックル。Honey DunはBlue Dunの親戚だと言われるのですが、Blue Dunは大体においてブルー一色ではなく茶色や金色が少し乗った色をしております。その茶色や金色がより強く出てくると、それらはHoney Dun、Rusty Dunとブルーのリスト(中心部)を持ち、金〜茶色のバーブを持つ二色のハックルとして分類されます。

上はBlue Dunのハックルの近影ですが、金色が結構出ているのが見て取れます。

そして上はHoney Dunのハックルですが、Red(レッド)〜Ginger(ジンジャー/薄いレッド)と言えそうなバーブと鮮やかなリストのBlueが際立つ対照を示すハックル。
写真でもお判りになるかと思いますが、これらのハックルの色は米国ハックルと比べハッキリした発色ではなく、透明感に溢れております。
ダンやスピナーを模倣したドライフライのハックルは本物の虫の足・羽の色を超えて発色してはいけない一方、釣り人から見て見やすく、また日光を浴びて本物の虫がその身に纏う光線を再現出来ればより良し、と、釣れるハックルの重要な点の一つに「透明感」があるのではと考えておりますが、インド、チャイナ、OEG、フランスのハックルにはその透明感に溢れたものがあり、昔のハックルになると、バーブが長かったり、ハックルの長さが短かったりと、米国ジェネティックハックルには巻き易さの点では完敗ですが、魚を釣るドライフライのハックルとして中々捨てがたいものです。
今でもブルーの色はBlue Andalusiaというスペイン原産の鶏の種類が安定的に出しておりますものの、この鶏はハックルが柔らかいという致命的な短所があり、彼のDr. Baigentの娘Mrs. LodgeがDr. Baigentは良くBlue Andalusiaの雌鶏をOEGに掛け合わせていたと証言している様に色合いには貢献出来てもゲーム・コック(闘鶏)の雄鶏のハックルの硬さと艶をダメにする遺伝子を持っており、そうした遺伝の条件のため、米国の巨大メーカーであってもブルーのハックルを作り出せていないのではないでしょうか。
英国の昔のパターンブックにはブルーとその派生色を指定したパターンが多く掲載されており、かつ、そうしたブルー系のハックルを身に纏うドライフライは良く釣れるので、ブルーのハックルを常に追い求めてはおりますが、現在は本当に見つけることが出来ないハックルになってしまっております。染色して代用出来ないかとも思うものの、そうするとあの透明感が毀損するし、釣果に影響が出そうで、結論としてはドライフライ用としては手を出しかねております。
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会津大川釣行(2019年11月23日)

2019-11-24 10:34:50 | 釣行記/Fishing Trips

関東地方が冷たい雨に沈んだ11月23日、またまた会津大川に行ってまいりました。日本国外では10月を過ぎれば来春まで釣りは出来ませんが、日本では一年中釣りが出来る幸せを噛み締め、早朝の電車に乗ります。いつも通り北千住までの40分弱、そこから会津田島までの3時間強を電車で過ごし、こめや釣具店さんで釣魚券を買って川に立ったのは10時30分を回っております。ここからの3時間ちょっとが釣りの時間。

東京とは違い雨はほぼ止んでおりますが、それまでの雨で川は増水。水は濁っております。

前回山女魚を釣ったポイントでDunkeldをドロッパーにRamsbottom's Favouriteをリードフライに魚を探りますが、全く何の反応もありません。

時間も限られるので、そこから下流に移動し魚が付きそうなポイントに竿を振り入れますが、何ら反応はありません。増水による水位の上昇と急な流れに魚が居る場合付くであろう川底に毛針が届かないこともあるのでしょうが、残念ながらどうしようもありません。

昼近くなると空も明るくなり、紅葉の残り香が目に鮮やかです。ビルに囲まれた東京から飛び出して大きな河原で紅葉を見ながら竿を振るだけでも気分転換になります。更に釣り人も郡山ナンバーを付けた車の他2名しか出会わず、煩わしさもありません。

