思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Pezon et Michel Super Parabolic 76 (ペゾン・エ・ミシェル スーパー・パラボリック76)

2017-10-23 21:07:12 | Fishing Tackles

Pezon et Michel(ペゾン・エ・ミシェル)はフランスの名門メーカー。同社のデザイナーとして迎えられたホテルの名門リッツの二代目御曹司Charles Ritz (シャルル・リッツ)が世に問うたパラボリックと名付けられたフルアクションの竹竿により欧州のみならず米国そして日本にまでその名を知られております。

これは先週10月19日のパリはVendome(ヴァンドーム)広場。向かって左側がホテル・リッツ。

ホテル・リッツの玄関口。この建物にシャルル・リッツは住んでおりました。また、シャネルの創設者であるココ・シャネルもホテル・リッツに住んでおりました。

そのペゾン・エ・ミシェル社が投入したリールの中で一番最近、1990年代まで投入されたフライ・リールが英国ハーディー社がOEM生産したSuper Parabolicリールです。このリールは、ハーディーのMarquis(マーキス)をベースに、多少改良されたもの。下がSuper Parabolic、上がハーディー・マーキス。

リールのスプール正面はマーキスとほぼ同一です。

しかし、裏面になると、マーキスとは全く違う形になります。背面の肉を抜き、軽量化を計っており、また、インスクリプションはPezon et Michel Superparabolic 76 made in Englandと刻印されております。76は76ミリ、つまり、3インチという意味。

またフレームは、マーキスがフルにフレームを持つ耐久性重視型なのに対し、ペゾン・エ・ミシェルの方はラインガードがついた部分のみにフレームを遺した軽量化最優先思想です。

この通り。

また、この通りです。

偶々、今から約30年前に西ベルリンで購入したハーディー・マーキス#5リールが同じ3インチなので並べてみます。

ハーディーの方は肉がそのまま残りまた、プラスチック部品を使ったデザイン。

ペゾン・エ・ミシェルのスプールは肉抜きがされておりますが、ハーディーの方はそのまま。

ペソン・エ・ミシェルのハンドルは縦に溝が入れてあります。また、スプールのリムにも細かい凹凸が入れられ滑り難いような加工が施されております。

それに対し、ハーディーの方はそうした滑り難さ指向の加工はなくハンドルもスプールリムもすべすべ。

ハーディーのスプールはそのままペゾン・エ・ミシェルのリールに収まります。その逆もしかりです。

ところが、ここからが悲しいところですが、Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10''竿のグリップにハーディーの方はキチンと取り付けることが出来るのですが、ペゾン・エ・ミシェルの方は、

先端の僅かな部分のみしか入らず、

実釣で使うのはまず無理。当方所有の竿ですと、欧州仕様グリップのFario Club 8'5''か、オールコルクグリップのSt. Louis (サン・ルイ)8'1''に合わせるしかありません。飛行機釣行を強いられる今の身の上ですと、Fario Clubは仕舞寸法が長過ぎてなかなか持ち出せません。また、St. Louisは今日本に遺したまま。宝の持ち腐れ状況から抜けられそうにありません。まあ、別に段巻きのない近代ハーディー竹竿に合わせて使っても良いのですが、どうもハーディー竹竿にハーディー以外のリールを合わせるのは憚られます。ハーディー製なんだからOKだろうと言われればそれまでのような気も致しますものの。。。。
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Mur川釣行(2017年9月15日〜17日)

2017-10-08 15:46:47 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

会津大川釣行の一つ前の釣行で、オーストリアはシュタイヤーマルク州のMur川へまた出かけて来ました。
今年のMurau(ムーラウ)は天候不順で、9月15日〜17日の釣行期間中も天候に恵まれない悪条件下の釣りを強いられました。

9月15日の午後Mur川に到着、午後の釣りがOKになる15時に川に降ります。最初に向かったのはBodendorf釣区最上流のWandritsch橋より数百メートル下流にある瀬を釣ることの出来る中州。そこでドライフライを使ってグレイリングの釣りをするのが目的。そのため、1953年製のHardy Palakona Marvel (ハーディー・パラコナ・マーベル) 7'6''にKaizerシルクラインの1番(AFTM3〜4番)、それを収納するSt. George Juniorリールを組み合わせます。というか、これは目的と手段が倒錯していて、1953年製のMarvelを使いたかったからグレイリングのドライフライ釣りにしたというのが正確な表現。

