思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

帰国しました。そして、アフリカ最終釣行の顛末。

2024-04-14 16:21:29 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

昨日、二年間のモロッコ駐在より帰国致しました。
今回の駐在中、北アフリカの自然生息範囲南限のブラウントラウトを釣るために試行錯誤を繰り返し何度もモロッコ山中の田舎を探検致しましたが、最後の方は北部モロッコのAkchourを流れるTalambote川に狙いを絞り日帰り釣行を行ってきました。

その集大成として、4月6日(土)最後の釣行に出かけましたが、生憎その前の週末にモロッコを襲った激しい嵐と雨の影響が残り、大幅増水。上のダムの写真は4月6日のものですが、3月23日撮影の下のダムの写真と比べると水の量が明らかに多いのがお分かりになると思います。

このような状況下、何時もの場所に行くとそこは木々に流されたゴミが目の高さまで引っかかっており、増水の激しさを物語っておりました。

水中には魚の姿は全く見えず、絶望感しかない状況でしたが、12時から17時までキッチリ手を替え品を替え釣りを試み、アタリのアの字も無くモロッコ、アフリカ大陸での渓流釣りの幕を下ろすこととなりました。

最後の最後に喜びを味わうこともなくこれから長い道のりをカサブランカへ向かう帰路。

Akchourを出たところでレンタカーのKIA CEE'Dを止め、周りに聳え立つ奇岩を見物。このKIAは韓国車で東欧はスロバキアで生産されている車。Central Eastern Europe (中東欧)を略したCEEをそのまま名前に付けたこの車が生産開始したのは私が未だハンガリー駐在中のことでしたが、欧州製の車ですので、モロッコには無税で輸入出来ます。一方、日本製の車は17.5%の輸入関税がかけられるため、価格的に欧州車、欧州製韓国車には太刀打ち出来ません。
価格もそうですが、20年前の韓国車とは品質・乗り心地も圧倒的に進化しており、日本車と比べ全く遜色無いどころか、デザイン的には韓国車の方が評判が良いというところもありレンタカーでは地元のルノー子会社のダチアの車か韓国車か?という感じです。

韓国車の評論をするのが目的のブログでは無いので話を戻しますと、この奇岩、アフリカ大陸が欧州にぶつかっていくことによるアトラス山脈の造山活動により出来たものでしょうが、日本では見るこことの出来ない風景です。

これが見納めと思うと、寂しさが胸を吹き抜けますが、なんでも揃った日本での釣り生活の再開を思うと前向きになれた4月6日の夕刻でした。

Talambote川釣行(2024年3月23日)

2024-03-24 20:25:34 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

3月23日の土曜日、今シーズン初のモロッコはTalambote(タランボート)川釣行へ行ってきました。

朝07:00発のモロッコ版新幹線Al Boraqに乗るためカサブランカの始発駅Casa Voyageursへ向かいます。
実は3月12日(火)よりモロッコはラマダン月に入りました。そのため日中は皆飲食・喫煙が禁止されますが、日が沈むと日中の我慢を倍返しする勢いで家族・友人と楽しいお食事会が始まります。それが夜中中続くので、完全に昼夜逆転の生活。日中は仕事を含め何事も捗りません。
それで、朝タクシーを捕まえようとしても中々捕まらず焦りましたが、何とか相乗りでゲット。先客を下ろすため、一旦カサブランカ漁港に立ち寄り、そこから駅に無かったので通常より時間はかかりましたが出発までの時間内で駅に到着。

通常月ならばAl Boraqの一等車乗客はラウンジを使えるのですが、日が上がった後飲食が出来ないためか、ラウンジは空いておらず空いていたベンチで暫し時を過ごします。これは今回釣行に持参した一切合切を詰めたバックパック。1997年より使用しているもので普段もモロッコでの買い物で重量物を背負う時やジムに行くときの運動用具入れとして日々使っているもの。

出発時刻に近づいてきたので電車に乗り込みます。この電車はフランスのAlstom社製のTGV車両。今年はモロッコ新幹線開業から丁度5年ということだそうですが、カサブランカとタンジェ(Tanger)間約340kmを2時間10分で結ぶのは本当に便利。

09:00の列車の位置。アラビア文字で書かれているのがタンジェ。残り10分でタンジェまで走破です。タンジェの北はジブラルタル海峡。スペインのカディスやセビリア地図上に見えております。

何時もの通り、タンジェ駅から川のあるAkchourまでの約120kmを2時間半かけてレンタカーで移動。今回使ったのは最近何時も出てくルノー子会社のDaciaの車。
ラマダンのため、一般モロッコ人の観光客がまず居ない一大観光地Akchourに到着、川岸へ早速移動し竿を継ぎます。今回持参したのはHardyのThe Traveller's Combined Fly and Spinning Rod (詳細は2023年1月14日の記事参照)。それにSt. George 3"とDT6のシルクランを合わせます。

