Pezon et Michel(ペゾン・エ・ミシェル)はフランスの名門メーカー。同社のデザイナーとして迎えられたホテルの名門リッツの二代目御曹司Charles Ritz (シャルル・リッツ)が世に問うたパラボリックと名付けられたフルアクションの竹竿により欧州のみならず米国そして日本にまでその名を知られております。
これは先週10月19日のパリはVendome(ヴァンドーム)広場。向かって左側がホテル・リッツ。
ホテル・リッツの玄関口。この建物にシャルル・リッツは住んでおりました。また、シャネルの創設者であるココ・シャネルもホテル・リッツに住んでおりました。
そのペゾン・エ・ミシェル社が投入したリールの中で一番最近、1990年代まで投入されたフライ・リールが英国ハーディー社がOEM生産したSuper Parabolicリールです。このリールは、ハーディーのMarquis(マーキス)をベースに、多少改良されたもの。下がSuper Parabolic、上がハーディー・マーキス。
リールのスプール正面はマーキスとほぼ同一です。
しかし、裏面になると、マーキスとは全く違う形になります。背面の肉を抜き、軽量化を計っており、また、インスクリプションはPezon et Michel Superparabolic 76 made in Englandと刻印されております。76は76ミリ、つまり、3インチという意味。
またフレームは、マーキスがフルにフレームを持つ耐久性重視型なのに対し、ペゾン・エ・ミシェルの方はラインガードがついた部分のみにフレームを遺した軽量化最優先思想です。
この通り。
また、この通りです。
偶々、今から約30年前に西ベルリンで購入したハーディー・マーキス#5リールが同じ3インチなので並べてみます。
ハーディーの方は肉がそのまま残りまた、プラスチック部品を使ったデザイン。
ペゾン・エ・ミシェルのスプールは肉抜きがされておりますが、ハーディーの方はそのまま。
ペソン・エ・ミシェルのハンドルは縦に溝が入れてあります。また、スプールのリムにも細かい凹凸が入れられ滑り難いような加工が施されております。
それに対し、ハーディーの方はそうした滑り難さ指向の加工はなくハンドルもスプールリムもすべすべ。
ハーディーのスプールはそのままペゾン・エ・ミシェルのリールに収まります。その逆もしかりです。
ところが、ここからが悲しいところですが、Pezon et Michel Sawyer Nymph 8'10''竿のグリップにハーディーの方はキチンと取り付けることが出来るのですが、ペゾン・エ・ミシェルの方は、
先端の僅かな部分のみしか入らず、
実釣で使うのはまず無理。当方所有の竿ですと、欧州仕様グリップのFario Club 8'5''か、オールコルクグリップのSt. Louis (サン・ルイ)8'1''に合わせるしかありません。飛行機釣行を強いられる今の身の上ですと、Fario Clubは仕舞寸法が長過ぎてなかなか持ち出せません。また、St. Louisは今日本に遺したまま。宝の持ち腐れ状況から抜けられそうにありません。まあ、別に段巻きのない近代ハーディー竹竿に合わせて使っても良いのですが、どうもハーディー竹竿にハーディー以外のリールを合わせるのは憚られます。ハーディー製なんだからOKだろうと言われればそれまでのような気も致しますものの。。。。