しかしながら、釣り竿を担いで来たからには魚を釣ることを諦めてはいけません。台風で魚が下流に流されたとの前提で下流を攻めましたが、反応が無いので、ダメで元々と今度は上流にとって返します。
丹藤橋の周囲は台風で流れが変わり、橋の下の深みに行こうにも手前を水深のある急流が流れ、橋の上流の堰堤下まで行って迂回しなければ近ずけません。そこで堰堤の近くに行くとコンクリ下で深みになっているところがありそこに軽い気持ちでウェットフライを投入します。

2〜3投すると毛針が止まった様な気がしたので聞き合わせをしたところ、根掛かりしたようで毛針が動きません。参ったな、と思い竿を数回煽ると、根掛かりしたものが動いた様で、大きなゴミに引っかかったと思うと、そのゴミはSawyer Nymph 8'10''を満月に絞り込み下流へ遁走しました。

「魚だ!」と気合を入れてやりとりしますが、魚の姿は全く見えず、柔らかいSawyer Nymph竿は同じPezon et MichelのPPPシリーズ竿だったら穂先が折れるのではと思う程、曲げられ続けます。この柔らかさのため糸切れや鈎の外れの心配は余りしなくて良いものの、こう何時迄も魚と引っ張り合いを続けていては何時ドロッパーかリードフライかわかりませんが、他の毛針が何かに引っかかるかわかったものではありません。リールに糸を引き込んでリーダーをトップリングまで持って来ても魚に走られてラインが引き出される。。。を繰り返し、ようやく魚の姿が水面に見えたところから更に数分やりとりをした挙句、伸ばしたタモに掬い上げられたのは雄の虹鱒でした。

丸々と太った虹鱒。台風で養魚場出身の鱒は餌も取れずに痩せ衰えているのかと思っておりましたが、この魚は環境に適応し、魚体を維持出来ている様で嬉しくなりました。

この魚が咥えたのはリードフライのRamsbottom's Favourite。会津大川でも、オーストリアでも実績のある毛針です。この魚は測ると45cmでしたが、ファイトは50cm超えの魚と比べても全く遜色無いものでした。

Sawyer Nymph竿にPerfect 3 1/8リール。そして毛針。

10番のPartridge鈎に巻いたこの毛針。英国の古いパターンブック「A Dictionary of Trout Flies」で特に紹介されていたのに触発されて巻いたものですが、英国のシートラウト同様、ニジマスもこの毛針に魅かれる様です。

かなりばらけておりますが、この毛針はマラード、黄色、青、赤の各色がばらけた方が良いとRamsbottom氏はおっしゃっていたそうで、ばらけたままで使い続けられます。

15:00のリバティ号に乗れば下今市での乗り換えもなく北千住に直行出来ますので、14:00を待たず釣りは終了。釣れないのに慣れてしまっており、1匹満足出来る魚を釣ればもう未練もありません。ここ数年使い続けるBradyのバックに竹竿、そして愛用のタモ。それらをリュックに詰め込んで会津田島駅に戻りました。

15:00の電車の切符を確保して、お約束のヴォーノさんへ。

ここの塩チャーシューはチュニジア時代に豚肉の滋味を楽しみはまったものですが、悪く言えば水の様に薄いと思う方もいるかも知れませんものの、あっさりのスープにチャーシューのコクを乗せ、麺を楽しめる一品。釣りの後の一杯。今回も堪能させて頂きました。
今年は未だ釣りが出来るでしょうか。。。
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会津大川釣行(2019年11月10日)

2019-11-10 10:22:21 | 釣行記/Fishing Trips

10月の台風19号の直前会津大川へ釣行しましたが、養沢も今年は台風被害のため晩秋の営業を取りやめた今、行けるのは会津大川のみ。そこで台風の影響がとても気にはなりましたが、駄目で元元と会津大川へ行ってまいりました。
いつも通り6時42分北千住発のリバティ会津号に乗り、9時43分会津田島駅に到着。その足でこめや釣具店へ向かい釣魚券を購入、丹藤橋についたのが10時を少々回った頃。支度をして川に降り立ったのが10時30分ちょっと前です。
10月の釣行で魚に遊んでもらった最上流部は、見る影もなく月面というのは大げさではありますが、写真の状況。魚の姿は一切見えません。