何時ものところに行ったのですが、前回・前々回と違い水量が多く川に降り立つことは不可能。でも、写真の水面の右奥の方には水面近くまで尺には届かない大きさに見える鱒が水面直下で何かを食べているのが見えます。
ライズはしていないので色々とウェットフライを取っ替え引っ替え試しましたが、下流からの何時もの強風にも煽られ背後の木にも阻まれ中々魚のところに毛鉤を流すのが難しくその内魚も見えなくなりました。

その後はラマダンで観光客が少なくなったのを幸いに更に上流に移動します。

この写真では写ってませんが、この写真の右側に当たるところにダムの放水路があり、その急流を跨ぐようにブラックボディにシルバーワイヤーを巻きつけ、ブラックハックル・テイルを纏っただけのWilliam's Favouriteを流すと手応え。無意識にすかさず合わせれば生息域南限のアフリカネイティブのブラウントラウトが抵抗します。
肩から掛けた釣りバックの網の部分に米国製のステンレスの網枠が捻れてコンパクトに収まるタモを入れていたのですが、鱒がかかったところでタモの柄を引っ張ったところ皮製の収納部分が川に飛んで行き流され、タモに収まった鱒も目の近くから出血しており、撮影することなくリリース。
大きさを測っていないのですが、鱒は日本でのレギュラーサイズの24・25cmくらいの大きさに感じました。

皮の入れ物が無くなったタモ。どうしましょう。。。

その後、地元のお兄さん達が入れ替わり立ち替わり後ろからやってきて声を掛けられましたが、その中の一人がこの川で釣ったブラウントラウトの写真をスマホで見せてくれました。ダムの上流・下流でスピニングをしている様ですが鱒が10匹くらい釣り上げられ並べられている映像を見せながら、「オレたち許可なしで釣っているよ」と言ってます。このTalambote川は2024年・2025年のレギュレーションではNo Kill、つまりキャッチ・アンド・リリースのみ許可された川になったのですが、地元の人達には全く関係がないのでしょう。。。
その彼らに「お前は許可持っているのか?」と聞かれたので「je suis autorisé」というと大いに感心しておりました。

夕刻になるとそうした地元のアウトローな人達が川縁の灌木を切って火をかけ、スピニングで釣りを始めます。写真の彼が釣り人ですが、その場所に陣取りながら2m弱下の水面でその前に私が1時間以上鱒を狙っていたのでした。William's Favouriteを流していたら川底に結構な型の鱒が見えて更にその鱒が毛鉤を追ってきたので粘ったのですが、その後Dunkeldを流しピックアップする時にライズして、と、かなり熱くさせられました。
が、竿を振っていると違和感。

良く見るとグリップから見て2番目と3番目の竹のピースを繋ぐフェルールが3番目の竹から外れてしまっておりました。そこでフェルールを外そうとしましたが、今度はそれが取れず、結局写真の様にフェルールが抜けないまま竹のピースからフェルールを外し撤退したのでした。
このコンパクトな竹竿は結構重宝するのですが、日本に帰ったら修理に出さなければなりません。。。

Talambote川釣行(2023年10月14日)

2023-10-15 09:10:00 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

諸般の事情がありモロッコで今シーズン最後の釣行に行ってまいりました。

10月は出張があり週末を二日間過ごせるところが14日と15日の週末のみとなってしまい、モロッコの鱒釣りシーズン10月一杯を考えると10月14日に釣りに行かないと今シーズンが終わりになってしまいます。最近疲れているのでこのままシーズンを終わらせようかとも思ったのですが、10月13日思い直して電車の切符を購入し、レンタカーを予約、払い込みをして怠けの虫の退路を断ちました。
朝07:00カサブランカ発のTGV Al Boraq号で出発です。

目指すのは前回初のアフリカ大陸ネイティブのブラウントラウトを釣り上げたモロッコ北部のTalambote川。ここは日本でも知られた観光地シャウエン(シェフシャウエン)の近くの山の中。上は08:38の位置ですが、カサブランカからモロッコ最北部のタンジェに向かっている途中です。

