Risle(リール)川はフランス北東部ノルマンディー地方を流れるチョークストリーム(石灰台地を流れる川)。山岳渓流と違い一見鏡のような水面で川幅も広く、川に入ればすぐにずぼりとはまり込んでしまいますので、基本は川岸からテレスコピックのタモを持ち釣るのが基本となります。
シャルル・リッツのA Fly Fisher's Lifeを読んで頂けるとすぐお分かりになる通り、パリからも近いこのチョークストリームにリッツは頻繁に足を運んでおります。リッツが通ったのは同じRisleでもAclouという釣り場。Pont Audemerよりは数十キロ上流のBrionneの近辺の釣り場になります。
私がそれでもPont Audemerに行ったのは、Pont Audemerという名前の毛針があるくらい、Pont Audemer近辺でも昔から毛針釣りが行われている事、それからPont Audemerの街自体がノルマンディーの小さなベネチアと別名呼ばれるくらい情緒ある街だからです。
また、同地の釣り協会(漁協)AAPPMAのサイトも充実しており、十分情報を得た上で釣りが出来るからです。
http://aappma27500.com/parcours_mouche_no_kill.htm
このAAPPMAのサイトでグレイリングを手にしているのが、前回登場のGrunewald氏
さて、前日土曜日に釣り券を入手し、Grunewald氏の知己も得て、翌6月7日の日曜La Bell Isle sur la Risleでの朝食をゆっくり済ませ、家人を宿に残しRisle川に向かいました。宿にはフィットネス、サウナ・ジャグジー、室内プールがあり、家人を宿に残しても大丈夫なのが非常にありがたいところです。
今回ルーアンでレンタカーを借りる際、昨年9月と同様に一番小さなFiat 500クラスで予約したのですが、4ドアのVW Poloを割り当ててもらいました。前回のRenault Twingoよりも大きくかっちりしたドイツ車。
その車で昨年と同じConde sur Risleの駐車場に向かいます。竿は当然Pezon et MichelのFario Club 8'5''。それにいつものSpitfire Perfectの3 1/8を合わせます。
時は11時。前日Grunewald氏に教えてもらったNo Killエリアに向かいます。日曜日なので、ウォーキングの団体、犬を連れた人々等、大勢がRisle川の近辺を散策しております。上の写真の中央の橋がNo Killエリアの一番下流。
No Killエリアの上流を望みます。
No Killエリアではライズはありません。が、大きな魚の姿が見えます。胸が高鳴ります。東京のZoffで購入した釣り人用の度付き偏光グラスを通し良く見ると体高が高く尾びれがくの字になっているのが見えました。「コイ科の魚か」。
それでも、Frank Elder氏の育てたHoney Dunを巻いたドライフライを上流に投げ入れます。Fario Clubの胴を中心に手元まで感じる事の出来るアクションでのカースティングはそれだけで楽しいものです。
しかしながら。。。。ドライフライでのハードワークは残念ながら報われず、魚を水面に寄せる事が出来ません。それなら仕方なし。Pheasant Tailを結びコイではなく鱒が来る事を祈りつつ川にピッチングして行きます。
昼なので魚もやる気がないのか、それでも全然アタリを得る事が出来ません。
そうこうしていると、下流から大きな叫び声が聞こえ始めました。何かなと見ると子供がカヌーで上流に向かってやってくるではありませんか。大声でどなりながら、川に飛び込んだり、縦横無尽の大暴れです。それでも私の釣り姿が見えたようで子供の暴虐の限りをつくした大嵐もNo Killエリア下流の橋のちょっと上流で取りあえず止まりました。
時は14時。既に報われないハードワークで疲れた心と体は、子供のエネルギーを見せつけられてすっかり戦意喪失。場所を変える事に致しました。
向かったのは昨年魚を釣ったNo Killエリアよりも下流の牧場でRisleに支流が合流する場所。そこに移動する際、とんでもない数の人たちが川辺て思い思いに過ごしているのを目の当たりにしました。これはたまらん。しかしさすがに牧場の牛糞の香りがするところには誰もいなく、一安心。
またハードワークを繰り返します。午後になり風が強くなってきました。これが良く英国のチョークストリームで言われる強風というやつでしょうか。Fario Clubのような強い竿でないと英仏海峡付近のチョークストリームでの釣りは厳しいのかも知れません。
その合流点から更に下流に移動しハードワークを繰り返しましたが。残念ながら成果はありません。時は既に17時。非情に流れます。
家人には20時に夕食と約束しているので、焦りがつのります。(続く)