道具の準備は終了。これから釣行です。

さて、目的地の中州へ行き、昨年尺以上のグレイリングを数釣りした現場の瀬にオールド・イングリッシュ・ゲームコックのハニー・ダンのハックル、スターリングのウィング、ゴッサマーシルクのオレンジ色のボディを持つ0番(15番)のドライフライを浮かべます。
昨年の釣行以降気がついたのですが、Mur川のグレイリングはこの鈎が大のお気に入りのようで、水深のある川の真ん中にこの鈎を浮かべるとゆっくりと底からグレイリングが泳ぎ上がって食いつくのがよく見えますし、瀬の釣りでは数メートル流れるとバシャと鈎をひったくります。
今回も、第二投目で、瀬に高く乗り流れて行くこの毛針をグレイリングが捉えます。間髪入れずに合わせると、華奢なマーベル 7'6''が胴から曲がって魚にプレッシャーを与え、それを嫌って魚はジャンプ。Mur川のグレイリングはその殆どがジャンプをするので、掛けた後のやり取りはスリリング。それでもこの華奢なマーベルは不思議と大きな魚の引きをいなす竿で、数分の戦いの後で、34cmのグレイリングはタモに導かれます。この日は他にもう一匹のグレイリングをドライフライで掛けた後が続かず、残念ですがそれで終了しました。
1953年製のマーベルは1930年代、1960年代のものと違い、胴調子のみでなく、竿先も曲げることが出来る竿。軽快な山岳渓流のドライフライ釣りにも向きそうな、二段構えの調子です。養沢を開設したブレイクモア氏の愛竿も1950年代のマーベルだったと見受けますが、養沢で軽快な釣りをするのにもピッタリだったことでしょう。

翌9月16日は曇り時々小雨。今回借りたFiat 500でも8フィート二本継用のロッドケースは十分収まります。チュニスでも一つ前のモデルのFiat 500を運転しているので、全く違和感はありません。因に、欧州やアフリカではマニュアルが圧倒的多数ですので、オートマしか運転出来ないと、レンタカーを借りるのに難儀します。レンタカーで欧州での運転を考える方はマニュアル練習が必須と言えるでしょう。

小雨模様の天気ですので、ウェットフライでの釣りにします。そこで、今シーズン連続登板のSawyer Nymph 8'10''に3Xリーダー、そしてSilver March Brownを結び前日と一緒に中州から流します。時間は10時30分頃。数投でコツコツとアタリを感じ合わせればグレイリングの抵抗が竿先を曲げます。大きさは尺上程度ですので然程の苦労なしにタモに納められました。

その後場所を少し下流に移し毛針をダウンクロスに投げればまたコツコツとアタリ。このアタリを合わせるプロセスは既に無意識の物になっているので、説明が難しいのですが、アタリを感じたら反射的に手が動くようになっております。で、上の写真の魚も余り苦労せずタモに収まりました。

中瀬の右岸は水の流れが極めてユックリな細い流れがあり、そこを戯れにアップストリームに流していたらアタリ。合わせるとブラウントラウトのちびっ子がかかりました。ブラウントラウトはグレイリングや虹鱒と違い流れが緩やかな場所に留まっている傾向が高いですが、将にその通りでした。

ブラウントラウトのチビ。

悪条件のせいか、その後が続かず、上流の橋の方に移り釣りを試みますが、漸くグレイリングが出ただけでその日の釣りは終了。

最終日の9月17日は朝から雨。小雨ならまだしも、時折雹まで振ってくる最悪の状況。中州は増水で渡るのが危険なため上流の橋の近くでの釣りに限定です。

こうなると岸の近くの流れが比較的緩いところを狙うしかないのですが、Connemara Blackを岸近くの大岩の近くに流したところ、虹鱒がヒットし、増水した強い流れに泳ぎ込み激しいジャンプを繰り返します。足下が非常に悪いので慎重にやり取りしますが、最後はテレスコピックタモのお陰で鱒を取り込むことに成功。33cmの比較的小型の鱒でした。それでもパワー溢れるファイトに感謝です。

鱒を釣ったらものすごい大雨になってきて、BarbourのLongshoremanジャケットの首筋のフードに水がたまり首を曲げた拍子に首筋に水が入ってしまい、もう潮時と釣りを切り上げ引き上げました。
2017年のシーズンは、特にMurauの天候不順のため、余り良い思いをすることが出来ず、残念でしたが、流石にもうこれで終わりですね。