タンジェ駅到着後Hertzのレンタカーステーションに行ったのですが、私が予約した車が無く、タンジェ空港から持ってくるとのこと。おかげでレンタカーで出発するだけでほぼ1時間かかってしまいました。グダグダ話をしているとロシア語が聞こえたので久しぶりにロシア語で尋ねると、在米のロシア人とその友達のモスクワに留学した経験のあるモロッコ人の二人組とのこと。言葉はスポーツと同じで素振りをしていないと打てなくなるのと一緒。ロシア語を話そうとしてもモロッコで使い慣れたフランス語が出てきて邪魔をします。日本語の「でも/しかし」に相当するロシア語でHO(ノ)というところを仏語のmais(メ)と言ったり、相手の言っていることは分かってもアクティブにしゃべるのはかなり退化してしまっておりました。

漸くDaciaのLoganをゲットして釣り場に向かって出発。10:30にタンジェを出て飛ばしに飛ばして12:50頃釣り場の駐車場に到着です。

観光地のど真ん中を釣り場に向け歩いて行きます。

釣り場は石の橋の下流の淵一箇所。そこで17:00まで釣りをすることにしました。

今回持参したのはHardy Palakona The Traveller's Combined Fly and Spinning Rod。2フィートの竹のピース四つに10インチのハンドルで8'10''のフライロッドを組み、そこにSt. George 3"、AFTM 5のフライラインを合わせます。何故この竿にしたかというと、状況次第でスピニングもやってみようという魂胆からです。昨年の様に川の水が多くてフライでは太刀打ち出来ない場合はスピニングで何とか釣りをしようと考えてのこと。但し、今日も水は少なくウェーダーを履かなくとも河原に降りることが出来る程でした。

Ramsbottom's Favourite、William's Favourite、Greenwell's Glory等ウェットフライでアップストリームに投げますがウンともスンとも言いません。老眼で毛鉤を替えるのも面倒なのにこれから枝素を付けて仕掛けを作り直すのは無理。そこで苦渋の策で金玉付きのニンフを結び、ラインが全く見えないので餌釣り用のヤーン目印をリーダーに付け糸がどこにあるのか把握出来るようにし上流にブチ込みます。すると、淵の深いところに投入した毛鉤が右側の流れに乗って深場から浅瀬に移動している時リーダーが不自然に動き、すかさずアワセると魚の感触!!

フライラインを手で手繰ってやり取りすると魚がジャンプを繰り返してくれますが、この竿にはちょっと役不足な大きさで、全く問題なくネットに収まり御用となりました。アフリカ大陸のネイティブであるブラウントラウト。殆ど朱点の無い黒点ばかりの鱒は測ると24cm。前回のチビっ子よりは大きな鱒でした。

魚を釣り上げだのは14:30だったのですが、そこ後は全くアタリも無く、老眼に鞭打って毛鉤を替えたり、ブラッドノットで鉤素を替えたりとあれこれ試しますが、魚の感触は途絶えてしまいました。16:00になったので持参のHardy Altex No.1 Mark IVを付け、8'10"の一番太いバットの竹ピースを抜き全体で6'10''に替えた竿でスピニングを試してみます。40年以上もスピニングをやっていなかったのでまずルアーがどこに飛んでいったのか全く見えずしかも昔と違い細いラインに老眼がついていけず全くダメ。釣りにはとてもならない状況です。

そんなことをしていると17:00でタイムアップ。これからタンジェまで120km程と二時間以上かけ帰らなければなりません。上流には未だ釣りが出来る場所があるのですが、観光客がすぐそばを行き来するところでそこで釣りをするのは到底無理な相談。残念ですが、Talambte川では唯一静かに釣りが出来るあの淵だけで我慢しましょう。

21:00タンジェ発、23:10カサブランカ着のTGVに乗りながら、片道400〜420kmの道のりを1日で往復し、釣果が24cmの鱒一匹とはどういうことだろうと思いましたが、カサブランカ在住で日帰りの毛鉤釣りをしようと思ったらこれ以外に方法がないのであるとの現実にいつしか意識は朦朧として行くのでした。
それにしてもアフリカ唯一の天然鱒は本当に大切にしたいものですね。

Talambote川釣行(2023年5月20日)

2023-05-21 17:17:51 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

昨日、三度目の正直のTalambote川日帰り釣行を敢行致しました。

Casa Voyageurs駅07:00出発のTGVで約300km離れたTangerにまず向かいます。これは移動中の位置情報のスクリーンショット。Tangerがスペインの対岸にあることが分かります。時刻は09:01。TGVはその10分後にはTanger駅に到着。

前の様にTanger駅の地下駐車場にあるHertzの営業所でレンタカーを借ります。今日はシトロエンの車。因みに欧州車はまず全てマニュアル。韓国車はオートマというのがレンタカーを借りる際の留意点。私は人生の殆どでマニュアル車運転をしてきましたので何の問題もありませんが、モロッコでレンタカーを借りる際は注意が必要です。

