思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Palakona Gold Medal 10' (H61495/1964年製)

2022-08-25 03:23:35 | Hardy Palakona

先週末、前後1日ずつ足してまたもやオーストリアへ行ってまいりました。
私はどうも雨・風男のようで、私が行く直前までは雨なしのカラカラ天気が続いていたそうですが、私が行く前日に記録的な雨と雷で人的被害も出るような洪水が発生。そのため下のMur川は増水で釣りには全くならず、影響の少ないEtrachseeとその流れ込みのEtrachbachでの釣りだけとなりました。

そこに持参した竿の一つがGold Medal 10'です。

Gold Medal 10'は既に戦前のものと、この竿と同じ1964年製のものがあるのですが、前の記事で紹介したHardy LRH Dry Wet 9'3''とPayne、F.E.Thomas竿のロスト事件のため、7月、出張でロンドンに行った機会に、LRH Dry Wetに替わる長竿として入手したもの。その後、ロンドンからの帰りにロストした竿を回収出来たため、在モロッコの竿が一本増えてしまったのでした。

製造番号H61495は1964年の製造です。

60年代になるとプラスチックラインが主流となり、Hardy PalakonaにもAFTM表記で適合ラインの重量が記載されるようになりました。

60年代以降の特徴的な踊るような大柄で躍動するインスクリプション。The Gold Medalと書いてあります。

その下にはPalakonaとあります。

これまた戦前にはあったフックキーパーが戦後無くなったものの、60年代から復活しております。

で、この竿の最大の特徴はロックファスト・ジョイントではなくサクション・ジョイントであること。同じ1964年製の日本に置いてある同じGold Medal 10'は未だロックファスト・ジョイントが装着されているのですが、この竿は最終モデルの段巻きの無いGold Medal同様にサクション・ジョイントとなっております。この仕様の変更は1964年に行われたのでしょうか?

トップリングは従来通りのメノウ入り。

フェルール・キャップは60年代以降のメッキされたもの。

上の写真の旗が示すような強風の中、このGold Medalで岸から釣りをしたのですが、このような過酷な条件下、Gold MedalはAFTM5番のプラスチックラインを風に向かって投射することが出来、そのお陰で冒頭の写真のでっぷり太った尺上ブルックトラウトを始め、剛竿のトップをギュンと引き絞る魚達に遊んでもらうことが出来ました。
この竿は無理矢理振り回すのではなく腕と一体化した動きで竿を曲げてやるように扱うと、ラインを竿自身が思うところへ運んで行ってくれます。無論重い竿ですが、扱い方を心がければ一日中釣りをすることも可能。こうした竿でキャスティングをやっているとカーボン竿を手首てピュンピュン振り回すような癖がつくこともなく、フライキャスティングをより愉しむ基礎が出来るように思います。
10'超えのPalakonaの実力を感じることの出来た悪条件下の釣りでした。
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Mur川でのグレイリング釣り(7月11日)

2022-08-15 12:00:00 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

前回オーストリア釣行の最終日7月11日(月)。この日は夕方ウィーン空港発の予定。逆算すると安心して釣りが出来るのは13時まで。しかしながらMur川の釣り券を未だ購入出来ていなかったため、観光案内所が開く9時に即購入し釣りをすると3時間程度の勝負。

釣り券を購入し川に着いたのは10時ちょっと前。今回借りたVW Poloを駐車し兎に角準備を致します。

今日使うのは前日使ったのと同じHardy LRH Dry Wet。オールラウンドな竿で悪コンディション下でも頼りになります。

というのも、前日の雨でMur川に流れ込む小川からは茶色の泥水が流れ込み、

いつもの釣り場を茶色に染めております。これではMur川のハイライトであるドライフライの釣りは臨むべくもありません。

そこで下流へ行きそこから出来る範囲でアップストリームに毛鉤を打ち込みグレイリングを狙うことにしました。

カサブランカで巻いてきたKamasan鉤にOlly's Hackleのペイルブルーダンのハックルの簡単な毛鉤を4Xの先に付けLRH Dry Wetで上流を狙って投げると、最初の一投でグレイリングがライズ、毛鉤を咥えました。それを見て合わせるとバッチリ鉤がかり。

