思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

チャイニーズハックル

2021-02-21 08:08:07 | ハックル/Hackles

確か今から5年前、北アフリカから一時帰国した機会に相模大野のバートンさんでチャイニーズハックルを購入しました。バートンさんのブログでチャイニーズハックル入荷の記事にあった写真を見てそれが魅力的だったため足を運んで購入したものです。近年インドもチャイナもハックルが昔に比べ入手しずらくなっているようですがそうした安いハックルの中にも魅力的なハックルが埋もれているものです。

同じハックルを未だ光の弱い朝撮影したもの。

このハックル、写真では伝えられないのですが、艶があり色もはっきりしており、正にbright and sharpといったもの。

透明感も十分です。

暗い背景に置いてみると、芯が淡いグレイ、先にも同じ色が入ります。

数枚のハックルを暗い背景で見るとこんな感じですが、

明るい背景ですと先にも色が入っていることが良くお分かりになると思います。

このハックルを使い、Pheasant Tailを巻いてみました。
Pheasant Tailと言うとフランク・ソーヤーの創り出した傑作ニンフが頭に浮かびますが、それ以前にドライフライとして同じ名前の毛鉤が生み出されております。元々は英国南西部のデヴォンシャーの毛鉤だそうですが、1901年前後にPayne Collier氏が生み出したもの。
そのオリジナルレシピは:
Hackle: Honey Dun, called in the West Country, "brassy".
Body: A very dark herl of a cock pheasant's tail feather, with four turns of gold twist.
Tail: Three long herls from a saddle hackle
Hook: 14.
このオリジナルから派生したG.E.M. Skuesのレシピは:
Tying silk: Hot orange.
Hackle: Rusty or sandy dun cock, bright and sharp.
Whisks: Two or three strands of honey dun cock spade feather.
Rib: Fine gold wire.
Body: Two or three strands of rich-coloured ruddy fibres from the centre feather of a cock pheasant's tail.
Hook: 16 to 13.
暗い背景ではチャイニーズハックルが自己主張し見やすい毛鉤です。

明るい背景ですと透明感の中に金色の煌めきと根元と先端の暗い色が出ていい感じです。ところで、このハックルの長さを長すぎると感じる方も多いとは思いますが、カゲロウの羽の長さを考えてみて下さい。米国ジェネティックのハックルの長さでは14番の鉤の大きさのカゲロウの羽の長さを表現することは不可能。その場合は別途ウィングを付ける必要が出てきますが、元々ハックル・ドライフライはウィングの長さもハックルで表現するもの。ですので、このハックルの長さは必要です。

巻き上がった毛鉤。根元のグレイ色がハニーダン同様に良さそうな感じです。バジャーや芯の色の濃いジンジャーも毛鉤に巻くと根元が目立つのですがこれが何らかの効果をもたらすのでしょうか。

少なくなってきているようですが、米国ジェネティックとは違うインド、チャイナのハックルから魅力的な一枚を発掘するのも楽しいものであります。
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Steely blue....

2021-02-13 14:10:59 | ハックル/Hackles

春を待つこの季節、シーズン入りを前に良く目を通すのがこの名著「A Dictionary of Trout Flies」。英国での出版は戦前ですが版を重ねて70年代までの毛鉤を網羅する毛鉤の正に辞書。それも単にレシピが書いてあるだけでなく夫々の毛鉤にまつわる物語が書いてあって読み物としても面白いものです。

その辞書の中でもとりわけ関心を引く毛鉤は幾つかあり、その一つが以前も紹介しておりますBlue Uprightという毛鉤。英国南西部デヴォンシャー等を中心に全土で良く使われかつ釣果を上げている毛鉤。特に春の速い流れの中で威力を発揮するとあります。辞書が特に効果的とするのが、タップス・インディスペンサブルを考案したR.S. AustinのBlue Uprightのレシピ。タイイングシルクはパープル、ボディは繊毛を取り除いたピーコックハール、特にピーコックの羽の目玉部分の脇に生えるピーコックハールが模様がはっきり出て宜しいとのこと。これは全く問題ないのですが、R.S. Austinの毛鉤に特徴的なのが素晴らしいものの、入手が極めて困難、今日ではまず不可能なハックル。Blue Uprightに指定されているハックルは、「Steely blue game-cock's, sharp, bright, and nearly black, but with a definite blue centre」というもの。ミディアムからペイルのブルーダンハックルはありますが、殆ど黒に近いがブルーのセンターを持つスチールに近いブルーのハックルというものは全く頭に浮かびませんでした。
ある時ペラペラと辞書をめくっていた時に頭に浮かんだのが、Blue Andalusiaのハックル。殆ど黒にしか見えないものの、中央部がスチール色・グレー色のものがあったと思い漁って見ると数年ぶりに上のハックルが出てきました。

Austinの指定するハックルのうち、Sharp、BrightはOK。Austinの住んでいたデボンシャーは素晴らしいブルーダン、ハニーダン、ラスティーブルー等を生み出すゲームコックの産地だったことも与ってでしょう、タップス・インディスペンサブルの場合は「金色が厚く乗った薄いブルー」のハックルを指定するなど、今日オリジナルに迫ろうとする試みを悉く粉砕するレシピを提示している訳ですが、nealy black steely blueは取り敢えずこのハックルで良しとしましょう。

上のケープから抜いたハックル。バーブの先端はブラック、センターは多少赤みが感じられるグレイ。

白い背景ではこのような感じ。

バーブには太陽の光による煌めきがあります。

白い背景ではセンターが暗くバーブは黒が過疎になるので透明感が生まれます。

このハックルで巻いた毛鉤。1番(14番)のダウンアイのスネック鉤に巻きました。ウェットフライなのでアップアイを使いウィングの後ろでタールノットにする必要はありません。

白い背景では全体が黒っぽくなります。

ハックルのバーブの根元は確かに多少薄い色で先端は黒。光を反射しております。

白い背景では全体が暗く浮き上がり輪郭もはっきりしてより釣れそうな感じ。
養沢で黒っぽいダン・スピナーが舞い踊る3月〜4月の肌寒い季節に、この毛鉤をアップストリームに投げて会心のウェットフライの釣りをしたいものです。ウェットの釣りだと竿は長い方が有利なのですが、どの竿にお供させましょうか。シーズン入りが待ち遠しい2月です。
コメント (4)
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