そして馴染みのAkchourに到着。ここは一大観光地。ゲートでオジサンに10ディルハム(約130円)支払い通過、空いている場所に駐車致します。

昨年10月に来た際は水が多く河原に立つことが出来なかったものが、今回は河原が剥き出し。昨年魚影を見たところも跡形なし。そこには焚き火の跡があったりと人も頻繁にやってくる様子。

それでも淵はあり今日はそこで粘ることに致します。Tangerを10:00に出て、到着は12:30。釣りの開始は13:00。竿はHardyのKenya 8'。
何時ものことですがこの日も強風が吹き、DT5Fではとてもしんどい状況。DT6Fを扱え強風でもラインコントロールが出来るKenyaはTalamboteでは適役だと思います。

ウェットフライ三本鉤から始め、根がかりで鉤を失いニンフに変更、それでも全く反応なく、ウェットフライの一本鉤に再度変更。Zulu、Greenwell's Glory、Black Spiderと色々試した挙句に、Ramsbottom's Favouriteで上流から流している時、無意識に体が反応、竿に魚の動きを感じました。ピチピチ跳ねる魚は薄い黄色をした魚。老眼で見えない目でよく見るとブラウントラウトです。

体長は15cm。パーマークを薄っすらと残した魚体には黒点と赤点が散らばり、正に自然生息範囲南限のアフリカ大陸唯一の固有の鱒。アフリカで初めて釣った魚です。
ここモロッコでも虹鱒の養殖と放流がされており、鱒を釣るならモロッコ中部のAmghassにある湖に行けば比較的簡単に大きな虹鱒が釣れるということは各種情報で知っておりますが、最初は何としてもアフリカ固有の鱒を釣りたかったのが本音。ここTalamboteは一大観光地で釣り人等おらず放流もされていないので、三回もチャレンジしたのでありました。

この魚を釣り上げたのは16:00直前。その直後のRamsbottom's Favourite。

17:00には釣りを終え、20:00までにはTangerでレンタカーを返さなければなりません。その後、21:00発のTGVでカサブランカには23:10分到着、そこからタクシーを捕まえる。。。と未だ未だ帰路は遠いです。道具を20数年使っているリュックに詰め込み帰り支度。

たった一匹チンピラ鱒を釣っただけの釣行ですが、観光客の後ろを歩きながら、漸く一仕事終えた満足感をおぼえた釣行となりました。
今朝は思いっきり寝坊して、起きがけにこれを書いております。。。それにしても体が痛い。。。

Oued Chorfa釣行(2023年5月6日)

2023-05-12 01:38:17 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

5月6日(土)、モロッコは北のOued Chorfaへの釣行を決行致しました。
4月30日(日)のTalambote川での敗戦から一週間弱で同じモロッコ北部の観光名所シャウエン(Chefchauen)の近場の山岳地帯にある別の川ですが、地図をチェックした限り川に車でアプローチ出来そうなため選んだもの。但し、主要国道から脇道に逸れることとかなりの山岳地帯であることが不安の種です。

上の地図ではモロッコ北端と言って良いTangerから南東に向かい進むと緑色の文字で書いてあるOued Chorfaが見えます。今回目指すのはそこ。Tangerから160kmの距離、時間は3時間30分程度の運転です。

早朝のTanger駅。

前の週に車を借りたばかりのHertzのレンタカー営業所で今回充てがわれたのはDaciaの車。ダチアはルーマニアの車メーカー。チャウシェスク独裁政権時代よりルノーの古いモデルのライセンス生産を行っており、共産政権崩壊後はルノーが買収し、主にルノーの廉価版の車を作っております。

この車を走らせ川を目指したのですが、国道N2号線はシャウエンあたりまでは未だ良いのですがそれを超えると断崖絶壁の脇を這う細い道路に変わり、舗装も悪くアフリカ運転歴もある程度ある流石の私でも運転中に胃が持ち上がるような恐怖を感じます。

そして3時間超の運転の果てに辿り着いたのがOued Chorfaが流れる渓谷の入り口。遥か下に渓流が流れているのが見えました。

ダチアで川に向かい砂利道を進んで行きますが、もうこれ以上行くのは無理というガタガタで細い場所に来てしまいました。車の向きを切り返しを繰り返し何とか逆向きに変え、他の車の邪魔にならない所まで戻り駐車、そこから渓谷を足で降ります。

渓谷を目指しガタガタの細道を下るとそこにはトヨタのピックアップが止まっているではありませんか。悪路走破性に優れた日本の技術が生んだ名車。アフリカのみならず世界の途上国で戦車の代わりにロケットランチャーや機関銃を荷台に積んで使われている理由が良く分かります。