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会津大川釣行(2017年10月3日)

2017-10-03 12:42:21 | 釣行記/Fishing Trips

行ってきました。会津大川へ。
現在休暇一時帰国で東京滞在中ですが、家内からお許しを頂き会津大川へ行く事にしました。
都心を05:32出発し、北千住発06:42のリバティ会津号(?)に搭乗。

都心から栃木にかけては曇り気味でしたが、野岩鉄道に入った頃には晴天が広がって来ました。

昔は06:30北千住発の普通列車だったのが、特急のような快適な車両になりました。全席指定です。

09:45に会津田島に到着。歩いて10分弱のこめや釣具店で日釣り券1,500円を購入。そこから真っすぐ丹藤橋へ向かいます。10時過ぎには釣り場に到着し、Sawyer Nymph 8'10''にPerfect 3 3/8、DT5F、3Xリーダー、そしてウェットフライのRamsbottom's Favouriteを結びます。ドロッパーは取りあえず無し。
そして、橋より下流に広がる広い瀬に向かいます。今日はここでウェットフライを試そうという魂胆。

水量が少ない、余り良い状況ではありませんが、まず最下流から始めて、多少水深と水流のある場所まで遡上し、葦の密生する川岸ギリギリに毛針を流せるように斜め上流に毛針を投げます。

毛針が真横を過ぎ、ドラッグがかかり始めたところで、コツコツとアタリ。そこで手を返して合わせるといきなり竿先がもって行かれます。兎に角余ったラインを大急ぎでリールに巻き込み鱒と対峙する体勢を整えます。ラインを巻き取りPerfectリールのドラムを手で抑えてプレッシャーをかけると、それを嫌う鱒はギュイーンとラインを引き出し大遁走。ジャンプはしないまでも、尾びれを水面に出しバッタンバッタンと抵抗します。鱒の頭を水面に出せば弱ると思うのですが、頭を出すところまでは至らず、力比べは続きます。それでもSawyer Nymphと3Xリーダー、それに10番の鈎という頼もしい組み合わせですので、慌てることはありません。鱒は遁走を繰り返しますが、段々と疲れが出て来て、遂に頭を水面に出しました。ここまでくれば後はもう少し。魚は遂に抵抗を諦め岸に寄せられました。それを何とかテレスコピックタモに入れゲームセットです。それにしてもPerfectリールはその構造上、回転するドラムを直接手で抑え追加のドラグを自在にかけられる優れたリール。大物鱒とのやり取りではその力を発揮します。
虹鱒は57cmで、口にはRamsbottom's Favouriteがしっかりとかかっておりました。

ホテルの部屋の照明で暗いのですが、今日鱒の口を捉えた毛針。結構散けてますが、マラードの下から赤、青、黄色のフェザーが覗いており、良い感じです。

下手な写真を撮って、出来るだけ早く回復出来るように水に戻し、鰓に水を通してあげると、暫くして川の真ん中に泳いで戻って行きました。

釣りを始めたのが10時半ちょっと過ぎ。鱒を釣ったのが11時過ぎ。その後は全然アタリが無く、川を遡上して行きます。
橋の一寸上流のところでチビ虹鱒を2匹釣りましたが、15:43発の電車で帰りたいので、14時過ぎには釣りを終了。まあ、大きな鱒をしょっぱなで釣ったのでもういいやという感です。電車釣行の何時ものスタイル、バックパックに竿袋。

実は楽しみにしていた釣行後のチャーシューラーメン。駅ビルの中のヴォーノさんで頂きます。イスラム教国では食べられない豚肉の滋味が口に広がり幸せを噛み締めます。

会津田島駅のマスコットでしょうか。赤ベコも健在です。

15:43発の下今市行きに乗り、下今市で17:32発のスペーシアに乗り換え。19時過ぎに浅草到着、更に地下鉄に載って20時近くに漸くホテルに到着しました。往復だけで8時間超の会津大川釣行。いやはや疲れましたが、良い思い出がまた出来ました。
因に、Sawyer Nymph竿ですが、今年のノルマンディー釣行2回、オーストリア釣行3回を経て、今回の会津大川釣行で、新品の固さが大分取れてきて、段々と特徴的なアクションが出て来たように感じました。竹竿は釣行を重ねることで調子が馴染むというか、角が取れるというか、良い相棒になったなという印象です。
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