現在、世界中を席巻する米国のジェネティックハックル。日本もその例に洩れず、近頃はインド・中国等からの安価なハックルの入荷も細り、過去に業者が輸入した在庫の範囲内でしか入手が出来なくなっていると、以前関係者に伺った事があります。
ジェネティックハックルの存在を否定する為に記事を書いている訳ではないので、その点誤解をされない様にお願いしたいのですが、ジェネティックハックル礼賛の記事が商業誌を中心に溢れる中、そもそもドライフライにとってのコックハックルの役割と、それを果たす為に必要とされる機能、要素を、ハックルの専門書と先人が残したハックルの現物、更に、今日でも何とか入手可能なインド・中国ハックルを例に取り上げ考察して来ましたが、今回は日本で作り上げられた素晴らしいドライフライハックルにつき触れさせて頂きます。
前世紀末、小平高久氏が作り上げられたコック・ハックルをClub of Hardy JapanのK氏の大変なご好意で頂いた事を思い出し、収蔵ハックルの中を探して見つけました。
極小ハックルを除いたハックルを並べたものが上の写真です。
下の3つがハニー系のハックル。真ん中のものは写真では見えにくいですが、リスト(ハックルの軸周りの内側)が色を全く感じさせないペイル・ハニーダン。
上の方のハックルはラスティー・ダンのハックルです。
黒い背景では錆色が強く自己主張を致します。
同じハックルを白い背景で並べたもの。
ハニー系のハックルは色を失い、影は映し出すものの、透明の中にハニーの残滓を残すだけとなります。
黒地の背景ではあれほど自己主張をした錆色は、白地の背景ではその鳴りを潜め、影はクッキリと投影しますが透明感に溢れたハックルとなります。
ラスティ・ダンの中の一枚を取り出して見ます。テーブルを背景にすると、スピナーのウィングの様な透明感。しかし、光を浴びるとキラリと光る生命感を持ち合わせております。
黒地を背景にすると錆色がクッキリと自己主張いたします。
白地を背景にすれば、インキ色の軸とハックルの周縁部以外が透明で、背景が透けて見えるのが判ります。
ハックルのバーブはオールド・イングリッシュ・ゲーム・コック(OEG)のものよりも短く、今風のドライフライを巻くのに適しております。
これは、ペイル・ハニーダン。色を殆ど感じさせないもの。
黒地の背景ではハニーが自己主張を見せます。写真では見えにくいですが、リストは本当にほぼ透明。
白地の背景では透明になります。
私は小平氏とは一切面識がありませんので、確たる事は何も申し上げられませんが、ネットに載る氏のインタビューによると、氏が海外旅行で入手した中国ハックルの中に魚がいつも毛針を飲み込みよく釣れるハックルがあり、それをきっかけにハックルの研究と鶏の育種を始められた由。試行錯誤の中から開発されたのが、これらハックルの様ですが、Frank Elder氏の残したハックルに比較して全く遜色が無いどころか、透明感ではそれを上回るハックルもあります。
小平氏が今もハックルを作られていらっしゃるか全く存じませんが、これらこそOEGをも凌駕する世界に誇れるハックル。日本の伝統的な毛針釣りでは透明感のある軍鶏の蓑毛を珍重して毛針に使ってこられたそうですが、そういう軍鶏を育種して来た伝統も日本にはあります。ジェネティックの席巻で失われつつある、透明感に溢れるハックルを小平氏の例の様に日本で誰か作って頂けると良いのですが。。。但し、データによると、自然界ではダン系の色は1000羽に1羽しか出ないそうですので、全くのゼロスタートですと、この色を出すには何万羽も飼わなければいけません。餌代もかかりますので、見込みの無い鶏は最初の羽が生えるくらいのところで処分していかないと物凄いコストが生じます。ドライフライハックルの開発は左様に根気、非妥協的態度、コストがかかるものなのですね。とても思いつきで出来る事ではありません。皆様に感謝してハックルを使って行きたいと思います。
ジェネティックハックルの存在を否定する為に記事を書いている訳ではないので、その点誤解をされない様にお願いしたいのですが、ジェネティックハックル礼賛の記事が商業誌を中心に溢れる中、そもそもドライフライにとってのコックハックルの役割と、それを果たす為に必要とされる機能、要素を、ハックルの専門書と先人が残したハックルの現物、更に、今日でも何とか入手可能なインド・中国ハックルを例に取り上げ考察して来ましたが、今回は日本で作り上げられた素晴らしいドライフライハックルにつき触れさせて頂きます。
前世紀末、小平高久氏が作り上げられたコック・ハックルをClub of Hardy JapanのK氏の大変なご好意で頂いた事を思い出し、収蔵ハックルの中を探して見つけました。
極小ハックルを除いたハックルを並べたものが上の写真です。
下の3つがハニー系のハックル。真ん中のものは写真では見えにくいですが、リスト(ハックルの軸周りの内側)が色を全く感じさせないペイル・ハニーダン。
上の方のハックルはラスティー・ダンのハックルです。
黒い背景では錆色が強く自己主張を致します。
同じハックルを白い背景で並べたもの。
ハニー系のハックルは色を失い、影は映し出すものの、透明の中にハニーの残滓を残すだけとなります。
黒地の背景ではあれほど自己主張をした錆色は、白地の背景ではその鳴りを潜め、影はクッキリと投影しますが透明感に溢れたハックルとなります。
ラスティ・ダンの中の一枚を取り出して見ます。テーブルを背景にすると、スピナーのウィングの様な透明感。しかし、光を浴びるとキラリと光る生命感を持ち合わせております。
黒地を背景にすると錆色がクッキリと自己主張いたします。
白地を背景にすれば、インキ色の軸とハックルの周縁部以外が透明で、背景が透けて見えるのが判ります。
ハックルのバーブはオールド・イングリッシュ・ゲーム・コック(OEG)のものよりも短く、今風のドライフライを巻くのに適しております。
これは、ペイル・ハニーダン。色を殆ど感じさせないもの。
黒地の背景ではハニーが自己主張を見せます。写真では見えにくいですが、リストは本当にほぼ透明。
白地の背景では透明になります。
私は小平氏とは一切面識がありませんので、確たる事は何も申し上げられませんが、ネットに載る氏のインタビューによると、氏が海外旅行で入手した中国ハックルの中に魚がいつも毛針を飲み込みよく釣れるハックルがあり、それをきっかけにハックルの研究と鶏の育種を始められた由。試行錯誤の中から開発されたのが、これらハックルの様ですが、Frank Elder氏の残したハックルに比較して全く遜色が無いどころか、透明感ではそれを上回るハックルもあります。
小平氏が今もハックルを作られていらっしゃるか全く存じませんが、これらこそOEGをも凌駕する世界に誇れるハックル。日本の伝統的な毛針釣りでは透明感のある軍鶏の蓑毛を珍重して毛針に使ってこられたそうですが、そういう軍鶏を育種して来た伝統も日本にはあります。ジェネティックの席巻で失われつつある、透明感に溢れるハックルを小平氏の例の様に日本で誰か作って頂けると良いのですが。。。但し、データによると、自然界ではダン系の色は1000羽に1羽しか出ないそうですので、全くのゼロスタートですと、この色を出すには何万羽も飼わなければいけません。餌代もかかりますので、見込みの無い鶏は最初の羽が生えるくらいのところで処分していかないと物凄いコストが生じます。ドライフライハックルの開発は左様に根気、非妥協的態度、コストがかかるものなのですね。とても思いつきで出来る事ではありません。皆様に感謝してハックルを使って行きたいと思います。