こんな思いをしてカサブランカからほぼ往復1,000kmの場所に辿り着いた私を待っていたのは人懐こい地元の少年達。
私が釣りを始めた橋の近くを上流からやって来て、多分、これから釣り場に連れて行ってやるからついて来い、というようなことをモロッコ方言アラビア語で言っております。その言葉には田舎の人の強制力を伴った純粋な善意があり、外国人にこの川を楽しんでもらいたいという感が伝わります。

もうこの時点で私は釣りを諦めているのですが、この川で少年たちが狙っているのは最大でも15cm程度のハヤの仲間。それを穂先もない竹の棒の先端にビニールをつけ、そのビニールの弾力を穂先替りにしてか、ナイロン糸を結び、噛み潰しに鉤を付け、餌は粘土の様な練り餌。

その仕掛けで川の水深のあるところを狙っていき、アタリを感じたら合せるというやり方で狙っていますが、中々釣れません。
その内、石と灌木をかき分けかき分け下流に降って行き、私はヘロヘロでもうこれ以上は行かないのでサヨナラというと、鉤をくれとのオネダリ。2020年に佐渡で使ったゼンマイ胴の毛鉤を少年達其々一つずつ与え、サヨナラしました。

左端に映るKenyaが物悲しさをそれとはなく伝えておりますが、この外国人が全く来ないど田舎で触れるモロッコの人々との交流が北アフリカの山岳地帯の景色と一緒に記憶に残る旅にはなりました。
それにしても、モロッコで鱒に会えるのは何時になることやら。。。

Talambote川再挑戦(2023年4月30日)

2023-05-01 18:54:53 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

昨年10月に訪れたTalambote川に昨日再度日帰りで行ってきました。
昨年は最上流の駐車場から川を遡り、神の橋を見て折り返し駐車場近くの狭い場所で釣りを試みたのですが、その後地図を見ながらダムの下500mまでの釣り区間を調べてみると最上流の駐車場の一つ下流のキャンプ場駐車場に車を止め、そこから川を遡行出来ることに気づいたためです。
それならば昨年の数十メートルしかない狭い場所で釣りをするよりチャンスが多いのではないかと思った次第。

実は、4月29日にロンドン出張から夜帰国し自宅に着いたのは21:30過ぎ。翌朝07:00発のタンジェ行きの乗り込むには自宅を06:00には出て流しのタクシーを捕まえなければなりません。若くないオジサンの身には辛い強行軍。
ともあれ、運よくタクシーを拾え、Casa Voyageurs駅に06:30前には到着致しました。早朝の駅には未だ多くの人はおりません。

07:00発、09:10着のTGVで292km離れたタンジェに到着。昨年行ったHertzのレンタカー営業所に行き今日の車を借ります。車はKIA Picanto。海外では韓国車が広く普及しております。特に北アフリカでは輸入関税も関税ゼロの欧州車に比べ高いのに価格を抑えてシェアを取る戦略の様子。
そして120km離れたTalambote川に向かいます。

ウィンカーを出さず車線変更をする、急停止する、煽りまくる、といったモロッコ人の荒い運転に身を任せ工事中の区間も多い山岳道路を走ること2時間強、Talambote川のキャンプ場の駐車場に到着。キャンプ場は沢山の人で大混雑。想像を超えた連休のディズニーランド状況に心を暗雲が覆いますが、周りのモロッコ人の好奇の目に晒されつつ出来るだけ早く支度をし川に向かいます。
今日の相棒は先週同様竿はHardy Palakona Kenya 8'、リールはSt. George 3"、DT6のシルクライン。アフリカの赤茶けた大地で繋ぎます。

その川ですが、一見日本の渓流のようでいい感じ。渇水に水草で覆われ動きのないGuigou川で心を折られた後、この光景には嫌でも心をときめかせるものがあります。

フランスハックルを巻いたドライフライを付け、それらしいところに毛鉤を置いていきますが一向に反応がありません。川を見ても魚の気配は感じられません。そうこうしている内に川の両側には灌木が迫り出してきて川幅が狭まります。

乾燥地帯だからなのでしょうか、灌木は川の両側にびっしり生え、通り抜けられそうな場所は余りなく、無理に通ろうとすると身体中に絡みつき竿とラインも持って行かれ大変です。それで一旦川下に戻り岸に上がってから上流を目指す等遡行も大変。そうしていると結構な大場所に辿り着きました。
良さそうに見えますが、ちょっと水が濁りまたどこからか子供達の歓声が聞こえてきます。それでも何度か試しますが反応ゼロ。それで一旦諦め上流に行くと何と上流の淵で地元の子供達が何人も泳いで遊んでいるではありませんか。。。
今回も天に見放された絶望感を分かって頂けたらと思います。

