欧州滞在中は、釣りだけではなく読書も楽しみました。本の中に書かれている釣りの高揚感、技術の解説、エピソード、推奨される道具、毛鉤、等等、想像を掻き立てられます。何時か自分がそんな釣りをする事をイメージして、釣具に散財してしまう事も、度々です。
英国への数え切れない出張時、Pall MallのFarlow's、Hardyへは時間の許す限り立ち寄りました。その際購入した本の一冊がHugh Falkus著の''Sea Trout Fishing''です。
Hugh Falkusはもう亡くなってしまいましたが、戦時中はスピットファイア戦闘機乗りとしてバトルオブブリテンを戦い、捕虜としてドイツの収容所で過ごし、戦後はナチュラリスト・ジャーナリストとして活躍した方の様です。シートラウト釣り、鮭釣りを熱心に楽しむ一方、スコットランドで行われていたスペイカースティングを英国で広め、Hugh Falkus Spey Casting School等も行っておられました。
さて、今回のテーマ、''Sea Trout Fishing''ですが、それまで余り知られなかったシートラウトの生態と、その釣り方を詳細し、「イングランドの他の誰よりもシートラウトの毛鉤釣りを広める事に貢献した(Hugh Falkus has done more than any man in England to make fly fishing for sea trout a popular sport」とタイムス紙に言わしめた作品です。初版は1962年。余談ですが、この時代背景より、釣り道具の解説では60年代初めまでのハーディー、シャープの竹竿が出てきます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、本を開いてみましょう。
Hardy Houghton 10'6''と、Sharpe's Sea Trout Special 10'2''を後景にした著者。
目次。
彼はまず、シートラウトとはどのような魚か?という問題から始めます。シートラウトはブラウントラウトに似ているが海に下る魚です。また、鮭とは尾びれの形状、頭、口吻の形状が違い、かつ、生態も違う事を説明し、一方、ブラウントラウトとは遺伝上の違いが実は殆ど無く、同一の魚である事を明らかにして行きます。
シートラウトは非常に警戒心の強い魚で、川では中々釣り上げることが難しい魚を釣師は苦い記憶で良く知っていると続け、シートラウトを釣るのは夜釣りが一番と結論付けます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
魚を釣るのに一番大事なものは何か?竿?リール?スペイライン?否、それは魚が食いつく毛鉤(Lure)です。そこを、竿とリールに走る読者に、五寸釘を刺しつつ、では一体どんな毛鉤が良いのかと論考を進めていきます。
毛鉤の数々。左ページの巨大毛鉤は論理的な餌の大きさを追求した結果。
シートラウトがその一生で食べてきた餌は何だろう?そう、まずは小魚。ではその小魚をどうやって表現するのか。。。彼がまず紹介するのは''Medicine''。Falkusによれば万能毛鉤というそれは、2、4、6という大きな針のシャフトに銀色のペイントを施し、青に染めたハックルを施し、マラードフェザーのウィングを付けただけのシンプルなもの。
私が巻いたMedicine。ボディーはペイントの代わりにシルバーティンセル。
この本の影響もあり、衝動買いしたHardy Houghton(でも、10'6''ではなく9'6''、トホホ)。
~続く~
英国への数え切れない出張時、Pall MallのFarlow's、Hardyへは時間の許す限り立ち寄りました。その際購入した本の一冊がHugh Falkus著の''Sea Trout Fishing''です。
Hugh Falkusはもう亡くなってしまいましたが、戦時中はスピットファイア戦闘機乗りとしてバトルオブブリテンを戦い、捕虜としてドイツの収容所で過ごし、戦後はナチュラリスト・ジャーナリストとして活躍した方の様です。シートラウト釣り、鮭釣りを熱心に楽しむ一方、スコットランドで行われていたスペイカースティングを英国で広め、Hugh Falkus Spey Casting School等も行っておられました。
さて、今回のテーマ、''Sea Trout Fishing''ですが、それまで余り知られなかったシートラウトの生態と、その釣り方を詳細し、「イングランドの他の誰よりもシートラウトの毛鉤釣りを広める事に貢献した(Hugh Falkus has done more than any man in England to make fly fishing for sea trout a popular sport」とタイムス紙に言わしめた作品です。初版は1962年。余談ですが、この時代背景より、釣り道具の解説では60年代初めまでのハーディー、シャープの竹竿が出てきます。
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さて、本を開いてみましょう。
Hardy Houghton 10'6''と、Sharpe's Sea Trout Special 10'2''を後景にした著者。
目次。
彼はまず、シートラウトとはどのような魚か?という問題から始めます。シートラウトはブラウントラウトに似ているが海に下る魚です。また、鮭とは尾びれの形状、頭、口吻の形状が違い、かつ、生態も違う事を説明し、一方、ブラウントラウトとは遺伝上の違いが実は殆ど無く、同一の魚である事を明らかにして行きます。
シートラウトは非常に警戒心の強い魚で、川では中々釣り上げることが難しい魚を釣師は苦い記憶で良く知っていると続け、シートラウトを釣るのは夜釣りが一番と結論付けます。
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魚を釣るのに一番大事なものは何か?竿?リール?スペイライン?否、それは魚が食いつく毛鉤(Lure)です。そこを、竿とリールに走る読者に、五寸釘を刺しつつ、では一体どんな毛鉤が良いのかと論考を進めていきます。
毛鉤の数々。左ページの巨大毛鉤は論理的な餌の大きさを追求した結果。
シートラウトがその一生で食べてきた餌は何だろう?そう、まずは小魚。ではその小魚をどうやって表現するのか。。。彼がまず紹介するのは''Medicine''。Falkusによれば万能毛鉤というそれは、2、4、6という大きな針のシャフトに銀色のペイントを施し、青に染めたハックルを施し、マラードフェザーのウィングを付けただけのシンプルなもの。
私が巻いたMedicine。ボディーはペイントの代わりにシルバーティンセル。
この本の影響もあり、衝動買いしたHardy Houghton(でも、10'6''ではなく9'6''、トホホ)。
~続く~