LRH Dry Wetは柔な竿ではないのですが、それでも中々魚を寄せることが出来ません。

愛用のSharpe'sのテレスコピックタモに漸く収まったのは38cmのグレイリングでした。
私に取ってのMur川の釣りのハイライトはグレイリングのドライフライでの釣り。毛鉤がドラグフリーで流れて行くと水底からグレイリングがゆっくりと浮き上がってきて毛鉤を加えるその一部始終が見える釣りです。

これが38cmのグレイリングを釣り上げた毛鉤。Olly's Hackleを巻いた何の変哲も無い毛鉤。しかしながらこの激安ハックルはきちんとしたブルーダンの色が出ていて且つ良く釣れます。より高価で希少なハックルを使わなくとも良いので助かります。

釣りの一番最初で大物を上げた後はチンピラ・チビッ子だけしか釣れません。川の増水・濁りとコンディションの悪さが恨めしいですが、私の過去のMur川釣行はこのような逆境が多々あったので余り気にもならなくなりました。

小さなグレイリングを何匹か釣り上げると既に12時を回っており、もはやこれまでと上がります。
13時にはMurauの街中のガソリンスタンドで給油。16時前にはウィーン空港に到着。19時ちょっとのフライトでフランクフルトへ飛び、そこで乗り換えてカサブランカへ。空港に到着すると竿がロストになってしまい暫くの間LRH Dry Wetとは永遠の別れと覚悟しておりました。
山上の渓流と湖。そして下界の川での釣り。20年来の付き合いのMurau。悪コンディションでも楽しめる釣りが必ず出来る私の馴染みの釣り場です。
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Tup's Indispensableをオリジナル材料で巻く

2022-08-14 00:12:19 | 毛針/Flies

先月入手した牡羊の睾丸の毛。これで漸くオリジナルの材料が揃ったTup's Indispensable。
そこでこの週末久しぶりにこの毛鉤を巻いてみることにしました。

"A Dictionary of Trout Fries"によるこの毛鉤の作者R.S.Austin氏のオリジナルのメモによる材料は:
- full yellow silk
- blue hackle of a lighter colour and fleckled thickly with gold
- body of a mixture of ram's wool, cream colourd seal's fur, lemon spaniel's fur and a few pinches of yellow mohair
上の写真の左はlemon spanielのファー。これは大分前に亡くなった実家のレモン色のコッカスパニエルのリキちゃんのファー。20年前から取っておいたもの。右上はシールズファー。そして右下はモロッコの牡羊の睾丸の毛。

この三つの材料をよく混ぜ合わせておきます。

ハックルは戦時中の英国のBlue Dunに金色が付いたもの。今気付きましたが、モヘアは黄色でないですね。。。でも緋色のモヘア。そして黄色のシルク。

ハックルは写真で見るのと実物がちょっと違うように映りますが、ペイルブルーに先端の方に金色が強く乗っているもの。

ダウンアイのスネック鉤16番をバイスに固定し、ハックルと同じケープからテイルを取り取り付けシルクを取り回します。ボディの端はシルクが二巻き程度顔を出すようにします。

ボディは緋色があくまでもちょっとアクセントになる程度にし、ハックルは本来はより疎に巻くのでしょうが、貴重なハックルなのでドライフライ用に全て巻きます。

太陽の光を遮るとこんな感じ。

ハックルの近くにより緋色が感じられます。

他にもボディの所々に緋色が顔を出しております。

ちょっと上手く映りませんが、金色とブルーが光の角度で替わって出ます。

牡羊の睾丸の毛、コッカスパニエルのファー、Blue Dunの金色乗り、更にはスネック鉤の16番という一般には入手が出来ない材料を揃えて作ったの毛鉤。果たして、その効果には如何程のものがあるのでしょうか。。。
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雨のEtrachbach(2022年7月10日)