どうも、モロッコには渓流が少ないからか、川辺がある所には人が集まるのですが、そうなると目立つのがこの光景。チュニジアでもそうでしたが、北アフリカの人達はゴミをその辺に放って平気な感じに見受けられます。他にも人糞と思われるものもあったり、汚いことに閉口致します。

全身汗まみれで下流に帰るとディズニーランド状態は更にエスカレート中。渓流にはアスレチックパークの様なものが設けられ、頭巾を被った女性達が大勢集まり子供を遊ばせております。

吊り橋を渡っていく子供達。女性はこの様にほぼ全員頭巾を被っております。

19:00タンジェ発のTGVの暖色のライトを見ながら反省するに、Talambote川は人の居ない去年釣りをした石橋の下の数十メートルしか釣りにならないとの結論を得ました。昨年はそこで一匹の魚を目撃しております。問題はその数十メートルを試すためにまた往復800km以上をかけて行くのかという点。
ロンドン出張の疲れが一気に出て朦朧とするTGVの中、リスクばかりでリターンが著しく少ないその博打をまたやるの?というその問題が更に意識を混濁させて行くのでありました。

ラマダン明けの釣行

2023-04-24 18:41:06 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

2023年は3月22日よりイスラム教国はラマダン入り致しました。「断食月」と言われる太陽が出ている間は飲食が禁じられる一ヶ月間。これが大半のイスラム教国では4月20日を最終日に明けましたが、モロッコでは4月20日に天候の関係で月の目視が出来なかったとのことで4月21日がラマダン最終日となりました。
4月22日から4月24日が三連休となることから、昨年果たせなかったモロッコでの鱒を釣り上げるため、Ifrane地方に二泊で行くことに致しました。
4月21日、ラマダンで時短就業時間であることを利用し、16時30分Casablanca Voyageurs(上の写真)発のFes行き列車に乗り込みます。

一等車を予約。往復で396ディルハム、5300円弱。これで片道3時間50分、258.2kmの旅。

さすがに4月21日夜はFes駅そばのHotel Ibisに一泊、翌日駅の隣のHertzでレンタカーを借り出発。

車はモデル名はわかりませんが、KIA。一番小さい車を予約したのに、当日割り当てられてのは椅子が三列もある車。昨年も通った道を走り、土漠を南下致します。

2時間運転して到着したのは昨年10月苦杯をなめたOued Guigou(ギグー川)。昨年車を止めたところはアプローチが閉鎖されていたためより上流に走り入れるところを見つけ駐車。HardyのKenya 8'を繋ぎます。

さて、その川は?昨年の様なコーヒー色ではないにしても濁りの入った水が水草で覆われた川に流れております。

この水草、梅花藻の様な水草でその意味では川の生態系は良いと思われ、水を観察すると沢山の5mm程度のヨコエビの様なものが泳いでおり、多数が流されて来ております。リバーキーパーが水草を刈り取り釣り場環境を整備する英国の川とは違い、水草は生え放題。毛鉤を置く場所は殆どなく、また水が少ないため水の動きも殆どなく、早くも敗退の気配が漂います。

そこで下流に歩き昨年トライした堰堤上の池で試してみました。

Kenyaでシルクラインを伸ばすこと数十回。しかしこれはキャスティング練習にしかなりません。水面も水面下も全く何の反応もなく、魚の姿を認めることも全く出来ません。

ここで私のKenyaに少し触れます。2021年5月23日の記事の通り、製造番号E87364、1953年製のPalakona竿です。

竿尻にはゴム製のボタンが付きます。これがアフリカのゴロゴロ岩が転がる様な所では竿を守る大事な装備。軽量化には反しますが竿の耐久性を考えると必要な装備と言えましょう。

竿のモデル名、The

Kenyaが50年代を特徴付ける書体で記銘されております。

この竿にはオスフェルールを守るプロテクターが付いております。Made by Hardy's Englandと銘が入っておりコストが掛かった製品。

このKenyaにSt. George 3"、DT6のシルクラインを組み合わせました。

下の池でキャスティング練習に飽きたら上流へ向かいます。ここは峡谷になっており上の山から転がってきた巨石が川に落ち込んでおります。

ここから岩が転がって来たと分かる地形。如何にも北アフリカの地に居るという威圧感があります。

何の反応もない時間を3時間過ごし、諦めて車を停めた場所に戻ると、地元のモロッコ人のオジサンがスピニングに浮きをつけた仕掛けで水草の間を狙っておりました。釣れたか聞きましたが、rien:全くダメとの回答。それもそうでしょう、そうでなければ私のこれまでの企てが惨めすぎます。。。
この先一体何が待っているのでしょうか。。。