魚は下流に流されたものと思い、下流部の堰堤に向かいます。

今回持参したのはドイツ・オーストリアを歴戦したLRH Wet 9'3''。非常に軽く、また繊細なトップを持つ竿でキャスティングは苦手ですが、繊細なウェットフライの当たりを的確に取ることが出来る竿です。また、ペナペナ竿なので魚がかかった後のやり取りも楽しい竿。

魚の姿は見えませんが、堰堤の下の深みには魚がいるだろうと、そこへウェットフライを投入。リードフライにSaltoun、セカンドドロッパーにRamsbottom's Favourite、トップドロッパーにDunkeldというトリオ。

落ち込みの水に飲み込まれて毛針が水底へ運ばれたのか、ラインが張りを保ちながら流れていきます。すると、微かにラインが止まる感じが竿を握る手に感じられ、軽く合わせると竿先がグッと下に曲がります。柔らかい竿先を大きく曲げながら魚は逃げ回り少々手こずりましたが、落ち着いて愛用のテレスコピックタモに数度の試行で確保したのは虹鱒ではなくて30cmの山女魚でした。大水で川底がすっかり攫われてしまったのか、痩せています。魚が咥えたのはリードフライのSaltoun。今年はこの毛針に何度も助けられました。

その後、堰堤で粘りましたが当たりはこれだけ。魚の姿も全く見えず、下流側に他の釣り人も来ましたが釣れている感じもなく、台風前とはすっかり変わってしまった会津大川でありました。
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Blue Red Hackle

2019-11-04 12:03:42 | ハックル/Hackles

前回話題にしましたDr. Baigent。博士はドライフライのハックル作りに情熱を傾け、素晴らしい色合いのハックルの数々を作り上げました。ハックルの専門書、"The Book of the Hackle"でElder氏はDr. Baigentの娘さんのMrs. Lodgeが保管していた博士のハックルを見せてもらった際の事を著書に書き記しておりますが、素晴らしい色合いのハックルが揃う中、特にRusty Blueは素晴らしいとしております。
そのDr. Baigent。彼が特に好んだハックルの色はBlue Redというものだったそうです。

私が以前英国から入手した古いハックルの数々の中に、上の封筒に入った16枚のハックルがあります。1952年の消印が押された封筒の中に入っているのは

これらのハックル。普通Redというのはどちらかと言えば黄色の色素がベースで明るい感じがありますが、これは黄色を感じさせないBlood Red(血の色)な色。Lunn's Particularに使われるRhode Island RedもBlood Red的な色ですが、このハックルの場合、ハックルのバーブ(ファイバー)が白い背景ではDark Blueに見えます。

上の16枚中、5枚を並べた近影です。昔のOld English Game Cockのハックルとは違い、形は現代的に槍型をしており、ドライフライのハックル用に改良を重ねた鶏のハックルかも知れません。

暗い背景では赤が発色の中心。しかし透明感に溢れます。

白い背景では赤味を余り感じる事なく、ダーク・ブルーからブラックを感じます。

暗い背景では赤味が自己主張を始めます。

そんなハックルを違う角度から見て見ます。まずは正面から。

ちょっと左側に傾けます。左側は赤味が強く出ておりますが、右側はブルー・ブラック。

更に左側に傾けると左の赤に対し右のブルー・ブラックがより対照的に見えてきます。

錦織則政氏の「ザ・ヒストリー・オブ・トラウトフライズ 鱒毛針の思想史」の220ページにハックルの色が赤色光と青色光を中和してハックルそのものの視認性を弱め毛針を偽物と見破られにくくするという件があるのですが、Dr. BaigentがBlue Redを特に好んだのはその事を知っていたからなのでしょうか。
Redという色のハックルの特徴として、WhiteやBlackとは違い、ハックルのバーブが硬く水面に高く浮くという点があげられます。その様な機能に優れたハックルが、ダン系のハックルの様に存在感を消してくれるなら鬼に金棒なのかも知れません。
これからの長いシーズンオフ。これらのハックルで来シーズン用の毛針を巻きためていくのも良いかも知れません。
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