2022-08-10 03:29:29 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

7月10日(日)は早朝から大粒の雨が降り頻る生憎の天気。宿の女将さんが「本当に今日釣りに行くの?」と問いかける中、「何時もこんな天気で慣れてますから」と答え、雨具を着込み湖上流の渓流Etrachbachへ向かいました。
ここは登山ハイキングの客も多く、前日には釣りをしているところに子供がやってきて、わざわざ魚のいる淵に石を投げて魚を追い散らすという散々な目に会いましたが、このような雨ではそうした不埒な輩も殆どいません。雨で体が冷えますがウェットフライで魚を狙います。

竿は前日午後と同じLRH Dry Wet 9'3''。リールは前日の物よりひと回り大きいPerfect Spitfire 3 1/8。それにCortland SylkのDT5Fを巻き込んであります。雨の中シルクラインで釣るのはラインに良くないので、プラスチックラインの中でも口径の小さいSylkを選んだもの。竿との相性も良くウェットフライに食いつくイワナのアタリを良く拾います。

何匹も釣れたのですが、前日同様ブルックトラウトばかり。アルプスイワナよどこえ行った?と思っていたらブルックトラウトとは違うイワナがかかりました。
一番右の魚は他のものより色が薄くなっております。

そのイワナがこれ。ブルックトラウトの様な虎縞がヒレや胴体に出ておらず、もう少しすると青黒く、腹は赤くなるアルプスイワナ。
とりあえず絶滅した訳ではなさそうなので一安心。雨が多少上った昼過ぎで渓流の釣りは終わり。

湖畔を宿の方に向かって歩くと牛が道路上で待ち構えております。

昔のEtrachseeをご存知の方には見慣れぬ風景ですが、この4年の間に桟橋が拡張され、寝転んで日向ぼっこが出来るようになっておりました。また、下を見ると大きなイワナが桟橋の下にサッと隠れます。50cmを遥かに超える個体も見え、湖で一番大物が潜むのは桟橋の下であることを確信しました。
大きめの魚を見つけたのでKiller Bugを口元にコントロールしてやると、パクりと咥えたのですが、アワセはすっぽ抜け、魚は隠れてしまいました。
ここでKiller Budで更にイワナを何匹か釣ってその日の釣りは終了。最終日7月11日(月)の午前中だけが残る釣りのチャンスですが、一体どうなってしまうのでしょうか。
(続く)
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Etrachseeの釣り(2022年7月9日)

2022-08-06 19:30:24 | 欧州釣行記/Fishing Trips in Europe

前々回アップロードした7月9日午前中のEtrachbachに続き、同日の午後は湖にボートを浮かべての釣りを楽しみました。
この日は天気も良く、上の写真の通り湖畔の宿を食堂の上に広がる空は澄んだ青色。

チュニジア在住時の2018年から気づいたのですが、以前多くいた虹鱒は全然姿を見せず、また、同じイワナでもアルプス・イワナは釣れず、ブルック・トラウトばかりしか釣れません。これはRamsbottom's Favouriteを咥えたイワナ。

竿は当日午前中に使用のPayne 206 9'から、LRH Dry Wet 9'3''に変更。それにKaizerのシルクラインNo.2を合わせます。リールはHardy Perfect Spitfire 2'7/8。特別復刻版をハンガリー在住時に英国から購入したもので、もう20年弱使っているリール。2015年のMur川の事故でリールのプレートが少々歪んでおりますが、実釣には何ら問題ありません。

湖には沢山の羽虫が飛んでおりその中の一匹がボートに落ちてきたので見るとトビケラ。毛鉤の選り好みが殆ど無いEtrachseeのイワナ達ですが、多少なりとも似たような毛鉤を使って見ましょう。

これは古い英国のブルーダン・ヘンハックルをオレンジシルクボディに巻いたものに来たイワナ。これくらいのサイズの魚は幾らでも釣れる湖で流石に飽きますが、中々モロッコ国内の釣り場にアクセス出来ない私の心の充電になってくれた魚達です。
前回記事に追記しましたが、ロストした竿三本は7月30日カサブランカ空港で無事回収出来ました。本当に良かったと胸を撫で下ろしました。。。
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