Oued Guigou釣行(2022年10月15日)

2022-10-16 16:49:36 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

モロッコの鱒釣りが禁漁を迎える11月1日に向け残された最後の週末の10月15日、意を決して中アトラス山地を流れるOued Guigou(ギグー川)へ行って来ました。

まず、カサブランカのCasa Voyageur駅を05:40発のFes(フェズ)に09:24着の列車に乗り込みます。朝5時の駅には乗客はまばら。

この列車に乗り込みます。カサブランカとフェズの間は直線距離で246kmとありましたが、鉄路は主要都市を結び曲がりくねっておりますので、多分300kmはあるのではないかと思います。それを3時間46分で結びます。一等車の料金はMAD165。片道約2,230円とお得です。

フェズ駅到着後、前回同様Hertzで予約のレンタカーを借り、ナビ無しで事前にチェックした地図に従い2022/2023年のGuigou川の漁区へ向かいます。途中でIfrane、Azrou、Timahditeという街を経由し片道120km程度、2時間半程走ります。IfraneからAzrou近くはアトラス山地の起伏が激しい場所を走り、アトラス山地に棲む野生の猿が道を横切るのを避け、何故か多い野犬を避け走ります。Azrouから山を降り南下するとそこは土漠地帯。スターウォーズの惑星の様な風景が広がります。

Guigou川を選んだのは地元の釣りクラブが活動していることがモロッコのメディアにしばしば登場しているから。土漠に突然現れる林にある駐車場には地元の釣りクラブ「Association Sportive de Peche et d'Environnement」が看板を立てております。内容は悲しいもので、川にゴミを捨てるなというもの。

アラビア語の看板もありますが、多分同じ内容だと推測致します。チュニジア生活でアラビア文字は読めるようになりましたが、アラビア語は解りません。

そして、その川は? ミルクコーヒーにちょっと赤みを差した様な色の水が無情に流れております。
地元の人が居たので仏語で雨が降ったのかと聞きましたが、ウンウンと頷くだけで要領を得ません。カサブランカに帰って乗ったタクシーの運転手のお話好きなオジサンが、アトラス山地は数日前に大雨が降って、今年は乾燥がキツかったから、地面に染み込まず濁流になって洪水を起こしたと話しておりました。私は事前に列車・レンタカーを予約していたことと、木曜夜まで国外出張していたため、全然知りませんでしたが、茶色の水を見た時の「天は我々を見放した」感は分かって頂けるものと思います。

しかし、片道6時間半もかけてたどり着いた私にこのまま撤退の文字はありません。今後のためにも偵察をしなければと意を決しウェーダーを履き竿を持って上流を目指します。土漠に刻まれた水の流れは命の流れ。そこは羊飼いが犬と一緒に羊を放牧する場所。茶色の水を羊が渡渉し水の色を更に濃くしていました。この羊達は雌ばかりでしたが、これなら次来る時は、羊飼いのオジサンに頼めばTup's用の牡羊の金玉の毛は幾らでも入手出来そうです。

羊達が川を渡る場所を更に上流に向かいます。乾燥した周りに川のところだけ緑が縁取る日本人から見ると非日常の風景。

林から1kmも行かない上流に水を堰き止めた場所がありました。

そこで、HardyのPalakona Kenyaを振ってみます。魚の気配は感じられず、当然アタリの様なものもなく、キャスティング練習にしかなりません。何もない土漠の午後、熱せられた空気が上昇するからか、強い風が吹きますが、その中でKenyaのキャスティング性能をチェック致します。私の下手な技能では何とも蘊蓄に富んだコメントはし難いのですが、出来るだけロッドを曲げる様にキャストしそれ以上の余分な力を入れない様にすれば15m程度は快適にカバー出来ます。

堰より上流も見に行きます。この地域は黒い岩がゴロゴロしておりますが、太古の昔アフリカ大陸が欧州にぶつかった地殻変動で出来た火山の噴火による溶岩が一帯を覆いそれが黒い岩として残っております。

更に上流は火星の様な渓谷をGuigou川がチョロチョロ潤す状況。今年は雨が降らず非常に乾燥していたのですが、雪解け水が期待出来る来年春頃には水量も回復し、水も透明になっていることを祈念致します。

15時に近くなったので、これ以上の滞在を断念し早めにカサブランカへ帰ることに決し撤退します。Kenyaを岩に立てかけて記念撮影。今回も魚には会えず終いでした。。。

15時少々過ぎに出発し、フェズ駅まで2時間半程度走り到着。元々予約の19:40フェズ発、23:30カサブランカ着の切符を18:40発の物に変更してもらい、駅でピザを大急ぎで食べ列車に乗り込み、23時頃自宅到着。大変疲れた日帰り釣行となりました。

アフリカ初釣行 Talambote川(2022年10月1日)

2022-10-02 17:07:31 | アフリカ釣行記/Fishing Trips in Africa

昨日10月1日(土)、懸案のモロッコ初釣行に行ってまいりました。
出かけたのはモロッコ北部でスペインを臨むタンジェ(Tanger)から南東に120km離れた山中にあるTalambote川。選んだ理由はカサブランカから日帰りが出来るからというもの。

まず07:00発のタンジェ行きTGVに乗り込みます。

このTGVはフランスAlstom社が納入したものでアフリカ大陸で唯一時速300kmで走る列車。車内はこの通り。

カサブランカ・タンジェは340km程離れておりますが、この列車では2時間10分で到着。乾燥した土漠を走り、

9時にはタンジェ市内に入り、時刻表通り09:10にタンジェ駅に到着。時刻が何時も狂う欧州の鉄道に比べアフリカの地で時刻通りに列車が運行されることに感動致します。
タンジェ駅の地下駐車場にあるHertzでレンタカーを借り、その後はTalambote川があるAkchourまでの片道120kmをプジョー208で走ります。如何にもモロッコらしい運転をする他の車に気をつけながら私もモロッコ人に負けないように走り、恐ろしい場所も多くある道を2時間30分程度で走り到着したのがAkchour。

行ってみたら、そこは一大観光地。キャンプに行くなら戻らなければダメだよという車整理のお兄さんに、「いやいや、私は釣りに来たの」と仏語で説明しても、そもそも釣り(pecher)という単語を知らない様子。日本人だ!と寄ってくる地元のお兄さん・オジサン軍団にこれまた何時もの様に取り囲まれながらも身振りで釣りに来たことを説明出来、最初の検問を突破、最終駐車場に首尾よく車を停められました。車を止めて、通行禁止のバーの先には土産物屋、カフェが密集しております。

そして、川は? そこにはアトラス山脈の地下を通ってきた透明な水がこんこんと流れております。

Talambote川のレギュレーションでは、水源から最初のダムの流れ出しの下流500mまで釣り可能とありましたので、ダムの上流を遡ることにしました。

その道程は岩を登ったり降りたりの繰り返しで、釣り道具を背負って竿を持った私には辛いものでしたが、川に沿ってどこまで行ってもカフェが連なり、これではとても釣りにならないと思いつつ到着したのがここの見ものである「神の橋」川が遥かな年月をかけ岩を侵食して出来た天然のブリッジ。その先は道もなく、川の水深も深いようで遡行も無理そうですが、その場所にもカフェがあり人が群がっておりました。尚、そこに至る間、目を本当に皿のようにして魚がいないか見ましたが、人混みの中、全くその姿を見ることは出来ません。片道40分の険しい道を引き返し、もうタンジェに戻ろうかと思いながら、ダムの下流500mの様子を見なければイカンと行ってみると、一ヶ所だけ川にアプローチ出来、人もいない場所を発見。そこに降りて行き水面を観察すること10分、何と、一匹の魚が泳いでいるのを確認。大きさは尺は優に超えております。

その場所から上流を望みます。橋の向こうにはダムの流れ出しがあります。

今回持参したのは、この日のためにとっておいたHardy Palakona Kenya 8'。強いトップを持ち、大型鱒が水中の障害物に逃げ込もうとしてもそれを抑えることが出来ます。それに合わせるリールはSt. Georgeの3''。シルクラインの6番を巻いてあります。

ところが、その日は下流から強風が吹いてきて後ろにイバラの木やオリーブの木があるこの場所では思うように毛鉤を飛ばすことが出来ません。

強風の合間を縫ってロールキャストで何度もトライしますが、魚の姿は見えずまた何の反応も得られません。対岸には物見高いモロッコ人が魚釣れたか? とか聞いて来ますが、全然ダメと答えていると時間は既に15時。今帰れば、21:00発の最終列車ではなく、19:00タンジェ発、21:10カサブランカ着のTGVに乗れると思い、この悪環境下でこれ以上の釣りは断念、撤収しました。
帰りもプジョーを飛ばし、行きよりも早く17時半前にはタンジェ駅地下駐車場に到着。駅で切符を21:00発から19:00発のものに変更してもらうのにまた40分程列に並ぶことを余儀なくされましたが出発の40分前にはそれも完了。21時過ぎにはカサブランカに到着、日帰り釣行を終了致しました。
これを書いている今、前日のトレイルの影響もあり、身体中が痛いです。今回は空振りでしたが、次を目指して精進致します。